
・ディスコの株価はなぜ急落したの?
・今後の株価はどうなるかな?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- ディスコの株価が急落した原因は・・・
- 半導体セクター全体の下落
- 半導体後工程の企業で、早期に株価が急騰
- ガイダンスの市場予想を下振れ
- 業績は過去最高を更新したが、期待が高すぎるあまり株価が乱高下しやすい状態
ディスコは、半導体の製造工程で必要な「切る・削る・磨く」の技術に特化した精密加工装置の世界的トップシェア企業です。
最近はAIブームによる半導体需要の拡大で、技術力の観点から存在感を増していますが、2026年6月下旬以降は株価の下落が続きました。
そのため、「ディスコの株価がなぜ急落したのか」が気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ディスコの株価が下落した理由や今後のリスクについて詳しく分析します。

執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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ディスコの事業内容と業績

まずは、ディスコがどのような企業なのか、業績はどうなのかを見てみましょう。

半導体製造においてどんな役割を担っているんだろう?
事業内容
ディスコは、半導体の材料となる「ウェーハ」を精密に加工するための装置と、消耗品である加工ツール(砥石)を開発・製造している企業です。
- 装置:大きさや厚さを細かくコントロールしながら加工する装置のこと
- 加工ツール:主に砥石のことで、装置に取り付け高速回転させることで、モノを加工する消耗品のこと

同社は「切る」「削る」「磨く」の3種類の加工に特化しているワン!
事業内容は以下の3つです。
精密加工装置事業
加工装置の開発・製造・販売を行っています。
寸法を極めて細かくコントロールしながら、対象物を「小さく」「薄く・平坦に」「強固に」するために加工する装置です。
精密加工ツール事業
加工ツールの開発・製造・販売を行っています。
主に砥石を扱っており、消耗品となります。
アプリケーション事業
加工方法の検証を行っています。
求められる加工品質や生産性に適した「装置」や「ツール」、ツールの回転数や切り込み深さ等の「加工条件」の組み合わせを導き出す技術の開発などを担当しています。

次にディスコの製品がどういった形で活躍しているのか見ていきましょう。
主に加工しているのは、ウェーハと呼ばれるものです。

ウェーハとは、半導体や電子部品の材料となる素材のことで、一般的に円盤状の形をしています。

一番メジャーなシリコンウェーハの直径は12インチ(300mm)だよ!
この円盤状のウェーハはそのままだと大きすぎて使えないため、小さなチップに「切る」必要があります。
その加工装置を開発しているのが、ディスコです。

この切る作業を一般的にダイシングと言うよ!


画像は髪の毛の断面を35分割したものだワン!

すごく精密な技術だね!
1つのウェーハからできるだけ多くのチップを作った方がお得であるため、半導体製造メーカーはより微細で精密な装置を求めています。

半導体の微細化が進んでいる背景も大きく影響しているよ!
ダイシングの他にも、グラインディングやポリッシングといった加工があり、同社はそれらの装置も開発しています。

グラインディングとは、薄く削る加工のことを指し、ウェーハの厚さのばらつきを抑えられます。

ディスコでは直径12インチのウェーハの厚さのばらつきを1.5μm以内に収められるよ!
この厚さのばらつきを抑えることで、チップの歩留まりを大幅に改善できます。
したがって、半導体製造メーカーにとって、このグラインディングの精度はとても重要なものとなっています。

次にポリッシングです。
ポリッシングとはその名の通り表面を磨く加工のことを言います。
この加工をすることによって、素材の割れにくさを向上させることができます。

ディスコの技術力の高さが半導体製造を支えているんだね。
業績
次に業績を見ていきましょう。
| 単位:億円 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 |
|---|---|---|---|
| 2024年3月期 | 3,076 | 1,215 | 842 |
| 2025年3月期 | 3,933 | 1,668 | 1,239 |
| 2026年3月期 | 4,369 | 1,850 | 1,355 |
同社決算短信より
売上高・営業利益・純利益のすべてが過去最高を更新しており、直近の業績は右肩上がりです。

通期の出荷額・売上高は6期連続で過去最高だワン!
2025年3月期通期
2025年3月期は売上高が前期比+27.9%、営業利益は+37.3%、純利益は+47.1%と大幅な増収増益を達成しました。
2025年3月期 通期決算
- 売上高:3,933億円(前期比+27.9%)
- 営業利益:1,668億円(同+37.3%)
- 当期純利益:1,239億円(同+47.1%)

利益の伸び率が売上高の伸び率を上回っているワン!
これは、売上が増えるスピード以上に利益が増えている=収益性(利益率)が改善していることを意味しています。
AI向け半導体需要の拡大により、付加価値の高い高精度な加工装置・ツールの販売が伸びたことが背景にあると考えられます。
2026年3月期通期
2026年3月期も売上高+11.1%、営業利益+10.9%、純利益+9.4%と増収増益を継続していますが、前期ほどの伸び率ではなく、成長ペースはやや落ち着いてきています。
2026年3月期 通期決算
- 売上高:4,369億円(前期比+11.1%)
- 営業利益:1,850億円(同+10.9%)
- 当期純利益:1,355億円(同+9.4%)
今後も半導体需要の拡大が続くと考えられるため、まだまだ売上高は上がると考えられます。
2027年3月期(1Qの最新決算と2Q予想)
| 単位:億円 | 売上高 | 営業利益 | 当期純利益 |
|---|---|---|---|
| 27/3期1Q | 1,143 | 490 | 342 |
| 27/3期2Q累計 (予想) | 2,428 | 1,049 | 738 |
同社決算短信より
1Q時点の前年同期との増減率で見ると、売上高+27.1%、営業利益+42.2%、純利益+44.0%と、大幅に業績が拡大していることが分かります。
一方で、2Qの会社予想は売上高+24.8%、営業利益+33.0%と、1Qの伸び率からはやや減速する見通しです。
この会社予想が市場からの期待を下回る形となり、株価急落の一因となりました。

通期の業績予想はどうなのかな?
半導体製造装置業界は需要変動が激しく先行きの予測が難しいことから、同社は通期の連結業績予想を公表していません。
とはいえ、直近の四半期実績が過去の増収増益ペースを上回っていることから、今期も好調な業績が続く可能性は高いと考えられるでしょう。

市場からの期待が高い点には注意が必要だワン!
ディスコの株価はなぜ下落しているのか。3つの理由

好業績が続き、今後の業績予想も明るい同社ですが、2026年6月下旬以降、株価は大きく下落しました。

どうしてディスコの株価は下落したのかな?
主に以下の3つの理由が考えられます。
業界的側面や企業の特徴によるものなど、様々な要因が重なっています。
半導体セクター全体の下落
やはり、一番の原因は半導体関連銘柄全体の下落です。
上のチャートは、NEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信(200A)になります。

2026年7月付近の下落が目立つね。
NEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信(200A)
東京証券取引所に上場している半導体関連銘柄の中から、時価総額が大きい30銘柄で構成される「日経半導体株指数」 に連動します。
次にグローバルX 半導体関連-日本株式 ETF(2644)のチャートを以下に示します。
グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF(2644)
日本の半導体製造、加工、原材料、製造装置など周辺産業から主に収益を上げている国内上場企業(最大40社)で構成される信託銘柄。
1銘柄あたりのウエイト上限が10%に設定されているため、分散投資が可能。
以上2つの銘柄に共通していることとして、6月下旬から7月にかけて株価の急落が起きています。
このことから、ディスコの同時期の急落は、同社単体の問題ではなく、業界全体の下落に引っ張られたものだと考えられます。

200Aと2644の違いはなんだろう?
200Aは半導体関連企業から時価総額上位30銘柄を厳選しています。
一方、2644は、製造や加工だけではなく、素材や部品メーカーなど幅広い銘柄で構成されている点が特徴です。
セクター全体より早めに急騰
2026年初頭に急騰しその後横ばいが続いたのも気になります。

どうして、他企業より早めに急騰し、セクター全体が一番盛り上がっていた時期にそこまで伸びなかったのかな?
その理由は、同社が半導体後工程の企業だからです。
後工程の企業は、比較的半導体需要の変化に影響されやすいという特徴があります。

前工程の装置はハイテクで高価だから半導体の需要拡大と共にすぐに設備投資できるわけじゃないよ!
それに比べて、後工程の装置は半導体の増産や歩留まり改善などに繋がるにもかかわらず、比較的安価で増設しやすいです。
したがって、半導体の需要拡大と共にすぐに設備投資されるのは後工程装置であり、それらを製造している企業の株価の変動は前工程企業に比べて早いです。
つまり、同社の株価がセクター全体が盛り上がっている時期にそこまで伸びなかった理由は、半導体の需要拡大が比較的早めに株価に反映されており、十分伸びきった後だったからだと考えられます。

ディスコの株価はセクター全体の指標にもなりそうだね!
ガイダンスが市場予想を下振れ
ガイダンスが市場予想を下回ったことも株価下落の要因です。
2026年7月23日に発表した2027年3月期第1四半期決算で、2Q単独の営業利益を559億円と予想しました。

しかし、市場では600億円強を予想されていたため、下振れる形となり、株価が大幅反落しました。

半導体セクター全体の下落と重なって大きな反落となったよ。
ディスコの強み


ディスコの強みは何かな?
以下3つの観点から、同社の強みを見ていきましょう。
AI半導体関連銘柄で独占的ポジションを獲得
やはり、同社の一番の強みは、その独占的ポジションの確立です。
「切る」「削る」「磨く」といった加工分野に特化していますが、これらは半導体業界においてニッチな領域になります。

他企業にとっては参入してもメリットが少ないんだね!
さらに同社には約80年分の加工データがあります。
理論上計算できたとしても、実際は結果が異なるということは多々あるため、生データを大量に保持し、ノウハウを確立している同社は技術面において圧倒的アドバンテージがあるのです。
また、すでに同社の製品は多くの半導体メーカーの製造ラインに組み込まれています。

途中で装置を他社のものに切り替えて、製品に欠陥が生じたとき、多額の損失が発生してしまうね。
したがって、少々価格が高くても、信頼と実績のあるディスコの商品を使う方が、長期的にみたとき安全で安く済むと考えられています。
装置+消耗品で高い収益
装置とブレード両方を製造している点も強みです。
競合である東京精密などが似た性能の装置を作れたとしても、ブレードでは、劣ったり特許の点で製造できなかったりする場合があります。
しかし、「切る」「削る」「磨く」といった加工工程では、装置とブレードが完璧に噛み合うことが必要です。

他社は、同レベルの装置だと勝てないね。
よって、競合にはない装置とブレード両方の製造といった特徴を持つことは、世界シェア1位を確立するのに大きな強みとなっています。
さらに、ブレードの製造は消耗品という側面からも大きな収益をもたらします。
現在AIの発展に伴い、半導体需要が急速に拡大していますが、この需要拡大に伴って半導体の製造量が増えると、ブレードの消費量も増えます。
したがって、装置を販売し一時的に儲けるだけでなく、ブレードという消耗品も手掛けることで継続的な収益につなげているのです。
パワー半導体業界からも需要が拡大
パワー半導体という新しい収益源を見つけたことも大きな強みとなっています。

最近増えているのは、HBMといったAIによく使われる半導体だよ!
しかし、これら(HBMなど)の半導体はAIブームが終わったとき、下落する恐れがあります。
よって、半導体関連銘柄はそれらの半導体に固執せず、他の収益源を持つ必要があります。
そんな中、ディスコはパワー半導体業界での需要を拡大させました。

パワー半導体は、電気自動車(EV)や電車等の輸送機械、太陽光発電、インフラなどあらゆる分野で使用される半導体だワン!
AIブームが去った後でも、安定した収益源を見つけた同社は株価が他の半導体関連銘柄に比べて下落しにくいと考えられるでしょう。
ディスコの弱み・下落リスク

次に同社の弱み・下落リスクについて見ていきます。
シリコンサイクルと高い連動性
先ほど、強みのところでAIブームが去った後でもパワー半導体という安定した収益源があると述べました。
しかし、結局は半導体に依存した事業内容であるため、シリコンサイクルに大きく影響されます。
シリコンサイクル
半導体市場が約3~4年周期で好況と不況を繰り返す景気循環のこと。半導体の主な材料がシリコンであることが由来。
シリコンサイクルで半導体の生産量が減少すれば、ブレードといった消耗品が売れなくなるため、同社の収益が大幅に減少すると考えられます。
半導体後工程の企業
「下落した理由」のパートでも述べた通り、半導体需要の変化は後工程装置の需要に影響しやすいです。
したがって、後工程であるダイシングやグラインディングなどの装置製造に特化している同社は他企業に比べ、半導体需要の変化に強く影響されると考えられます。

中国・地政学的リスク
地政学的側面も大きな下落リスクと考えられます。
同社は中国を最大の販売先地域としているため、米中対立の影響を受けやすいからです。

米国の輸出規制などが実施されたとき日本も半導体装置の輸出規制をかけさせられることがあるよ。
したがって、米国の動きによって同社の業績は大きく変化する恐れがあるのです。
今後の株価はどうなるのか


ディスコの今後の株価はどうなるのかな?
ここまで見てきた業績・強み・弱みを踏まえて、短期・中長期の2つの時間軸で整理していきます。
短期:ガイダンス下振れからの回復
直近の急落の直接的なきっかけとなったガイダンスの下振れですが、実際の実績値そのものは決して悪くありません。
2027年3月期第1四半期の対前年増減率は売上高+27.1%、営業利益+42.2%、純利益+44.0%と、前期の伸び率を大幅に上回っています。

業績自体は伸びてるのに株価が下がるのは、なんだか不思議だね。

成長期待が高い銘柄ほど、少しの下振れでも大きく売られやすいワン!
このような下落の場合、次回以降の決算でガイダンスを再び上回ることができれば、比較的早めに回復する傾向があります。
したがって、2027年3月期第2四半期以降の決算内容がより重要になるでしょう。
また、半導体セクター全体が同時期に下落していたことも踏まえると、半導体関連銘柄全体の地合いが回復すれば、連動して戻りやすいとも言えます。
中長期:AI需要とパワー半導体
中長期で見た場合、同社の事業基盤は引き続き強固です。
理由は主に以下の3点です。
- AI半導体需要の拡大が続く限り、後工程装置・消耗品両方の需要も拡大
- 約80年分の加工データと装置+ブレードの一体供給という、容易に模倣できない参入障壁
- パワー半導体という、AIブームに依存しない新たな収益源
特に、消耗品であるブレードは半導体の生産量に比例して継続的に売上が立つストック型のビジネスです。
装置単体の受注動向だけでなく、既存顧客の稼働率にも収益が支えられている点は安定性の面でプラスになります。
注意すべきリスク要因
一方で、以下のようなリスクには引き続き注意が必要です。
- シリコンサイクルによる半導体市況の反転
- 後工程企業ゆえの需要変化
- 対中輸出規制の強化
- AI関連投資の過熱感が剥落
特に同社は成長期待の高さゆえに株価のボラティリティが大きい銘柄であり、決算発表のたびに株価が大きく振れやすい傾向があります。
したがって、短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、四半期ごとの受注動向や中国事業の状況、パワー半導体分野の進捗などを継続的にチェックしながら、中長期的な視点で見ることが重要です。

業績の中身をしっかり見ていくことが大事なんだね。

一時的な株価の乱高下と事業そのものの実力は分けて考える必要があるワン!
【まとめ】ディスコの株価が急落した理由と今後の展望

ディスコの株価急落は、
- 半導体セクター全体の下落
- 半導体後工程企業としての値動きの早さ
- ガイダンスの市場予想下振れ
という3つの要因が重なって起きたものであり、同社の事業競争力そのものが悪化したわけではありません。

周りの環境によるものだったね!
むしろ、業績自体は増収増益を続けており、
- 独占的なポジション
- 装置とブレードの一体供給による高い収益性
- パワー半導体という新たな成長源
など、中長期的な強みは健在です。
一方で、シリコンサイクルや地政学リスク、後工程企業ゆえの株価のブレやすさは今後も同社の特性であるため、短期の急落・急騰に振り回されず、業績や需要動向を継続的に確認していく姿勢が大事でしょう。










