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・ロームの株価が下落したのはなぜ?
・競合と比較した強みや弱みは?
・今後の株価や配当はどうなるの?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
ローム株式会社(以下ローム)は、自動車用半導体や産業機器部品などの製造を行う日本有数の電子部品メーカーです。
そんなロームですが、ここ数年で株価が大きく変動しています。

実際に株価が下落した理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
そこで今回は、ロームの株価が下落した理由や今後のロームの株価・配当についてわかりやすく解説していきます。
正しい情報をお伝えするために随時更新を実施しますが、掲載内容には古い情報、誤った情報が含まれることがございます。
また、本記事でご紹介する企業や投資商品はすべて情報提供目的であり、投資を推奨・勧誘する目的はございません。
情報の取捨選択や投資判断は各ユーザー様のご判断・責任にてお願いいたします。
※掲載内容へのご指摘につきましては、お問い合わせフォームより受け付けております。
ロームの株価が急落した最大の理由は、EV(電気自動車)市場の成長鈍化が挙げられます。

EVといえば一時期すごく盛り上がっていたように感じるけど…
確かにEV市場は数年前まで大きく成長しましたが、BEV(バッテリー式EV)の市場予測は2023年をピークに、その後は継続的に下方修正が続いています。
実際、2030年までの年平均成長率(CAGR)の予測は、2024年時点の+19%から、2026年時点では+15%へと切り下げられました。

なんでEV市場の成長が鈍ってきているのかな?
理由は様々ありますが、直近では米国のガソリン車への回帰や、欧州における2035年以降の内燃機関搭載車の販売規制の見直しなど、各国の政策転換が大きく影響しています。
加えて、日本国内でもBEV開発の後ろ倒しが相次ぐなど、EVを取り巻く環境は数年前とは様変わりしました。

需要、供給共にブームの熱が落ち着き始めているワン!
ロームの主力は自動車や産業機器、家電などで用いられるアナログ・パワー半導体。
第1期中期経営計画期間(FY21〜FY25)の設備投資は累計6,082億円にのぼり、SiCを中心とするパワー半導体の生産能力増強に重点的に振り向けてきました。

急ピッチで生産設備投資を進めていた分、このような市場環境の変化はロームにとって大きな痛手となりました。
結果として同社は、投資額と市場成長の乖離により投資回収期間の長期化が不可避と判断し、26/3期にSiC事業の固定資産を中心とした巨額の減損損失を計上することとなりました。
さらに、中国地場のSiCデバイスメーカーが価格面で攻勢を掛けており、中国市場でのシェアが低下している点も逆風です。
現在、ロームの売上のうち自動車向け電子部品が占める割合は約50%。
コア事業での成長が期待しにくい分、株価も下落しているものだと考えられます。
EV市場の成長鈍化に加えて、産業機器製品の売上減少が長期化したことも株価下落の一因となりました。
産業機器はロームの売上の12〜13%を担う主要市場であるため、全体で見ても打撃は小さくありません。


なんでこんなに売上が落ちたんだろう?
実は、産業機器分野でもロームは市場環境に振り回される形となっていました。
というのも、2020年前後では産業機器に用いられるパワー半導体が不足しており、半導体不足とそこら中で騒がれていました。
逼迫していた需要に対して、半導体企業はこぞって生産を拡大。
ロームもその一員として追い風を受けました。

しばらくは「作れば売れる」という状況が続いたんだね。
しかしながら、半導体企業が生産を強化し続けた結果、需要が落ち着いた局面では過剰供給状態に。
市場全体で在庫調整が長期化した結果、ロームでも主力のパワー半導体が売れず、苦しい状況に立たされることとなりました。
もっとも、この在庫調整は26/3期にかけて概ね解消し、産業機器市場の売上は前期比7.0%増と回復基調に転じています。

ようやく長いトンネルを抜けたってことかな?
同社もFA(ファクトリーオートメーション)分野を中心に、27/3期はさらに5.0%の増収を見込んでいます。
ただし、数年にわたる不調が株価に織り込まれてきた経緯があり、回復の勢いが本物かどうかは今後の決算で見極める必要があるでしょう。
先述した2つから繋がる話となりますが、ロームの株価が下落した最終的な理由は、25/3期決算での業績が著しく悪化しているからだとまとめることができます。

概ね、株価の動きと売上や利益率の推移は一致しており、23/3期から25/3期での業績悪化を考えれば、株価の下落も妥当だと言えます。
また、25/3期上半期では業績予想に大幅な下方修正が加えられ、13年ぶりの赤字転落予想となり株価下落が加速しました。

「赤字転落」というフレーズがニュースで取り沙汰された影響も大きいよ…
自動車や産業機器用電子部品といった主力製品が不調となっていますが、今後新たな成長材料を提示できるかが争点となってきそうです。

💡このパートの要約
ロームの事業内容と業績について見ていきましょう。
ロームは、自動車、産業機器、民生機器、通信、コンピューター&ストレージの領域の中で4つのセグメントを展開しています。
それぞれの事業内容については、各項目をクリックしてご確認ください。
LSIセグメントでは、電子機器システムの入口、出口となるアナログIC及び全体をサポートする電源に注力して商品を展開。
全体売上の45.4%を占める。
半導体素子セグメントでは、EVや産業機器、民生機器などで主に使用されるパワー半導体商品を展開。
全体売上の42.7%を占める。
モジュールセグメントでは他社に比べて小型かつカスタム性の高い電子回路関係の電子部品を展開。
全体売上の6.6%を占める。
その他セグメントでは、宇宙産業分野で用いられる抵抗器などを中心に商品を展開。
自動車に使われる電子部品としてもニーズを獲得している。
全体売上の5.4%を占める。
さらに詳しく知りたい方は、同社HPの事業紹介ページも参考になります。

ロームの2025年度(2026年3月期連結決算)営業利益は前期比509億円増の108億6千万円となり、前期の営業赤字から黒字に転換しました。
一方で、SiC事業を中心とした1,936億円の減損損失を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損益は1,584億円の赤字となりました。
直近決算の詳細は以下の通りです。
| (単位:百万円) | 25/3期 | 26/3期 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 448,466 | 481,148 | +7.3% |
| 営業利益 | -40,061 | 10,864 | – |
| 経常利益 | -29,698 | 19,222 | – |
| 当期純利益 | -50,065 | -158,424 | – |
また、翌2026年度(2027年3月期)については、以下の通り業績回復を見込んでいます。
| (単位:百万円) | 2023/3期 | 2024/3期 | 2025/3期 | 2026/3期 | 2027/3期予想 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 507,882 | 467,780 | 448,466 | 481,148 | 510,000 |
| 営業利益 | 92,316 | 43,327 | -40,061 | 10,864 | 30,000 |
| 経常利益 | 109,530 | 69,200 | -29,698 | 19,222 | 36,000 |
| 当期純利益 | 80,375 | 53,965 | -50,065 | -158,424 | 29,000 |
| 自己資本比率(%) | – | – | 61.7 | 59.1 | – |
2022年度(23年3月期)まではパワー半導体の好調もあり業績を伸ばしましたが、半導体不足の落ち着きとともに業績が悪化し、25/3期には営業赤字に転落しました。
26/3期は営業黒字に回復したものの、BEV市場の成長見通しが従来想定を下回ったことでSiC事業の減損を迫られ、1,584億円という巨額の最終赤字を計上する結果となりました。

それでは、ロームの強みや弱みをそれぞれ見ていきましょう。
大きく以下の3つの特徴が挙げられます。
ロームの強みとしては、AIサーバー向けの電源技術で他社にない立ち位置を築いていることが挙げられます。
生成AIの普及に伴い、GPUの消費電力は2023年の700Wから2027年には3,600Wへと急増する見通し。
これに伴い、サーバー1台に搭載されるパワー・アナログ半導体の員数も飛躍的に増大しています。
| 既存サーバー | 次世代AIサーバー | |
|---|---|---|
| Power | 600個 | 22,000個(36倍) |
| Analog | 300個 | 17,000個(56倍) |
| 消費電力 | 13kW | 1,000kW(77倍) |

桁違いに部品が必要になるんだね!
ロームはパワー半導体とアナログ半導体の両方を自社で手がける、アジア唯一のワンストップメーカー。
この強みを活かし、エヌビディアとは800V電力供給システムで、デルタとは電源システムで協業を進めています。
特に電源制御に用いるDrMOSでは、第2世代製品で世界最高性能を達成(2026年4月同社調べ)。
サーバー向け売上はFY25の170億円からFY30には1,000億円超(年率+42%)を目指す計画です。

EV一本足だった収益構造から抜け出せるかがカギだワン!
ただし、AIサーバー関連の期待は既に株価にも織り込まれつつあるため、計画未達となった場合の反動には注意が必要です。
ロームの強みとして、自己資本比率が59.1%(2026年3月期決算時点)と高いことが挙げられます。
自己資本比率は50%を超えると倒産のリスクが少なく、かなり安全だと言われるため、ロームの59.1%という数字は加点要素だと言えるでしょう。
もっとも、巨額の減損損失を計上した影響で、前期の61.7%からは低下しています。
また、自己資本比率については同業他社も高い水準を有しています。
| 企業 | 自己資本比率 |
|---|---|
| ローム | 59.1% |
| ルネサスエレクトロニクス | 41.9% |
| 村田製作所 | 58.3% |
| TDK | 35.2% |
同社は事業統合を見据えて財務レバレッジの活用も表明しており、今後は自己資本比率がさらに低下する可能性もあります。
59.1%は依然として安全圏ですが、自己資本比率の推移を見ると手放しに喜べるわけでもないので、参考程度に止めておくのが無難だと考えられます。
先述した通り、直近の業績はロームにとってかなりネックだと言えるでしょう。
下の表は各社最新通期決算の主要項目をまとめたものです。
| 企業 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
|---|---|---|---|
| ローム | 4,811億円 | 108億円 | ▲1,584億円 |
| ルネサスエレクトロニクス | 13,212億円 | 2,011億円 | ▲517億円 |
| 村田製作所 | 18,308億円 | 2,818億円 | 2,339億円 |
| TDK | 25,048億円 | 2,724億円 | 1,956億円 |
どの企業もロームと同様の理由から近年はやや苦戦を強いられていますが、それでも業績は文字通り桁違い。
他3社は幅広いセグメントで利益を出している分、半導体に大きく依存するロームに比べてダメージは少なく済んでいます。
特に、2024年度の業績予想については一層差が開いており、ロームの魅力は一段低い状態にあるといって良いでしょう。

💡このパートの要約
ロームの株価や配当は今後どうなっていくでしょうか。
将来性や今後の見通しを分析していきます。
今後のロームに最も期待したい要素として、AIサーバー向けビジネスの急拡大が挙げられます。
生成AIの普及でデータセンター投資が世界的に急増しており、ロームはGPUの電源を支えるDrMOSやパワー半導体で存在感を高めています。
同社はサーバー向け売上をFY25の170億円からFY30には1,000億円超(年率+42%)まで伸ばす計画を掲げており、エヌビディアやデルタといったトッププレイヤーとの協業も進めています。

低迷していたEV頼みから、AIという新しい柱が育ちつつあるんだね!
これまで自動車依存の高さが弱みでしたが、成長分野の多角化が進めば、業績の安定性という観点でもプラスに働くと考えられます。
2つ目の注目材料は、東芝デバイス&ストレージおよび三菱電機のパワーデバイス事業との事業・経営統合協議です。
2026年3月に協議開始が発表されたもので、実現すればパワー半導体で世界2位級の大型再編となります。
国際競争が激化するパワー半導体市場において、技術力・生産規模・供給体制を一気に強化できる可能性を秘めています。

なお、デンソーからの株式取得提案は2026年4月に取下げとなったワン!こちらは協業継続の方向だよ。
ただし統合協議はいずれも基本合意段階であり、最終契約に至れば中期経営計画自体が見直される可能性もあります。
不確実性が高い分、進展次第で株価が大きく動く材料として注視しておきたいところです。
明るい材料が増えた一方で、主力のSiC事業はいまだ赤字であり、黒字化はFY2028目標と時間を要します。
BEV市場の成長鈍化に加え、中国製SiCデバイスの台頭で価格競争も激化しており、同社は6インチから8インチへの生産移行や第5世代デバイスの投入で巻き返しを図っています。
営業黒字への回復やAIサーバーという新たな柱は前向きに評価できるものの、巨額減損の記憶も新しく、先行きの不透明感は依然として残ります。
構造改革やSiC黒字化の進捗、事業統合の行方など、確認すべき材料が出そろうまでは、直近での性急な売買は避けたほうが無難だと考えられます。


ロームの株価が下落した理由について、よくわかったよ!
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
かぶリッジの結論
ロームは、EV市場の成長鈍化や産業機器市場での在庫調整といった市場環境の変化により業績が悪化し、株価が下落しました。
直近の26/3期は構造改革で営業黒字に回復したものの、SiC事業の巨額減損で1,584億円の最終赤字を計上し、依然として厳しい局面が続いています。
もっとも、AIサーバー向けビジネスの急成長や、東芝・三菱電機との事業統合など、これまでにない前向きな成長材料も出てきました。
ただし、SiC事業の黒字化はFY2028目標で、事業統合も最終契約には至っていないため、過度に楽観視するのは禁物です。
業績や統合協議の進捗など確定的な材料が出そろうまでは、投資判断を慎重に見極めた方が無難でしょう。