
・メルカリ株ってどうなの?
・メルカリは知ってるけど、イマイチ業績とか分からない…
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
懸念点
- アメリカ事業の低迷・成長鈍化
- 配当金や株主優待目的の投資には向かない
安心材料
- 国内のフリマアプリ市場はメルカリの1強
- メルペイやメルカードを中心としたフィンテック事業が成長中
フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリは、日本のネットサービス企業の中でも特に成長が期待されてきた企業のひとつです。
2018年には東証マザーズ(現グロース市場)へ上場し、その後も国内フリマアプリ市場をけん引する存在として注目されてきました。
最近では「メルカリ ハロ」の撤退やアメリカ事業の黒字化達成など、業績や戦略に関わる重要なニュースが続いており、今が買い時なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、メルカリの株を買うべきかわかりやすく解説します。

執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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メルカリの株は買い時か?理由を3つ解説

💡このパートの要約
- US事業は黒字化を達成したものの、売上やKPIの成長率は低迷
- 国内のフリマ事業はメルカリの一強
- フィンテック事業はメルカードを中心に急成長
メルカリの株が買い時かどうかについて、以下の観点から分析していきます。
アメリカ市場での低迷
メルカリが長らく低迷している理由として、アメリカ市場での低迷が挙げられます。

進出してから10年以上になるけど、ずっと赤字が続いていたよね。
アメリカからの事業撤退を求める声も投資家の間では強まっていました。
しかし、2025年6月期にはついに US事業が初の黒字化を達成。
グループCEOの山田進太郎氏がUS事業のCEO を兼任する体制へ移行し、不正利用対策の強化や手数料モデルの見直しなど、大規模な改善策を講じたことが黒字化に寄与しました。
一方で、黒字化を果たしたとはいえ、売上収益や主要KPIの改善はまだ道半ばです。

売上収益は依然として減少傾向にあり、GMV(取引高の合計)もマイナス成長が続いています。
米国では中古品を購入する文化が日本ほど浸透していないことに加え、SHEIN や Temu など中国系ECの急拡大が強い競合要因となっています。
こうした状況を踏まえると、US事業は黒字化を達成したものの、本格的な成長軌道に乗るまでには時間がかかる可能性もあると考えられます。
国内のフリマ事業はメルカリの一強
以下は主要4つのフリマアプリの国内ダウンロード数をまとめたものです。

この結果からも分かる通り、メルカリは40%以上を占めており、国内はメルカリ一強とも言える状態だと言えます。
近年、国内のフリマアプリでは単価の高いブランドバッグの取引や、推し活ブームによるアニメグッズの取引が増えており、今後もフリマアプリ需要は増加する見込みです。
こうした状態は市場シェア首位のメルカリにとって追い風であり、同社の国内市場は伸びていくと考えられます。
主要KPIである GMV(取引高の合計)と MAU(アクティブユーザー数)は、以下の通り推移しています。
MAUの前年同期比成長率は +0.3% と伸びが鈍化しており、ユーザー数の頭打ち感が出てきている点はやや気がかりです。
実際、2025年6月期の売上高は、当初会社が発表していた予想値には届きませんでした。
これは Marketplace 事業の成長率が想定よりも伸びなかったことが要因だとしています。

フリマサービスも増えて競争が激しくなる中、少し心配な点だね。
フィンテック事業は成長中
メルカリはスマホ決済サービス「メルペイ」などでフィンテック事業にも参入しており、売上や利益を順調に伸ばしています。
フィンテック部門の売上収益は以下の通りです。

メルカリが発行するクレジットカード「メルカード」が大きく売上を伸ばしています。

発行枚数500万枚を達成したね!
また、幅広いクレジットニーズへの対応を通じた利用拡大に向けて「分割払い」を開始するなど、サービスの更なる強化を実施中です。
債権残高も前年同期比+32%と、着実に積み上げていることが分かります。


電子マネーが主流になってきている今、フィンテックに参入していることはメルカリの強みだね!
このようにフィンテックが順調に拡大している点は、メルカリ株を買う上で好材料となるでしょう。

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メルカリの事業内容・業績

💡このパートの要約
- フリマサービスは、日米ともに成長の鈍化が懸念されている
- メルペイなどの金融事業は比較的好調
- 新事業「メルカリ ハロ」は事業撤退を発表
ここではメルカリの基本情報についてまとめます。
以下の2つについて詳しく見ていきましょう。
事業内容

メルカリ社が主に手掛ける事業は、以下の4つです。
その他にも、BtoCマーケットプレイス「メルカリShops」の運営や、暗号資産やNFTを取り扱う「メルコイン」の運営、ギガを個人間で売買できる「メルカリモバイル」を行っています。
メルカリ

「メルカリ」って何なの?
フリマアプリ「メルカリ」とは、個人が簡単に中古品の売買を行えるCtoCのマーケットプレイスです。
「使いやすく・楽しく、かつ安心・安全に取引ができる」という特徴があります。
- AI出品やバーコード出品を利用した出品の簡略化
- 商品の梱包から発送までの作業をすべてプロにおまかせできる配送サービス
- オールジャンルな多彩な商品ラインナップ
- カスタマーサービス体制の整備
- AIによる違反検知システム
現在も累計出品数は増加しつづけ、30億品を突破。
月間利用者数も2,300万人超と、「メルカリ」は大きく成長し続けています。
今後は、初のリアル店舗「メルカリステーション」や、無人投函ボックス「メルカリポスト」などでオフラインへの拡張を目指しています。
また他社とのデータ連携で新たなビジネス機会の創出や、越境販売を可能にすることでさらなる海外進出を狙っています。

東南アジア最大のマーケットプレイス「Shopee」とも提携しているよ!
ただ、「メルカリ」では転売などの問題行為が多発していることから、規制を求める声も多く挙がっており、利用をやめるユーザーも出てきています。
今後、こうした問題にどのように対処していくかに注目です。

ある意味、社会インフラになっているともいえるワン!
メルカリUS
メルカリ社は、ミッションである「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」ことを目指し、早くから海外展開をしています。
2014年9月に「メルカリ」のUS版を開始し、現在まで現地に合わせたブランディングやUI・UXの改良、配送網の構築等に取り組んでいます。
メルカリは巨大かつ多様性に富む人口基盤を有するUSでの成功が、自社のミッションを実現するうえで重要だと考えており、今後もUS事業に注力していく予定です。

使いやすくするため、日本版をただ翻訳するのではなく、US向けアプリを新たに設計したんだよ!
メルペイ

「メルペイ」って何?
「メルペイ」とは、フリマアプリ「メルカリ」で利用できるスマホ決済サービスです。
「メルカリ」の売上金のほか、普段利用している金融機関を登録し「メルペイ」にチャージしたり、チャージ不要な「メルペイスマート払い」を使うことで、実店舗やECサイトで買い物ができます。

「iD」や「コード決済」に対応しているんだワン!
さらに「メルカリ」の利用実績や他ユーザーからの評価などのデータを用いることで、与信(後払い)サービス「メルペイスマート払い」や、少額融資サービス「メルペイスマートマネー」を新たに提供し、利益を出すことにも成功しています。

このように「メルカリ」と「メルペイ」が連携することで、メルカリ社はシームレスな金融圏を構築し、ユーザーはストレス無くサービスを利用することができるようになりました。
今後はメルペイ残高を使って暗号資産の取引ができるといった、さらに快適に金融サービスを利用できる環境の構築に取り組んでいく方針です。

2021年に、暗号資産やNFTを取り扱う「メルコイン」という会社を設立しているよ!
メルカリ ハロ【サービス終了】
メルカリは、2024年3月から新事業として「メルカリ ハロ」をリリースしました。
メルカリ ハロとは、最短1時間、1日だけから出勤可能なスポットワークです。
履歴書や面接が不要で、勤務後すぐに給料が受け取れます。

最近上場したタイミーと同じようなサービスだね!
コロナ後の働き方ニーズの多様化により、アルバイトよりも身近なスポットワークの需要が増加しています。
市場拡大を計画していたメルカリ ハロですが、10月14日にサービスを終了することが発表されました。
要因として、競争激化や新たな規制などの業界環境の変化によって、多額の追加投資が必要となりましたが、投資優先順位が低いと判断され、サービス終了に至ったそうです。

スポットバイトのキャンセル問題で厚生労働省が方針を出していたね!
業績

業績はどうなっているのかな?
ここでは、過去4年の業績推移を見てみましょう。


売上を順調に伸ばし、黒字化しているね
次に、3つのセグメント別に業績を見ていきます。
メルカリ

順調に売上高は伸びていますが、メルカリ ハロへの投資の影響で営業利益は減速しています。
しかし、メルカリ ハロを除く営業利益は前年を上回り482億円となっています。

メルカリ ハロの撤退によって、営業利益の回復が見込めるね!
メルカリUS

売上高は減少してきてはいるものの、営業利益では黒字化となりました。
下期よりグループCEOの山田氏がUS CEOも兼任する体制へと移行し、プロダクトのコア体験の強化や手数料モデルの変更を実施したことが功を奏しました。

1人当たりの採算性や経済性の見直しに加え、マーケティング費用の効率化が初の通期黒字化を実現したんだワン!
メルペイ

メルペイの売上高は順調に増加しており、コア営業利益も2期連続黒字を達成しました。
近いうちに、調整後営業利益も黒字になると思われます。
通期売上高は前年比15%の高成長となっており、比較的好調に推移していると評価できます。

メルカードの発行枚数は500万枚を突破したよ
配当や株主優待
メルカリには、配当金や株主優待がありません。
メルカリの株主還元方針について、以下に引用します。
現在、当社グループは成長過程にあるため、事業の拡大と効率化にともなう中長期的な企業価値の向上が株主のみなさまに対する最大の利益還元につながると考えております。そのため、当面は、成長投資と内部留保による財務基盤の強化を優先し、現時点において配当の予定はありません。
メルカリ社「HP」
成長中のメルカリは中長期的に企業価値を向上させることで、株主に還元しようとしています。
しかし、現状ではアメリカ事業への投資が期待通りの成果を上げているとは考えにくく、今後もしばらくは配当を実施しないと思われます。
そのため、メルカリ株は配当金や株主優待といったインカムゲイン目的の長期投資には向きません。

業績向上に伴うキャピタルゲインを狙うのが王道だね!
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なぜ今下がっているのか?メルカリの株価下落の原因とは?

💡このパートの要約
メルカリの株が下落している原因は…
- 国内市場で成長が鈍化している
- 米国フリマ事業で赤字が続いていた
ここで、メルカリの株価の推移を見てみましょう。
過去5年の株価推移ですが、2022年に入ってから下落していることが分かります。

下落の原因はなんだったのかな?
ここからは、メルカリの株価が下がっている理由を2つ見ていきましょう。
国内市場で成長が鈍化
メルカリの株価が下落している理由の1点目は、国内市場で成長が鈍化していることだと考えられます。
利用者数についてまとめた以下のグラフをご覧ください。

国内メルカリの利用者数(MAU)は、2024年に入って鈍化していることがわかります。
取引総額(GMV)も、伸びてはいません。
また、前年比成長率を比較してみると、メルカリは年々成長率が鈍化していることがわかります。

メルカリが成長するには、利用者数を増やし、流通量を増加させなければなりませんが、その成長率は鈍化している状況です。
これらの結果から、成長鈍化の懸念が高まり、株価が下落したと考えられます。
米国フリマ事業で赤字が続いていた
メルカリの株価が下落している理由の2点目として、米国フリマ事業での赤字が続いてたことが挙げられます。
米国事業は赤字が続いており、2025年6月期に初の通期黒字化を達成しました。

しかし、利用者数(MAU)や売上高は依然として減少しています。

アメリカ事業の低迷が株価を押し下げた原因なんだね。
今後は、米国で需要の高い日本商品の在庫を増やすことで取引活性化を目指しています。
メルカリの今後の株価の見通しはどうなる?将来性を探る
💡このパートの要約
メルカリの今後は…
- アメリカ事業の黒字化を維持させられるのか注目
- メルペイやメルカードなどの金融事業が引っ張れるか
- 過去2000円付近で反発しており、買うなら比較的割安な今がチャンス

メルカリ株は今後どうなるんだろう?
結論から言うと、値上がりする可能性は十分にありますが、リスクも比較的大きいと考えられます。
低迷しているアメリカ事業の撤退or継続
メルカリの今後を占う上で最も重要なのは、低迷しているアメリカ市場への対応でしょう。
撤退を求める声が強まる中、山田CEOは海外事業への投資を改めて強調しました。
その一環として、8月には日本で出品された商品をアメリカから購入できる機能を導入しました。
アメリカでは、アニメや漫画などの商品が特に人気を集めており、反転のきっかけとなるか注目されています。
メルカリの株価が上昇するかどうかは、アメリカ事業の成功にかかっていると言っても過言ではありません。

アメリカ事業の黒字化がこのまま続けば、今後の株価上昇が期待できるね
メルペイやメルカードなどの金融事業の好調さ
前述した通り、メルカリの金融事業の成長率は著しいものがあります。

暗号資産取引口座数は提供から約1年9か月で300万を突破したね!
金融事業においてユーザ獲得が進めば、フリマ事業利用者数も増加し、グループシナジーの拡大が期待できます。
フリマ事業だけではなく、金融事業がどのように成長するかにも注目が集まります。
2900円付近で推移しており、上昇傾向の今がチャンス?
メルカリの株価は、12月8日現在、2900円付近に推移しており、株価は上昇傾向です。
メルカリの将来性やリスクを理解し、今後の成長に期待するのであれば、比較的割安な今がチャンスかもしれません。
しかし、アメリカ事業が安定し、成長を見込めなければ、株価が大きく上昇することはないため、今後の動向をしっかり注目しましょう。
【まとめ】メルカリ株は買い時なのか?


メルカリの事業や業績の現状と、将来性についてよくわかったよ
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
かぶリッジの結論
懸念点
- アメリカ事業の低迷・成長鈍化
- 配当金や株主優待目的の投資には向かない
安心材料
- 国内のフリマアプリ市場はメルカリの1強
- メルペイやメルカードを中心としたフィンテック事業が成長中
メルカリ株は、国内の強固なフリマ基盤とフィンテック事業の成長力を評価する一方で、アメリカ事業の再成長や収益構造の改善が進むかどうかが今後の株価を左右する最大のポイントです。
配当や優待はないため、中長期での値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う投資家向けの銘柄と言えるでしょう。
今後は、US事業の黒字維持や金融事業の拡大がどこまで進むかを注視することが重要です。







