
・三菱商事の株価は今後どうなる?
・各総合商社はどう違う?
・三菱商事はどんな事業を展開していて業績はどうなの?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- バフェット氏の投資と大規模な自社株買いで、株価は長期的に右肩上がり
- 27年3月期は純利益1兆1,000億円(前期比37%増)の大幅増益計画
- 資源価格や地政学リスクに業績が左右されやすい点には注意が必要
三菱商事(8058)は、エネルギーや金属資源から食品、コンビニまで幅広く手がける日本最大級の総合商社です。
2020年にウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが5大商社への投資を公表して以降、商社株は日本株の中心的な存在となりました。
三菱商事の株価も2026年5月には上場来高値の6,012円をつけ、その後の調整を挟みつつも4,700円前後で推移(2026年10月初旬時点)。

ここまで上がると、まだ買っても大丈夫なのか気になるなぁ…
そこで今回は、三菱商事の株価が上がってきた理由と、他の総合商社との違い、今後の見通しを分かりやすく解説します。

執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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三菱商事の株価が上昇した理由3選【どこまで上がる?】

💡このパートの要約
- 長く放置されていた割安さにバフェット氏が着目し、見直し買いが進んだ
- ローソンの持分法適用会社化など、事業の入れ替えで資本効率を改善
- 中東情勢による資源高と過去最大1.2兆円の米シェールガス買収が追い風
三菱商事の株価上昇は、期間ごとに理由が異なります。
10年スパンの構造的な要因と、直近数年の個別要因に分けて見ていきましょう。
低迷していた割安株に、海外投資家の目が向き始めた
三菱商事は、資源から生活産業まで稼ぐ力を持ちながら、リーマン・ショック以降は長く株価が低迷していました。
2016年3月期には資源価格の急落で巨額の減損を計上し、連結決算を始めて以来初の最終赤字に転落しています。


日本一の商社でも赤字になったことがあるんだね…
その結果、商社株は「資源価格次第で業績がブレる」と敬遠され、PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込む割安な状態が続いていました。

この状況を変えたのが、2020年8月のウォーレンバフェット率いるバークシャー・ハサウェイによる5大商社株の保有公表です。
「投資の神様」が長期保有を前提に買ったことで、海外投資家を中心に商社株の見直し買いが一気に広がりました。
バークシャーは2025年末時点で三菱商事株の約10.8%を保有しており、2026年1月に就任したグレッグ・エイベルCEOも「数十年にわたって保有する」と明言しています。

2026年9月にはエイベルCEOが商社株の買い増しを検討していると伝わり、三菱商事の株価は一時5%超上昇したワン!
ローソンの持分法適用会社化などで資本効率を改善
2024年頃の上昇局面では、事業の入れ替え(資産リサイクル)による資本効率の改善が評価されました。
その代表例が、コンビニ大手ローソンの再編です。
2024年にKDDIがローソンへのTOB(株式公開買付け)を実施し、三菱商事とKDDIが50%ずつ出資する体制に変わりました。
出資比率が20%〜50%程度で、経営に重要な影響を与えている会社のことです。
子会社のように売上や資産をすべて取り込むのではなく、出資比率に応じた利益だけを取り込むのが特徴です。
ローソンが子会社から持分法適用会社に変わったことで、三菱商事は保有を続ける株式について1,232億円(税後・会社見込み)の再評価益を計上する見通しを示しました。
この再評価益や豪州原料炭事業の一部売却益もあり、25年3月期の純利益は9,507億円と中期経営戦略の目標を上回っています。
さらに、事業売却などで得た資金を大規模な自社株買いに回し、株主資本を圧縮することでROE(自己資本利益率)を高める方針を打ち出しました。

稼いだお金を株主に返しながら、効率よく稼げる体質に変えているんだね!
地政学要因による資源高と過去最大の買収で好調な動き
2026年に入ってからの上昇は、資源価格の上昇と大型投資への期待が大きな要因です。
2026年春には米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受けて原油価格が急騰し、低迷していた原料炭の市況が回復し、銅も高値圏で推移。
その結果、株価は2026年1月の安値3,610円から、5月15日には上場来高値の6,012円まで約4か月で約7割上昇しています。
加えて、2026年1月には米国のシェールガス企業エーソン(Aethon)の買収を発表しました。
| 買収総額 | 約1.2兆円(株式取得52億ドル+純有利子負債23億ドル) |
|---|---|
| 権益の場所 | 米テキサス州・ルイジアナ州(ヘインズビル盆地) |
| 生産規模 | LNG換算で年約1,500万トン(ピーク時は約1,800万トンの見込み) |
| 特徴 | 既に生産中の資産のため、早期に収益化が可能 |
三菱商事にとって過去最大の投資案件で、ピーク時の生産量は日本のLNG年間輸入量の約4分の1に相当する規模です。

米国ではAIデータセンターの電力需要が増えていて、発電に使う天然ガスの需要拡大も期待されているワン!
商社の事業内容は?三菱商事の事業内容と業績も解説

💡このパートの要約
- 総合商社は「売買の仲介」から「事業投資・事業経営」へ稼ぎ方が変化
- 三菱商事は7つの営業グループで資源から生活産業まで幅広く展開
- 業績は資源価格や一過性の損益で大きく変動しやすい
伝統的な卸売業から、事業投資へのビジネスモデルシフト

もともと総合商社は、メーカーと買い手の間に入って売買を仲介し、手数料を得る卸売業(トレーディング業務とも呼ばれる)が本業でした。
主な総合商社の機能
- 物流機能
→例:船舶などの輸送手段の手配- 金融機能
→例:保険機能の付与- 情報機能
→例:販路開拓のための情報提供
しかし1960年代には、メーカーが自ら海外と直接取引するようになりコスト削減のために垂直統合をする企業増えたため商社は不要になるという「商社斜陽論」が唱えられます。
高度経済成長やバブル期には取引量の拡大で問題が表面化しませんでしたが、平成不況で仲介ビジネスの限界が顕在化しました。

じゃあ、商社はどうやって生き残ったの?
答えは、資源の採掘から製造、小売まで、バリューチェーン全体に出資・関与する「事業投資」へのシフトです。
原料から販売までを一つのグループで手がける「垂直統合型」の企業が増えたことで、商社にも川上から川下まで幅広く関わる役割が求められるようになりました。
近年は単にお金を出すだけでなく、人材を送り込んで経営に深く関わり、バリューチェーン全体の最適化で稼ぐスタイルへと進化しています。
また特定の商品だけを扱う専門商社もそのノウハウやコネクションを活かして存在感を強めています。

このように単に商社といってもその事業内容や収益源は全くことなっているのです。

今では総合商社の利益の多くが、出資先からの持分利益や配当によるものだワン!
三菱商事の事業内容

三菱商事は、7つの営業グループで事業を展開しています(2026年3月までは8グループ体制)。
| 営業グループ | 主な事業 |
|---|---|
| エネルギー&パワーソリューション | 天然ガス・LNG開発、電力事業 |
| マテリアルソリューション | 化学品、鉄鋼製品 |
| 金属資源 | 原料炭、銅などの資源開発・トレーディング |
| 社会インフラ | 都市開発、インフラ事業 |
| モビリティ | アジアを中心とした自動車事業 |
| 食品産業 | 食品原料、サーモン養殖、農畜産 |
| S.L.C. | コンビニ、食品卸、ヘルスケアなど |
資源分野だけでなく、ローソンや三菱食品など私たちの生活に身近な非資源分野にも強い収益基盤を持っているのが特徴です。
三菱商事の業績

三菱商事の業績は、資源価格や一過性の損益によって年ごとの振れ幅が大きいのが特徴です。
主なトピックを時系列で確認しましょう。
| 決算期 | 純利益 | 主なトピック |
|---|---|---|
| 16年3月期 | △1,494億円 | チリ銅事業などで巨額減損、初の最終赤字 |
| 23年3月期 | 1兆1,806億円 | 資源価格高騰で過去最高益 |
| 25年3月期 | 9,507億円 | ローソン再評価益の一方、洋上風力で損失 |
| 26年3月期 | 8,005億円 | 一過性利益の反動で3期連続減益 |
| 27年3月期 (会社予想) | 1兆1,000億円 | LNGカナダ本格稼働、資源高で大幅増益計画 |
2016年3月期には、2011年に約4,200億円を投じたチリの銅事業で減損を計上し、初の最終赤字に転落しました。
一方、資源価格が高騰した23年3月期には過去最高の1兆1,807億円を記録しており、市況次第で利益が大きく動くことが分かります。

26年3月期は減益だったのに、なぜ今期は大幅増益の予想なの?
26年3月期の減益は、前期に計上したローソンの再評価益や原料炭事業の売却益がなくなった反動が主な理由です。
27年3月期は、カナダのLNG事業の本格稼働や銅など資源価格の上昇、三菱食品の完全子会社化などが利益を押し上げる見通しです。
実際に、8月に発表された第1四半期の純利益は2,985億円(前年同期比47.0%増)と好調なスタートを切っています。

年間配当も110円から125円への増配を予定しているワン!
三菱商事の強みと弱みは?他商社と徹底比較

💡このパートの要約
- 強み:1兆円規模の自社株買いなど積極的な株主還元
- 強み:資源と非資源の両輪による総合力
- 弱み:市況の影響を受けやすく、投資失敗で大きな損失を出すことも
まずは、5大商社を筆頭とする他の商社と比較をしてみましょう。

| 企業名 | 26/3期 純利益 | 27/3期 会社予想 | ROE (26/3期) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 三菱商事 | 8,005億円 | 1兆1,000億円 | 8.5% | LNG・金属資源に強く、非資源も幅広い |
| 伊藤忠商事 | 9,003億円 | 9,500億円 | 14.6% | ファミマなど非資源・川下に強い |
| 三井物産 | 8,340億円 | 9,200億円 | 10.2% | 鉄鉱石・エネルギーの比重が高い |
| 住友商事 | 6,003億円 | 6,300億円 | 12.9% | メディア・不動産・リースなど非資源 |
| 丸紅 | 5,439億円 | 5,800億円 | 13.6% | 穀物・電力・航空など |
26年3月期は伊藤忠商事が純利益でトップとなり、三菱商事は3位でした。
ROEでは三菱商事はローソンの持分法適用会社化に伴う再評価益の反動などの影響で最下位となってしまっていました。
ただし、27年3月期の会社予想では三菱商事が再び首位に立つ計画で、時価総額でも伊藤忠商事と首位を争っています(2026年10月初旬時点)。
他の商社について詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご参照ください。


強み①:積極的な株主還元により下値が堅い

三菱商事の大きな強みは、5大商社の中でも突出した規模の自社株買いです。
特に株価へのインパクトが大きかったのが、2024年2月と2025年4月の2回です。
2025年4月3日には、新たな経営戦略と同時に上限1兆円という異例の規模の自社株買いを発表しました。
発表直後は米国の関税ショックで株価が急落し、4月7日に2,257円の安値をつけましたが、自社株買いが下支えとなり、そこから約1年で株価は2倍以上に上昇しました。
この1兆円の自社株買いは2026年3月に完了し、取得した株式はすべて消却されています。

株価が下がっても会社が買ってくれるから、安心感があるね!
また、配当も、減配せずに維持または増配する『累進配当』を掲げています。
強み②:7グループの総合力
三菱商事のもう一つの強みは、資源と非資源の両方で大きな収益基盤を持つ総合力です。
特に三菱商事は環境変化に合わせて柔軟な戦略転換を実行し、ポートフォリオを組み替えてきました。

また近年の新たな社会課題に対しても、培ってきた上流資源と幅広い川下戦略を基に事業戦略の再編を行っています。

特に豪州原料炭や、欧州総合エネや、水産、鉄鋼製品・資源素材などの開拓・拡充を実施しています。このような柔軟さと幅広い収益源が三菱商事の最大の特徴と言えるでしょう。
天然ガスや資源分野の利益が高く、金属資源も強み
三菱商事は、1970年代のブルネイLNG以来50年以上にわたって天然ガス事業を手がけてきた実績があります。

現在はカナダのLNG事業が本格稼働に入り、米国のシェールガス事業も加わることで、ガスの生産から輸送・販売まで一気通貫で手がけられる体制が整いつつあります。
また金属資源分野では、豪州の原料炭やチリ・ペルーの銅事業に強みを持っています。

銅は電気自動車やデータセンターに欠かせない素材で、長期的な需要増が期待されているワン!
非資源事業においても多角的な展開
非資源分野でも、ローソン、三菱食品、ノルウェーのサーモン養殖事業、アジアの自動車事業など多様な事業を抱えています。
例えば以下の食品関連ようにこれらも調達から販売までの幅広いバリューチェーンの構築を実現しています。

伊藤忠商事ほど非資源に特化しているわけではありませんが、資源が不調な時期を非資源が支え、資源が好調な時期は大きく稼ぐというバランスの良さが特徴です。
弱み①:総合力ゆえの市況感応度の高さ
幅広い事業を持つということは、裏を返せば世界経済のあらゆる変化の影響を受けるということでもあります。

このように世界各地に投資をしているため、同社は各地に対してきめ細かなリスクマネー残高を試算し公表しています。
また多種多様な商品を扱っているために、カントリーリスクだけでなく多様なリスク要因にさらされています。
| リスク要因 | 業績への影響 |
|---|---|
| 資源価格 | LNG・原料炭・銅などの価格下落で利益が減少 |
| 為替 | 円高が進むと海外で稼いだ利益が目減り |
| 金利 | 大型投資の資金調達コストが上昇 |
| 地政学リスク | 中東情勢などでエネルギー供給網が混乱 |
| 気候変動・脱炭素 | 化石燃料関連の資産価値が下がるおそれ |
同社の試算では、米ドル・円が以下のように動くと年間の純利益が約50億円増減するとされています。

また、利益規模に対して多くの資本を使う資源事業の比重が大きいため、26年3月期のROEは8.5%と5大商社で最も低い水準にとどまっています。

会社は「ROE12%以上」を目標にしているけど、まだ差があるんだね。
弱み②:投資事業が失敗すると大きな損失に

三菱商事は2021年、国の洋上風力発電の公募で秋田県・千葉県沖の3海域をすべて落札しました。
他社を大きく下回る売電価格での落札でしたが、その後のインフレや円安で建設費が当初の2倍以上に膨らみ、採算が合わなくなります。
その結果、2025年2月には洋上風力事業で522億円の損失を計上し、同年8月には3海域からの撤退を表明しました。

脱炭素の目玉事業だっただけに、残念な結果だね…
チリ銅事業での赤字と同様に、大型投資は外部環境の変化で大きな損失につながるリスクがあることを示した事例といえるでしょう。
三菱商事の株価は今後どうなる?

💡このパートの要約
- 大型投資の利益貢献と株主還元で中長期的な株価上昇に期待
- 経営戦略2027で3年間に3兆円以上の成長投資を計画
- 投資の失敗や世界情勢の悪化には引き続き注意
結論として、三菱商事の株価は短期的な上下はあっても、中長期的には上昇が期待できると考えられます。
引き続き総合力による強みに注目
27年3月期は、これまでに実行した大型投資が本格的に利益に貢献し始めるタイミングです。

カナダのLNG事業のフル生産に加え、米シェールガス事業では2027年度に最大600億円の利益貢献が見込まれていると報じられています。
このような豊富な利益からくるキャッシュを様々な事業や株主還元に投じています。


各種取り組みは総合力による潤沢なキャッシュによって実現しているね!
EX・DXなど幅広い成長戦略への新規投資に注目

三菱商事は2025年4月に「経営戦略2027」を公表し、2027年度までの3年間で次のような投資を計画しています。
| 更新投資 | 約1兆円 |
|---|---|
| 拡張・新規投資 | 約3兆円以上 |
| 定量目標 | ROE12%以上、営業収益CF平均成長率10%以上 |
| 重点テーマ(創る) | 天然ガスバリューチェーン、バイオ資源、次世代型インダストリアルパーク、銅事業の強化など |
既存事業を磨き上げる「磨く」、事業を組み替える「変革する」、新たな事業を生み出す「創る」の3つを軸に成長を目指す方針です。
特に、EX(エネルギートランスフォーメーション)では天然ガスを脱炭素社会への「移行期のエネルギー」と位置付け、DX(デジタルトランスフォーメーション)では投資先の業務効率化を進めています。


資源を扱うからこそこうした取り組みに対する投資家の目線も意識しているんだね
リスクファクター
一方で、投資を検討する際には以下のリスクにも注意しましょう。
事業投資の失敗
チリ銅事業や洋上風力のように、大型投資は環境の変化で巨額の損失につながるおそれがあります。
8000億円を投じた米シェールガス事業も、ガス価格が大きく下落すれば減損リスクを抱えることになります。
世界情勢の悪化による各方面への影響
2026年の株価上昇は、中東情勢の緊迫による資源高の影響も大きいため、情勢が落ち着いて資源価格が下がれば株価の重しになる可能性があります。

バッファーとして300億円を設定しているものの四半期ごとの開示は注視する必要があります。

業績予想の修正や資源価格の動きは、こまめにチェックしておこう!
【まとめ】三菱商事の株価は今後も上昇する?


三菱商事の今後の株価について、よくわかったよ!
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
かぶリッジの結論
- バフェット氏の投資と大規模な自社株買いで、株価は長期的に右肩上がり
- 27年3月期は純利益1兆1,000億円(前期比37%増)の大幅増益計画
- 資源価格や地政学リスクに業績が左右されやすい点には注意が必要
三菱商事は、資源と非資源の両輪を持つ総合力と、手厚い株主還元が魅力の銘柄です。
一方で、資源価格や世界情勢によって株価が大きく動くこともあるため、短期的な値動きに振り回されない姿勢が大切です。
三菱商事の株については、長期的な視点に基づいて投資を行っていきましょう。







