
水素関連銘柄の本命企業はどこ?
水素事業の今後の展開は?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- 政府が掲げた2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて「水素」が注目されている
- 市場規模は高成長中、割安な銘柄もまだ存在している
- 現在は投資回収の不確実性があるが、脱炭素に向けた潮流から長期的な株価上昇トレンドである
近年、脱炭素に向けた世界的な潮流が見られ、日本でも2023年に「水素基本戦略」が改訂されました。
「水素基本戦略」では、国による基本方針の策定や事業者に対する支援制度などが示されるなど水素社会への進展を国が主導となって進めています。
以上のように、次世代のエネルギーとして注目されている「水素」。
水素はまだ広く実用化されていませんが、これからくる長期的トレンドとして押さえておきたいテーマといえるでしょう。
この記事では、各社の水素事業の展開を踏まえながら日本の水素関連銘柄本命7選を紹介していきます。


執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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水素関連銘柄とは?


水素関連銘柄とは、水素事業に関わる銘柄全般を指します。
このパートでは、水素の基本情報に加え、水素事業のバリューチェーンについて解説していきます。
このパートの要約
- 水素は燃料として使われ、使用後は水しか排出しないため、脱炭素化に有効である
- 水素事業は主に、「つくる」、「はこぶ・ためる」、「つかう」に分けられる
- 市場規模は年々成長を遂げ、政府も力を入れている分野である。
なぜ今水素なのか?
水素が持つ最大の魅力は、エネルギーとして利用する際に二酸化炭素(CO2)を排出しない点です。
世界が「脱炭素社会」へと舵を切る中で、水素はカーボンニュートラルを実現するための切り札として、かつてない注目を集めています。



燃料電池で発電したり燃焼させたりしても、排出されるのは水だけだよ!
これは、ガソリンや石炭といった化石燃料を代替し、社会全体の「カーボンニュートラル」達成に不可欠な特性です。
また、日本はエネルギー資源のほとんどを海外に頼っており、国際情勢の不安定化はエネルギー価格の高騰と安全保障上の脆弱性につながります。
水素は宇宙で最も多く存在する元素であり、地球上でも水(H2O)など、多様な資源から作り出すことができます。
この枯渇の心配がないという特性は、国産エネルギーとしての期待を高めます。



日本政府や企業は水素社会の実現に向けて政策支援とインフラ整備を行っているよ!



ノーベル賞を受賞した北川進氏の多孔性金属有機構造体(MOF)も水素社会実現に非常に有効な研究だワン!
どんな事業が展開されている?
水素事業は主に、「つくる」、「はこぶ・ためる」「つかう」に分けられます。
- 水電解装置の製造:水を電気分解して水素を生成する装置の製造・開発
- 水素製造プラント・技術開発:天然ガスやバイオマスなどの多様な原料から効率的に水素を取り出すプラント技術の開発
- 素材・部材の開発:水電解装置や燃料電池の効率を高める膜や触媒などの高性能な要素技術・部材の開発
- 水素ステーションの整備:燃料電池車(FCV)などに水素を充填するための水素ステーション(圧縮機、充填設備、貯蔵タンクなど)の建設・運営
- 運搬・貯蔵インフラ:液化水素運搬船や水素貯蔵タンクの開発・製造
- センサー・安全技術:漏洩検知のための高感度な水素センサーの開発など、水素利用の安全性を高める技術
- モビリティ・運輸:FCVや燃料電池バス、トラックに搭載される燃料電池や関連部品の製造、水素エンジンの開発
- 水素発電・混焼技術:火力発電所などで、天然ガスに水素を混ぜて燃焼させる混焼タービンや、水素を専焼する発電技術の開発
- 定置用燃料電池:家庭用燃料電池(エネファーム)や、非常用電源としての産業用燃料電池の製造・販売



企業ごとに取り組んでいる分野が違うよ!
市場規模と現状
「FORTUNE BUSINESS INSIGHTS」によると水素の市場規模は以下のように成長すると予想されています。


2023年に1,676億2000万米ドルと評価されており、2024年に1,767億4,000万米ドルから2032年には2,782億6,000万米ドルへ成長しています。
また、2024年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)5.84%を示すと予測されています。
日本でも、水素基本戦略が改定され、2030年までに300万トン、2050年までに2,000万トン/年程度の水素(アンモニアを含む)の導入目標が示されており、水素関連の事業規模は増々拡大していくと予想できます。



水素はこれからの注目テーマといえるね!
水素関連銘柄【本命7選】


ここでは、水素関連の本命銘柄7選を紹介していきます。



どんな水素事業をおこなっているのかな?
岩谷産業
岩谷産業は水素事業の中核といえる銘柄です。
岩谷産業は全国で水素ステーションを展開、国内51カ所、米国9カ所で運営、日本全体で161カ所がオープンしています。
同社の最大の強みは、水素を安全かつ大量に貯蔵・輸送する技術とインフラにあります。
水素を運んだり貯めたりする際は、効率化のために水素を圧縮するため高圧水素トレーラーで運搬。
同社はそれに加えて、水素を液化することで体積を縮め、運搬や貯蓄を行うことを得意としています。



水素を液体にすると体積は800分の1になるよ!
液化水素の製造・商用販売を行う国内唯一のサプライヤーとして全国に液化水素を供給しています。
最近の具体的な取り組みは以下の通りです。
- 日豪の水素サプライチェーン構築
- 液体水素サプライチェーンの商用化実証
次に、岩谷産業の株価を見ていきましょう。
- 株価:1,607.5円(2025年10月16日終値)
- PER:9.00倍
- PBR:0.96倍
PBRが1倍未満であり、今後の水素事業の展開次第では、大きく成長する余地があると考えられます。
2025年3月期では、売上高883,011百万円(前期比4.1%)、当期純利益40,448百万円(前期比-6.9%)と増収減益でした。
一方で、2026年3月期の業績予想は売上高936,400(前期比6.0%)、当期純利益48,800百万円(前期比20.6%)で、増収増益となっており、今後の成長に期待が持てそうです。
ENEOSホールディングス
ENEOSホールディングスはイノベーションの一環として水素事業にも取り組んでいます。
エネルギー事業会社として知られている同社は、そのノウハウと設備を活かして、水素サプライチェーンの構築に挑戦中です。





既存の製油所や運搬ノウハウをうまく活用することで、スムーズに事業を展開できそうだね!
同社は「Direct MCH」といった独自の技術を開発し、従来の半分の工程で有機ハイドライド「MCH」を製造することが可能に。
ガソリンと性状が似ている「MCH」という液体に換えて運ぶこととで既存の製油インフラを利用することができます。
次に、ENEOSホールディングスの株価を見ていきましょう。
- 株価:931.7円(2025年10月16日終値)
- PER:11.37倍
- PBR:0.79倍
2025年7月から株価は上昇傾向にありますが、現在でもPER、PBRともに低水準です。
一方で、2025年3月期の業績では売上高12兆3224億94百万円(前期比-0.2%)、純利益2260億71百万円(前期比-21.5%)と減収減益となっています。
2026年3月期の業績予想も減収減益の予想とこの先の動向に注意が必要です。
川崎重工業
川崎重工は水素のインフラ作りやサプライチェーン構築に取り組んでいます。
特に力を入れて取り組んでいるのは、水素をマイナス253℃での液体水素のまま体積を小さくし、大量輸送・大量貯蓄を可能にする技術の開発です。
2022年には、実証船『すいそふろんてぃあ』による液化水素の輸送実証実験が成功しました。



現在は商用向けの液化水素運搬船の開発を進めているよ!
また、水素をためる分野では、LNG分野で培った極低温技術を活かして液化水素の荷役にかかる設備・機器の開発に取り組んでいます。
LNG分野とは?
液体天然ガスのこと。
天然ガスをマイナス162℃まで冷却して液化させます。
これにより、気体の状態と比べて体積が約600分の1に圧縮されます。
その他にも圧縮水素を各地に送り届けるパイプライン網、大量の液化水素を安定的に蓄えられる巨大貯蔵タンク、陸上輸送を担う液化水素専用タンクローリーや輸送用コンテナの開発を進めています。



川崎重工は岩谷産業も参加している「HySTRA」という水素事業の技術確立と実証に取り組む企業団体に所属しているんだワン!
次に株価を見てみましょう。
- 株価:9,869円(2025年10月16日終値)
- PER:18.01倍
- PBR:2.26倍
川崎重工は防衛関連銘柄としても注目度が高い銘柄となっており、株価は上昇トレンドとなっています。
PER、PBRともに高水準で、やや割高感があります。
2025年3月期の決算では売上収益前期比15.1%、親会社の所有者に帰属する当期利益前期比246.8%と大きく伸びを見せました。



最新の2026年3月期第一四半期の業績では大幅な減益があり、通期の業績予想では売上高の下方修正が発表されたよ。
多くの事業を展開している川崎重工の株を保有する際は、他のセクターの動向もチェックする必要があります。


豊田合成
豊田合成はゴムや樹脂を原料とした自動車部品の製造・販売で、内外装部品や、エアバッグなどのセーフティシステム製品を手掛けている会社です。
同社は燃料電池車(FCEV)を普及のために、樹脂技術を活用し、航続距離の延長やコストの低減を取り組んでいます。
後に詳しく紹介しますが、トヨタ自動車が開発したFCEV「MIRAI」の3本目の水素タンクを豊田合成が開発・生産しています。



樹脂技術によって高い密閉性と耐圧性を実現した高圧水素タンクを生産しているよ!
また、2022年10月から商用トラック向けの大型タンクの生産を開始。
商用車に限らず、バイクや船舶、鉄道など、各種モビリティの搭載を視野に、高圧水素タンクの開発を進めています。
次に株価を見てみましょう。
- 株価:3,585円(2025年10月16日終値)
- PER:12.69倍
- PBR:0.85倍
2025年5月ごろから力強い上昇を見せています。



同社はトヨタ自動車(7203)の株価動向に大きな影響を受けやすいよ!
2025年3月期の業績は売上高1兆597億98百万円(前期比-1.1%)、当期純利益363億31百万円(前期比-29.4%)で、顧客の生産台数現状の影響を受けたため減収減益となりました。
2026年3月期の業績予想では売上高1兆円(前期比-5.6%)、当期純利益380億円(前期比4.6%)と減収増益の予想です。
PBRが1倍未満ですが、業績が不安定であり、割安と言い切ることはできません。
トヨタ自動車の「MIRAI」の今後の動向によって豊田合成の水素事業の展開が決まってくるでしょう。



業績は自動車メーカーの動向に左右される傾向にあるんだワン!
トーヨーカネツ
トーヨーカネツは、主にプラント事業と物流ソリューション事業を二大柱とする企業です。
特に水素関連事業においては、その卓越したタンク技術を活かし、水素サプライチェーンの非常に重要な一角を担っています。
トーヨーカネツが水素関連で担う役割は、「貯蔵」です。
CO₂排出削減に寄与する大型液化水素タンクの実用化に向けた開発を進めているほか、大型液化アンモニアタンク、大型液化CO₂タンクの普及に取り組んでいます。





様々な方法で水素をためることができるんだね!
次に株価を見てみましょう。
- 株価:4,510円(2025年10月17日終値)
- PER:9.48倍
- PBR:0.92倍
こちらも2025年5月ごろから力強い上昇を見せています。



その前の暴落はトランプ関税の影響が大きいよ!
2025年3月期の決算では604億74百万円(前期比12.4%)、当期純利益36億38百万円(前期比2.4%)と売上高過去最高を記録しました。
2026年3月期の業績では、売上高620億円(前期比2.5%)、当期純利益25億円(前期比-31.3%)と大幅な減益予想となっています。
三菱化工機
三菱化工機は、プラント・環境設備の建設・エンジニアリングと、各種単体機械の製作及び、納入後のアフターサービスを軸に事業を展開しています。
「水素を造る技術」と「水素を供給するインフラ」の両面で水素社会の実現に貢献している企業です。
同社は2050年経営ビジョンの中で、「水素を核としたクリーンエネルギー事業」を2035年の中核事業の一つとすることを掲げています。
特に注目なのが、小型オンサイト水素製造装置「HyGeia(ハイジェイア)シリーズ」の開発です。
HyGeia(ハイジェイア)は、13A都市ガス(天然ガス)やLPGを原料に水蒸気改質法で高純度(99.999vol.%以上)の水素ガスを製造する設備です。
水素ガスをオンサイト(現地)で製造することで、より低価格な水素ガスを容易に入手することを実現します。



様々な場所で高純度の水素がつくれることで、地方での水素の普及がしやすくなるね!



商用水素ステーション向けにも数多く採用されているんだワン!
また、同社は水素ステーションの設置・運営にも携わっており、HyGeia(ハイジェイア)との総合的な水素エンジニアリングが期待されます。
次に株価を見てみましょう。
- 株価:2,768円(2025年10月16日終値)
- PER:13.35倍
- PBR:1.77倍
2026年6月ごろから株価が急騰しています。
PER、PBRともに高い傾向にあり、割高感があります。



数カ月で株価は2倍以上にもなっているよ!
2025年3月期の決算では、売上高592億2百万円(前期比23.9%)、当期純利益48億79百万円(前期比-9.6%)で増収減益。
2026年3月期の業績予想は、売上高845億円(前期比42.7%)、当期純利益53億60百万円(前期比9.8%)と増収増益の予想です。



今後も株価の上昇が期待できそうだね!
トヨタ自動車
トヨタは水素技術を最重要分野の一つと位置づけており、水素社会の実現に向けた取り組みを、自動車メーカーの枠を超えてサプライチェーン全体で推進しています。
特に「つかう」の分野である水素エネルギーを活用した燃料電池をつかった乗用車やバス、トラックなどの開発を行っています。
燃料電池車(FCEV)を搭載した乗用車の「MIRAI」やバスの「SORA」を開発し、販売も行っています。



2025年9月にいすゞとトヨタ、次世代燃料電池路線バスを共同開発することを発表したよ!
その他にもトラックでセブン‐イレブン・ファミリーマート・ローソンと燃料電池小型トラックの導入を目指した取り組みを行っています。
また、トヨタは「TOKYO H2」プロジェクトに参加しています。
東京都が発足させた“水素で世界をリードする東京”を目指して官民連携を加速させるためのプロジェクト。
本プロジェクトでは、燃料電池タクシーの普及拡大を皮切りとして、トヨタのクラウンが導入される予定です。
そのプロジェクトの一環として「TOKYO H2 HUB」を設立し、FCEVを実際に体験することができます。
次に株価を見てみましょう。
- 株価:2,954.5円(2025年10月16日終値)
- PER:8.05倍
- PBR:1.27倍
株価は現在調整段階となっています。
PBRは1倍越えですが、PERは8.05倍とやや低めです。
2025年3月期の決算では、営業収益48兆367億4百万円(前期比6.5%)、当期純利益4兆7650億86百万円(前期比-3.6%)で増収減益となりました。
2026年3月期の業績予想は、営業収益48兆5000億円(前期比1.0%)、当期純利益3兆1000億円(前期比-34.9%)で大幅な減益予想です。



北米での関税や為替の動向に大きく左右されるんだね。


水素関連の将来性


ここからは水素関連の将来性について分析していきたいと思います。
脱炭素社会の実現に向け、水素エネルギーへの期待がかつてなく高まっています。
各国政府の強力な支援、技術の飛躍的な進化は水素関連銘柄の大きな追い風となっていますが、一方で、大規模なインフラ投資に伴うリスクも存在します。
水素関連事業の今後の展開や課題、投資テーマとして魅力的なのか将来性を多角的に考察していきます。



これからどうなっていくのかな?
脱炭素化に向けた世界的潮流
水素エネルギーが「究極のクリーンエネルギー」として注目される背景には、世界的なカーボンニュートラルへの強いコミットメントがあります。
各国政府による巨額投資
日本、欧州連合(EU)、米国といった主要国・地域は、水素を脱炭素化戦略の中核に位置づけ、巨額の公的資金を投じています。
- 日本: 「水素基本戦略」に基づき、官民合わせて15兆円規模の投資を計画。大規模な水素サプライチェーンの構築を目指しています。
- 欧州・米国: EUの「水素戦略」や、米国の「インフレ削減法(IRA)」による大規模な税制優遇措置など、グリーン水素製造に対する強力なインセンティブが設けられ、国際的な水素開発競争を激化させています。
産業・輸送分野での利用拡大
初期は燃料電池車(FCV)が中心でしたが、現在は利用分野が大きく広がっています。
- 発電分野: 火力発電に水素を混ぜて燃やす混焼技術や、水素のみを燃料とする専焼技術の開発が進み、電力分野の脱炭素化を牽引しています。
- 産業分野: 製鉄や化学工業など、大量の熱エネルギーを必要とする産業分野での化石燃料代替として、水素利用の実証が進んでいます。
- 長距離輸送: 大型トラック、船舶、鉄道など、バッテリーでは対応が難しい長距離・大容量の輸送手段で、水素燃料電池の優位性が高まっています。
この世界的かつ多岐にわたる需要の拡大は、水素関連銘柄の収益機会を中長期的に押し上げる最大の要因です。



水素の多角的な利用に向けて動き出しているんだね!
北川進氏の多孔性金属有機構造体(MOF)の研究
水素エネルギーの普及における最大の課題の一つは、「いかに効率よく、安全に、安価に貯蔵・輸送するか」という点です。この課題を解決するブレイクスルーとして、京都大学の北川進特別教授が世界的にリードする多孔性金属有機構造体(MOF:Metal-Organic Frameworks)の研究が注目されています。



先日ノーベル化学賞を受賞した研究だよ!
MOFは、金属イオンと有機配位子(分子の骨格)が網目状に結合した多孔質の結晶性材料です。
その最大の特徴は、物質を吸着・貯蔵できる表面積が非常に広いことです。
MOFを水素貯蔵容器に利用することで、以下のような革新が期待されています。
- 高効率な水素貯蔵: 従来の圧縮水素タンクよりも低い圧力で、より高密度に水素を貯蔵できるようになる可能性を秘めています。
- 貯蔵・輸送コストの削減: 高圧化や極低温化(液化)のためのエネルギー消費を抑えられるため、貯蔵・輸送インフラにかかるコストの大幅な低減が期待できます。
MOF技術の実用化は、水素サプライチェーン全体の経済性を劇的に改善し、水素社会の実現を加速させる「ゲームチェンジャー」となる可能性を秘めています。
この技術の導入に成功した企業は、市場で大きな優位性を確立できるでしょう。
投資回収の不確実性
水素関連銘柄への投資は大きな期待を伴いますが、その裏側には投資回収(リターン)の不確実性というリスクも存在します。
大規模なインフラ投資と初期コスト
水素社会を実現するには、水素製造プラント、パイプライン、液化・貯蔵施設、水素ステーションなど、莫大な費用と時間を要するインフラ整備が不可欠です。
- 需要と供給のバランス: 水素ステーションの数が少ないとFCVの普及が進まず、FCVが少ないとステーションの建設投資が回収できません。この初期段階の「需要と供給のミスマッチ」を乗り越えるには、政府の継続的な支援が不可欠です。
- 技術開発競争: 製造コストの低い「グリーン水素」の安定供給を目指す企業間の競争は激しく、技術革新のスピードや国際的な提携の成否が、投資回収のタイミングを左右します。



ガソリンに対して競争力のある水準まで普及することが必要だワン!
長期的な視点の必要性
水素関連事業は、現時点では採算ラインに乗っていないケースも多く、投資は短期的な収益よりも、10年、20年といった長期的な成長期待に基づいています。
投資家は、個別の企業がサプライチェーンのどの部分で優位性を持っているのかを精査し、大規模投資に伴う一時的な赤字や政策変更リスクにも耐えうる、余裕を持った投資戦略が求められていくでしょう。
【まとめ】水素関連銘柄に注目!


ここで本記事のポイントをおさらいしておきましょう。
かぶリッジの結論
- 政府が掲げた2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けて「水素」が注目されている
- 市場規模は高成長中、割安な銘柄もまだ存在している
- 現在は投資回収の不確実性があるが、脱炭素に向けた潮流から長期的な株価上昇トレンドである
水素関連銘柄の将来性は、脱炭素の世界的潮流という強力な追い風を受けて明るいと言えます。



今から水素関連銘柄を保有しておこうかな。
特に、MOFのような革新的技術が実用化されれば、市場は一気に拡大するでしょう。
黎明期特有の巨額な初期投資と不確実性を理解し、技術力と政策対応力を持つ企業を選別することが、水素関連銘柄の投資成功のカギとなるでしょう。