・半導体製造装置メーカーってどんな企業?
・半導体製造装置関連銘柄でおすすめはある?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- 半導体製造装置メーカーは大きく6種類に分類できる
- ファウンドリや半導体メーカーの設備投資の影響を受けやすい
- 日米企業のシェアが高い傾向にある
あなたの周りにある、多くの製品に搭載されている半導体。
近年注目を集めている分野で、関心を持つ方も多いのではないでしょうか。
半導体企業に投資したいけど、たくさんありすぎて分からないんだよな…
実はこの半導体を作る機械が大変重要になってきます。
そこで今回は、半導体製造装置の意味や、今注目したい半導体製造装置メーカー関連銘柄5選を分かりやすく解説していきます。
執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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半導体メーカーとは【基礎知識】
そもそも半導体メーカーって何なの?
そもそも半導体メーカーとは、半導体の設計や製造、加工などを行う企業のことを幅広く指します。
広義には、半導体製造装置メーカーや半導体材料メーカーを含むこともあります。
ここでいう半導体とは、ICチップのことを指している場合が多いです。
ICチップとは、 シリコンチップの上に従来別々だったディスクリート(トランジスタやコンデンサなど)の機能をまとめたものです。
半導体とは
半導体って具体的にはどういうものなの?
半導体とよく同義とされるICは、大きくロジックとメモリー半導体に分けることができます。
今回取り上げているロジック半導体は、 デジタル信号をメモリから読み取り、何らかの処理を実行した上でメモリに書き込む専門性の高いICです。
また、CPUを搭載していて、複数の機能・装置をまとめてチップ化したマイクロもロジックの一種で、PCやスマートフォンの心臓部を構成しています。
半導体製造過程
半導体って、どうやって作られるんだろう?
半導体の製造工程は大きく「設計工程」「前工程」「後工程」の3つに分けられます。
材料であるシリコンから最終製品である半導体チップまで400〜600の工程が必要だと言われていて、多くの企業が関わっているのです。
それだけ高付加価値な製品なんだね!
設計・前工程・後工程のうち、今回取り上げるのは前工程です。
具体的なプロセスを確認してみましょう。
工程 | 材料 | 内容 |
---|---|---|
①成膜 | 酸素ガス* | 電子回路を作る基盤となる薄膜を形成 |
②リソグラフィー | フォトレジスト、現像液 | フォトマスクを通して回路パターンを転写 |
③エッチング | エッチングガス | フォトレジストで形成されたパターンに従って、ガスで薄膜を削る |
④洗浄/乾燥 | 洗浄液 | エッチング後に残っている細かな異物を洗い流す |
⑤イオン注入 | リン・ホウ素 | イオン化したリンやホウ素を注入 |
⑥平坦処理 | 研磨液(スラリー) | ウェハ表面の凹凸を削り、平坦にする |
フォトレジストは光を当てるとなぜ性質が変化するの?
フォトレジストは感光材とも呼ばれ、紫外線を当てると性質が変化する樹脂です。
フォトレジストには、現像液をかけると光に当たった部分が溶ける「ポジ型」と、当たっていない部分が溶ける「ネガ型」が存在します。
イオンを注入するのはどうして?
ウェハの元となっているシリコンは、ほとんど電気を通しません。
そこでイオン化したリンやホウ素を注入することで、電気が流れるようになるのです。
半導体製造装置メーカーの種類
半導体製造装置メーカーはその名の通り、半導体を作るための装置を製造・販売している企業です。
半導体製造装置メーカーって具体的にはどういう企業があるの?
装置メーカーは半導体の製造過程ごとに分類することができます。
前/後工程 | 装置 | 概要 | 代表的な企業 |
---|---|---|---|
前 | 成膜装置 | ウェーハに電子回路を作る基盤となる層を作成するための装置 | AMAT(米国) LRCX(米国) 東京エレクトロン(8035) |
前 | 露光装置 | ウェハに回路パターンを露光させ、チップを製造するための装置(前工程の一つ) | ASML(オランダ) ニコン(7731) |
前 | 洗浄・CMP装置 | ウェハのエッジングや洗浄などを行うための装置 | SCREEN HD(7735) |
前・後 | 検査装置 | 前・後工程において検査を行うための装置 | KLAC(米国) レーザーテック(6920) アドバンテスト(6857) |
後 | ダイシング装置 | ウェハの切断や研磨などを行うための装置 | 東京精密(7729) ディスコ(6146) |
後 | ボンディング装置 | チップと外部を接続させるための装置 | KLIC(シンガポール) |
半導体製造装置メーカーは、半導体メーカーやファウンドリー企業の動向に大きく左右されます。
昨年、メーカーやファウンドリーが設備増強を発表し、製造装置メーカーに多くの注文が入りました。
過去最大の設備投資が続いており、今後も高い水準で成長することが見込まれます。
半導体業界の企業はお互いに密接に関わっているんだね!
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【一覧表】半導体製造装置メーカー関連銘柄5選(前工程編)
半導体製造装置メーカー関連企業にはどんなところがあるのかな?
半導体製造装置メーカー関連銘柄を早く知りたい方に向けて、まずは一覧表で5社を紹介します。
会社名 | ティッカーシンボル | 市場 | 株価 | 時価総額 |
---|---|---|---|---|
東京エレクトロン | 8035 | 東証プライム | ¥27,035 | 約13.05兆円 |
アプライド・マテリアルズ | AMAT | NASDAQ | $192.05 | 約24.32兆円 |
ASML HD | ASML | NASDAQ | $756.33 | 約46.50兆円 |
SCREEN HD | 7735 | 東証プライム | ¥10,910 | 約1.15兆円 |
レーザーテック | 6920 | 東証プライム | ¥15,475 | 約1.48兆円 |
以下でそれぞれの企業について詳しく解説します。
東京エレクトロン(8035)
- 株価:27,035円
- 時価総額:13.05兆円
- 配当利回り:2.06%
東京エレクトロンは東証プライムに上場していて、時価総額は約13.05兆円となっています。
日本で11番目に時価総額の高い企業だね!
そんな東京エレクトロンは、 半導体製造装置メーカー市場にて、世界シェア第4位で日本企業では最もシェアが大きいです。
同社の強みとして、前工程における製造装置を網羅している点が挙げられます。
前工程における基幹工程4つの製造装置を作っている世界唯一の企業となっています。
前工程を担う企業はほとんど東京エレクトロンで装置を揃えられるのね!
半導体製造装置は1台購入するのに億単位の費用がかかるものも多く、顧客側は慎重に質の高い製品を選ぼうと考えます。
また、半導体装置業界は設備投資が膨大なため、業界への参入障壁も高く、同社のように高いシェアを誇っている企業がさらに業績を伸ばすことが可能になります。
後工程(パッケージング・検査)においてもプレゼンスが高いワン!
どんな製品でシェアが高いのかな?
以下、東京エレクトロンの主要製品の世界シェアです。
半導体製造装置においては、どの製品でも 20%以上ものシェアを誇っており、コータ/デベロッパーについては90%と圧倒的なシェアを獲得しています。
コータ/デベロッパーってどんな製品なのかな?
同製品は、感光剤(レジスト)の塗布と現像を行う装置です。
具体的には、①ウェーハ上に感光剤を塗布し、②露光装置により回路パターンが転写された後に露光部分を現像液で溶解する工程で使用されます。
回路パターンの転写前後の過程を担う装置を作っているんだね!
半導体製造装置に加えて、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置においても高いシェアを誇っています。
TVやスマートフォン、PCディスプレイなど、私たちの生活に浸透し、生活必需品ともいえる機器に搭載されています。
半導体製造装置がメインでFPDが売上に占める割合は3%程度しかないワン!
収益面では営業利益率が年々改善しており、現在では24.9%と技術力を生かした付加価値の高いビジネスモデルの確立に成功しています。
この収益性の背景には幅広い製品展開と開発から販売まで一貫したビジネスモデルが挙げられます。
アプライド・マテリアルズ(AMAT)
- 株価:$192.05
- 時価総額:24.32兆円
- 配当利回り:0.79%
アプライド・マテリアルズはナスダックに上場していて、時価総額は24.32兆円となっています。
同社は半導体製造装置市場で、シェア2位を誇ります。
ウェハー上に作られる薄膜の形成時に使用される製造装置に強みがあります。
- CVD(プラズマを使用してウェーハ上に薄膜を形成)
- PVD(酸化させるなど、物理的手段を用いて薄膜を形成)
- スパッタリング装置(真空中でイオンを衝突させて薄膜を形成)
また、上記3つに加えて、科学研磨剤を使って機械的にウエハーを研磨する工程で使用される、CMP装置でも世界シェアトップを獲得しています。
加えて、不要になった薄膜を取り除くドライエッチング装置では、ラムリサーチ、東京エレクトロンに次いで世界第3位となっています。
収益面については、総費用に占める固定費の割合が高いので、売上が伸びるとその分利益も伸びる傾向があります。
また、配当利回りは0.79%と低いですが、自社株買いが多いです。
2024年度通期業績は、売上高・営業利益とも過去最高を記録しました。
一方で、予想を下回る第1四半期の売上高見通しを示したこともあり、株価は下落傾向となっています。
ASML HD(ASML)
- 株価:$756.33
- 時価総額:46.50兆円
- 配当利回り:0.83%
ASML HDはナスダックに上場していて、時価総額は約46.5兆円となっています。
同社はオランダに本社を置く企業で、アムステルダム取引所にも上場していますが、ADRを通じてナスダックにも上場しています。
オランダ企業では、2位のプロサスに3倍以上の差をつけて、時価総額が1位なんだワン!
同社は半導体製造装置市場でシェア第1位の企業です。
露光装置に強みがあり、市場シェアは90%以上と圧倒的なプレゼンスを誇っています。
特に、最先端半導体の製造に欠かせない「EUV(極端紫外線)露光装置」を供給できる唯一の装置メーカーとなっています。
露光装置シェア2位のキャノンと4位のニコンは苦戦を強いられているんだワン!
2024年第3四半期決算は、売上高75億ユーロ(前年同期比+19.6%)と好調でしたが、2025年見通しを下方修正したことから株価は大きく下落しました。
工場の建設が遅れていることを理由の一つに挙げており、受注額が大きく減少しました。
SCREEN HD (7735)
- 株価:10,910円
- 時価総額:1.15兆円
- 配当利回り:2.15%
SCREEN HDは東証プライムに上場していて、時価総額は1.15兆円となっています。
同社は、半導体製造装置市場でシェア第7位の企業です。
洗浄装置に強みがあり、洗浄装置市場では世界1位のシェアを誇っています。
このウエハー洗浄は全行程の約30%を占めているともいわれ、その除去率の高さによって生産性が変わる非常に重要な工程です。
洗浄方法には、ウェット洗浄とドライ洗浄がありますが、現在では99%以上がウェット洗浄となっています。
ウェット洗浄装置には、ウェーハーを1枚ずつ洗う枚葉式と複数を同時に洗うバッチ式が存在します。
SCREEN HDは前者で34%、後者で約47%のシェアを獲得しており、洗浄装置市場のリーディングカンパニーです。
枚葉式とバッチ式だとどっちの方がいいの?
バッチ式の方がコスト面で有利ですが、枚葉式の方が処理状況に応じて、柔軟に対応ができます。
そのため、どちらの方が優れているか等は一概に言えず、製造上の必要なプロセスによって変わってきます。
例えば、メモリのように汎用品を大量に作る場合にはバッチ式の方が有利ですし、逆にカスタムICのように特定の顧客の専用品を作る場合には柔軟性のある枚葉式のほうが有利です。
近年はウエハーのサイズが大型化していて、多品種少量生産の流れにもなってきていて、枚葉式がクローズアップされてきているんだワン!
レーザーテック(6920)
- 株価:15,475円
- 時価総額:1.48兆円
- 配当利回り:1.83%
レーザーテックは東証プライムに上場していて、時価総額は約1.48兆円となっています。
リーマンショック直後の2009年からの11年間で時価総額が100倍になったワン!
同社は検査装置に強みがあり、その中でもフォトマスクの検査を得意としています。
元々半導体業界ではフォトマスクの検査を人の目視で行っていました。
しかし、1976年にレーザーテックが世界で初めてフォトマスクの欠陥検査装置を開発しました。
現在では、EUVを用いたマスクブランクスの検査装置に関しては、世界でレーザーテックしか生産できないため、世界シェアが100%と市場を独占しています。
フォトマスクの検査装置についても世界シェアが約80%となっています。
マスクブランクスってどんな製品なのかな?
マスクブランクスとは、露光の際に必要な素材となっています。
以下、露光において必要な素材と流れです。
このように、マスクブランクスは露光に欠かせないのにも関わらず、同社は高いシェアを誇っており、半導体製造において必要不可欠な企業となったのです。
収益の特徴としては、大手半導体メーカーが売上の多くを占めていることです。
TSMC、サムスン、インテルの3社が売上の約80%のため、大手メーカーの動向が同社に大きな影響を及ぼします。
また、シェア100%と言っても、検査装置業界の競合で資金力もあるKLAテンコールが追随する可能性もあるため、目が離せません。
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半導体製造装置メーカーの見通しは?
今後、半導体製造装置メーカーの需要は伸びるのかな?
今後の国内外の半導体製造装置メーカー市場がどのように動いていくのか、考察していきましょう。
AI向け半導体の需要拡大
半導体はPCやスマートフォン、自動車、家電といった様々な製品に搭載されており、私たちの生活に欠かせない存在です。
ここ最近は生成AIの登場により、特にAI向け半導体の需要が急拡大しています。
今後もAI関連の投資がさらに活発化することを踏まえると、AI向け半導体市場の成長は継続して続くことが予想されるね!
一方で、EV向けの半導体需要は落ち着きつつあり、成長スピードの鈍化が懸念されています。
このように、半導体にはさまざまな種類があり、企業ごとに扱う半導体が異なる場合もあります。
そのため、それぞれのトレンドを正確に見極めることが、今後の投資判断において重要となるでしょう。
半導体製造装置メーカー関連銘柄に投資するには?
半導体製造装置メーカー関連銘柄に投資するには、何から始めたらいい?
半導体製造装置メーカー関連銘柄に投資するには、まずは証券会社で口座を開設する必要があります。
上述した2社は外国企業なので、外国株にも投資できる証券会社がおススメです。
ネット証券はパソコンやスマホから簡単に口座開設ができ、特におすすめなのは以下の3社です。
- マネックス証券
- SBI証券
- moomoo証券
どれも無料で口座開設できるので、それぞれ順番に解説しますね。
マネックス証券【為替手数料が安い】
マネックス証券は米国株投資で人気の証券会社です。
特に、米国株を4,500銘柄以上取り扱っているため、先述した半導体銘柄へも投資できますよ。
米ドルの買付為替手数料(スプレッド)が0円なのが特徴的だワン!
SBI証券【9ヵ国もの株に投資可能】
SBI証券は、国内株式個人取引シェアNo.1のネット証券最大手です。
また、問い合わせ窓口やWEBサポートも充実しており、投資を始めたばかりの方でも安心です。
日本株と米国株の売買手数料が0円だよ!
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SBI証券なら1株から日本株に投資できます。
高配当株・優待株もお任せ!クレカ積立でポイントも貯まる
moomoo証券
moomoo証券を初めて聞く方が大半なのではないでしょうか?
ナスダック上場企業であるFutu Holdings Limitedのグループ会社で、利用者は世界200ヶ国と地域、1,900万人以上に及んでいます。
moomoo証券の最大の魅力は、アプリ「moomoo」です。
どんなアプリなんだろう?
moomooを一言で表すと、「次世代投資アプリ」です。
「次世代」と言われる理由には、従来の金融・投資情報アプリを上回る、60以上のテクニカル指標を備えた高機能チャートやどこよりも早い米国株式ニュース機能があげられます。
他にも、100以上のパラメータを使った株式スクリーナーなどもあり、本記事には載せきれないほど米国株に相性の良い機能が備わっています。
最大10万円相当
moomoo証券では人気株の買付代金が必ず当たるキャンペーン実施中
ダウンロードは無料なので、詳細はアプリで確認
【まとめ】半導体製造装置メーカー関連銘柄に注目
半導体製造装置メーカーについて、よく理解できたよ!
この記事では半導体製造装置メーカーの基礎知識や半導体製造工程、半導体製造装置メーカー関連銘柄について詳しく解説してきました。
最後に、本記事の重要なポイントを3つにまとめます。
- 半導体製造装置メーカーは大きく6種類に分類できる
- ファウンドリや半導体メーカーの設備投資の影響を受けやすい
- 日米企業のシェアが高い傾向にある
半導体製造装置メーカー関連銘柄に限らず、株式投資では時代の流れを読むことがとても大切です。
「いま何が流行っているのか?」「これから普及するテクノロジーは何か?」など、日々ニュースに触れておきましょうね。