
なぜ明治ホールディングスの株価は下落したの?
今後株価は上がっていくの?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- 機能性ヨーグルト市場での競争激化や中国事業の失敗、成長ドライバーの不在によって株価が下落
- 海外事業の拡大や資本効率の改善に期待
- ブランド力は高いものの、国内市場の成熟化や原材料高騰が課題
明治ホールディングスは乳製品や菓子、医薬品などを製造・販売している日本を代表する食品メーカーです。
株価は2021年頃の8,000円台から下落が続き、2025年11月28日現在の株価は3,369円となっています。
そのため、長期を見据えて購入を悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、明治ホールディングスの株価が下落している理由や、明治ホールディングス株の将来性を、分かりやすく解説していきます。
明治ホールディングスの株価が下落した理由は?3つの観点から解説

💡このパートの要約
- 主力商品である機能性ヨーグルト市場での競争が激化し、市場シェアが低下
- 中国での海外事業の苦戦
- 主力商品以外の新しい収益の柱を確立できていない
まずは明治ホールディングスの株価推移を見ていきましょう。

2016年以降、株価は長期的な下落トレンドにあることが分かります。

何で下落が続いているんだろう?
ここからは、明治ホールディングスの株価が下落した理由を3つご紹介します。
機能性ヨーグルト市場での競争激化
明治ホールディングスの株価が下落した理由の一つは、主力商品である機能性ヨーグルト市場での競争が激化し、市場シェアが低下しているためです。
明治の「R-1」は一時期、免疫力向上をうたって大ヒットしましたが、その後は競合他社も相次いで機能性ヨーグルトを投入し、市場は飽和状態となっています。

数年前にはヤクルト本社の「ヤクルト1000」が大ヒットしたね!
R-1以降、目立ったヒット商品が生まれていないことも課題です。
ヨーグルト市場では、森永乳業の「ビヒダス」やダノンジャパンの「オイコス」など、競合商品が存在感を増しています。
実際に、国内ヨーグルト市場における明治のシェアは、近年徐々に低下傾向にあります。

競合が増えて差別化が難しくなっているんだね。
中国での海外事業の苦戦
明治ホールディングスは、成長市場として期待していた中国での事業が想定通りに進まず、2023年度には減損損失を計上する事態となりました。
中国の牛乳・ヨーグルト市場は、地元企業との競争が激しく、明治のブランド力が十分に発揮できませんでした。
さらに、中国の個人消費の低迷も続き、販売が低迷。
この中国事業の苦戦により、グローバル展開における課題が浮き彫りになっています。

海外展開の立て直しが急務だね。
成長ドライバーの不在
明治ホールディングスは、新しい収益の柱を確立できていないという課題を抱えています。
食品事業では、コロナ以前の売上水準にいまだに戻っておらず、主力のヨーグルトやチョコレート以外の新たな成長分野を見出せていません。
医薬品事業では、ワクチン分野への投資を進めていますが、大きな成果には至っていない状況です。
このように、明確な成長ドライバーが不在であることが、投資家の懸念材料となっています。

新しい収益の柱を作ることが課題ワン!
コロナウイルスワクチン「コスタイベ」の開発
新型コロナウイルスワクチンを外国からの輸入に頼らざるを得ない状況にあった日本で、同社は国産ワクチンの開発に取り組みました。
しかし、健康上の理由や副反応により、医療関係者の一部などから懸念が表明される事態に。
また新型コロナウイルスの患者数は激減し、国の助成がなくなったことから、接種率は大幅下落。

自己負担が増えることによって、さらなる接種控えが懸念されるよ。
計画未達となり2024年度にはワクチン・動物薬事業が営業損失となりました。
明治ホールディングスの基本情報

💡このパートの要約
- 明治ホールディングスは食品事業と医薬品事業を展開する持株会社
- 2024年度は増収増益を達成
- 9期連続増配を継続中
ここでは、明治ホールディングスの基本情報をまとめます。
3つの項目について詳しく見ていきましょう。
事業内容
明治ホールディングスは食品事業と医薬品事業を展開する会社です。
主に以下2つの事業を展開しています。
食品事業(主な商品)
- 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)
- 菓子(チョコレート、スナック菓子など)
- 栄養食品(プロテイン、流動食など)
医薬品事業
- 医療用医薬品
- ワクチン
- 動物薬
それぞれ詳しく見ていきましょう。
食品事業

食品事業は明治ホールディングスの中核を担う事業です。
乳製品では、「明治おいしい牛乳」「明治ブルガリアヨーグルト」「R-1」などのブランドを展開しています。
特に機能性ヨーグルトは、健康志向の高まりとともに成長してきました。
菓子事業では、「明治ミルクチョコレート」「きのこの山・たけのこの里」など、日本を代表するロングセラー商品を持っています。
栄養食品では、「ザバス」ブランドのプロテインが好調で、スポーツ栄養市場でトップシェアを誇ります。

誰もが知ってる商品ばかりだね!
医薬品事業

医薬品事業では、医療用医薬品、ワクチン、動物薬を展開しています。
医療用医薬品では、感染症治療薬や抗菌薬などを製造・販売。
ワクチン分野では、インフルエンザワクチンや新型コロナウイルスの変異型対応ワクチン「コスタイベ」を手掛けているのが特徴です。
動物薬では、畜産用ワクチンなどを展開しています。

医薬品事業は食品に比べると規模は小さいけど、重要な事業だよ!
業績
続いて明治ホールディングスの最新の業績を見ていきましょう。

| 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,013,092 | 1,062,157 | 1,105,494 | 1,154,074 |
| 営業利益 | 92,922 | 75,433 | 84,322 | 84,702 |
| 経常利益 | 93,985 | 74,160 | 76,020 | 82,013 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 87,497 | 69,424 | 50,675 | 50,800 |
単位:百万円
2024年度は増収増益を達成し、売上高は1兆1,540億円、営業利益は847億円となりました。
ただし、コロナ前の2019年度の売上高1兆2,543億円という水準には戻りきっておらず、利益面では依然として課題が残ります。
原材料価格の高騰や円安の影響を受けており、利益率の改善が求められています。
配当政策・株主優待
過去の配当利回りと配当性向をまとめると、以下の表の通りです。
| 年度 | 1株当たり配当金 | 配当利回り | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2021年度 | 85円 | 2.45% | 28.0% |
| 2022年度 | 90円 | 2.75% | 36.4% |
| 2023年度 | 95円 | 2.76% | 52.3% |
| 2024年度 | 100円 | 2.93% | 53.7% |
| 2025年度(予想) | 105円 | 3.16% | 53.1% |
明治ホールディングスは9期連続の増配を継続しており、株主還元に積極的な姿勢を示しています。
2025年3月期から2027年3月期までの「2026中期経営計画」では、総還元性向50%以上を目安としているため、今後も安定的な配当が期待できます。

自社株買いにも期待ができるワン!
増配に加え、株価の下落によって、配当利回りは上昇傾向にあります。
株主優待も実施しており、内容は以下の通りです。
| 所有株式数 | 優待内容 |
|---|---|
| 100株以上 | 自社製品詰め合わせ(1,500円相当) |
| 200株以上 | 自社製品詰め合わせ(2,500円相当) |
| 1,000株以上 | 自社製品詰め合わせ(5,500円相当) |
同業他社を比較!明治ホールディングスの強みと弱みは?

ここでは、明治ホールディングスの強みと弱みを、同業他社と比較しながら見ていきます。
人気の株主優待
食品業界では株主優待を実施している企業が多く、投資家から人気を集めています。
主要企業の株主優待を比較してみましょう。
| 企業名 | 優待内容 | 最低投資金額 |
|---|---|---|
| 明治ホールディングス | 自社製品詰め合わせ(1,500円相当~) | 約33万円 |
| 味の素 | 自社製品詰め合わせ(1,500円相当~) | 約35万円 |
| 日本ハム | 自社製品詰め合わせ(1,500円相当~) | 約68万円 |
明治ホールディングスの株主優待は、最低投資金額が比較的低く、人気商品の詰め合わせがもらえるため、個人投資家から人気があります。


株主優待は楽しみの一つだね!
強み:圧倒的なブランド力と商品ポートフォリオ
明治ホールディングスの最大の強みは、圧倒的なブランド力と幅広い商品ポートフォリオです。
「明治ミルクチョコレート」「明治おいしい牛乳」「R-1」「ザバス」など、各カテゴリーでトップシェアを誇る商品を多数展開しています。
特に流動食では国内の85.9%と圧倒的なシェアを持ち、プロテイン市場でも「ザバス」ブランドが確固たる地位を築いています。
明治ホールディングスの2024年度国内市場シェア
(主な商品)
- ヨーグルト(35.2%)
- 「明治ブルガリアヨーグルト」「R-1」など
- チョコレート(25.3%)
- 「明治ミルクチョコレート」など
- 牛乳(17.2%)
- 「明治おいしい牛乳」など
- スポーツプロテイン(36.4%)
- 「ザバス」シリーズなど
- 全身性抗菌剤(24.6%)
- ワクチン(38.4%)
- 「インフルエンザHAワクチン」など
これらのブランドは長年にわたって消費者の信頼を獲得しており、安定的な収益源となっています。

有名ブランドが多いのは大きな強みだワン!
弱み:海外展開の遅れ
明治ホールディングスの弱みは、海外展開が遅れており、海外売上比率が低いことです。
2024年度の海外売上比率は約13%程度にとどまっており、競合他社と比較すると大きく見劣りします。
| 企業名 | 海外売上比率 |
|---|---|
| 明治ホールディングス | 約13% |
| キッコーマン | 約78% |
| 味の素 | 約34% |
| 日本ハム | 約22% |
特に食品事業では国内依存度が高く(90.3%)、人口減少が進む日本市場では大きな成長は望めません。
中国事業の失敗もあり、グローバル展開における戦略の見直しが急務となっています。

海外展開の強化が今後の成長のカギだね!
明治ホールディングス株は買いか?今後の株価や将来性を解説

💡このパートの要約
- 海外事業の拡大が成長のカギ
- 資本効率の改善に向けた取り組み
- 原材料高騰や株式売り出しによる懸念も
明治ホールディングスの株価は今後どうなっていくのでしょうか。
以下では、株価や事業戦略・環境などに注目して明治ホールディングスの将来性を見ていきます。
海外事業の拡大
明治ホールディングスの今後の成長には、海外事業の拡大が不可欠です。
国内市場は人口減少により成長が頭打ちとなっており、新たな成長エンジンとして海外市場の開拓が求められています。
以前から、海外事業の強化には取り組んできましたが、依然結果には表れていません。
| セグメント | 海外人員比率 | 海外売上比率 |
|---|---|---|
| 食品事業 | 24% | 9.7% |
| 医薬品事業 | 55% | 27.8% |

中国事業の立て直しも急務だワン!
同社は、アジア地域での展開を強化しています。
特に東南アジア市場では、経済成長に伴い乳製品や菓子の需要が拡大しており、大きなチャンスがあります。

海外展開の成否が将来を左右するよ!
資本効率の改善
明治ホールディングスは、資本効率の改善にも取り組んでいます。
ROE(自己資本利益率)は近年低迷しており、2024年度は約7%程度にとどまっています。
| 決算期 | 自己資本利益率(ROE) |
|---|---|
| 2021年度 | 13.5% |
| 2022年度 | 10.0% |
| 2023年度 | 6.9% |
| 2024年度 | 6.8% |
これは同業他社と比較しても低い水準です。
同社は、事業ポートフォリオの見直しを進めており、食品セグメントを4つ、医薬品セグメントを3つに再構成し、各事業の収益性を高める取り組みを行っています。
また、不採算事業の整理や、成長分野への投資の集中により、資本効率の向上を目指しています。
この数値が反転し上昇に向かえば、株価は大きく改善する可能性が高まります。
原材料高騰と株式売り出しのリスク
明治ホールディングスのリスクも見ていきましょう。
1つ目は、原材料費の高騰です。
特にカカオ価格は近年大幅に上昇しており、チョコレート事業の収益を圧迫しています。
円安の影響もあり、原材料やエネルギーコストの上昇が続いており、今後も利益率の改善が課題となります。
一方で、同社は大幅な価格改定を実施しており、主力ブランドは改定後も好調に推移しています。

今後の高騰に対しても、影響を吸収できそうだね!
2つ目は、株式売り出しによる需給悪化の懸念です。
2024年には大手金融機関による株式売り出しがあり、株価が大幅に下落しました。

発行済み株式総数の約4.7%を売却したワン!
| 株主名 | 比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 16.16% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 5.90% |
| 日本生命保険相互会社 | 2.47% |
| 明治ホールディングス従業員持株会 | 2.26% |
| STATE STREET BANK WEST CLIENT – TREATY 505234 | 2.24% |
| 明治ホールディングス取引先持株会 | 1.95% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 1.37% |
| JP MORGAN CHASE BANK 385781 | 1.34% |
| 日本甜菜製糖株式会社 | 1.09% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505103 | 1.06% |
大株主を見ると、まだ政策保有株が残っているため、今後も売り出しのリスクがあります。

短期的な株価の下落には注意が必要だよ。

【まとめ】明治ホールディングスの株価が下落した理由

明治ホールディングスの株価が下落した理由がよく分かったよ!
かぶリッジの結論
- 機能性ヨーグルト市場での競争激化や中国事業の失敗、成長ドライバーの不在によって株価が下落
- 海外事業の拡大や資本効率の改善に期待
- ブランド力は高いものの、国内市場の成熟化や原材料高騰が課題
明治ホールディングスは、機能性ヨーグルト市場での競争激化、中国事業の失敗、明確な成長ドライバーの不在によって株価が下落していることが分かりました。
しかし、海外事業の拡大や資本効率の改善に取り組んでおり、長期的な成長余地はあると言えます。
圧倒的なブランド力と商品ポートフォリオを持つ一方で、国内市場の成熟化や原材料高騰といった課題もあるため、中長期的な視点を持つことが重要です。
日本市場では、輸出企業や円安に恩恵を受ける銘柄が注目を浴びていますが、この流れが変われば内需株である同社にも再度注目が集まるタイミングが来るでしょう。

今後の株価に注目だね!





