※本記事は2024年に公開されたもので、一部の情報や数値を最新版に改訂していますが、内容により古いデータが含まれる場合があります。
『かぶリッジのファンド情報』では、ファンド(投資信託)の特徴や過去のリターン、評価などを独自目線でご紹介します。
本記事では、「たわらノーロード 全世界株式」の評価や利回りについて分かりやすく解説します。

執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
たわらノーロード 全世界株式をひとことで言うと
たわらノーロード 全世界株式は日本を含む全世界の株式に投資するインデックスファンドです。
ベンチマークはMSCI All Country World Index [ACWI]で、全世界47か国の大型株・中型株 約2,900銘柄に投資します。
つまり、これだけで各国市場の時価総額上位約85%をカバーできることになります。
信託報酬は0.10989%で、金融庁が発表するインデックスファンドの信託報酬平均0.55%より低く、比較的割安となっています。

ただ、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の0.05775%と比べると少し割高な印象…
たわらノーロード 全世界株式の基本情報
それでは、たわらノーロード 全世界株式の基本情報を確認していきましょう。
項目 | たわらノーロード 全世界株式 |
---|---|
設定日 | 2019/7/22 |
償還日 | 無期限 |
運用会社 | アセットマネジメントOne |
買付単位 | スポット購入:100円以上1円単位 積立:100円以上1円単位 |
売却単位 | 1円以上1円単位 1口以上1口単位 |
買付手数料 | なし |
信託報酬 | 0.10989% |
分配金利回り | ー |
純資産額 | 1,443.81 億円 |
ベンチマーク | MSCI オールカントリー・ワールド・インデックス (円換算ベース) |
主として、複数のマザーファンドを通じて国内外の株式に実質的に投資し、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(円換算ベース、配当込み、為替ヘッジなし)」に連動する投資成果を目指し運用を行う。同指数への連動性を高めるため、有価証券先物取引等を活用する場合がある。原則、為替ヘッジなし。
運用方針



純資産額は約1,443億円と、低めだね。
組入国の比率
国・地域 | 比率 |
---|---|
アメリカ | 62.45% |
日本 | 4.90% |
英国 | 3.23% |
カナダ | 2.91% |
スイス | 2.39% |
ドイツ | 2.33% |
フランス | 2.29% |
台湾 | 1.93% |
ケイマン | 1.91% |
インド | 1.85% |



アメリカが約6割を占めているね!
組入銘柄
たわらノーロード 全世界株式はファミリーファンド方式と呼ばれる複数のファンドを合同運用する仕組みを取っており、個別企業の上位組入銘柄は公表されておりません。
そのため以下の三つのインデックス商品を構成銘柄として公表しています。
- 外国株式パッシブ・ファンド・マザーファンド
- エマージング株式パッシブ・マザーファンド
- MSCIジャパン・インデックス・マザーファンド
同ファンドでは投資者からの資金をまとめてベビーファンドとし、その資金の全部または一部をマザーファンドに投資して、その実質的な運用をマザーファンドにて行う仕組みとなっています。


また、運用プロセスは以下の通りです。


マザーファンド方式を採用していることから、たわらノーロード 全世界株式の運用成果は構成銘柄に組み入れているインデックスファンドの成績によって大きく決まると考えられます。
販売会社一覧
「たわらノーロード 全世界株式」を取り扱っている販売会社は100を優に超えており、大手証券から地方銀行まで幅広い金融機関で取り扱いが行われています。
以下はその一部です。





大手から地方の金融機関まで、こんなに幅広い販売会社から採用されているファンドは見たことないよ!
実は、全世界株式に限らずたわらノーロードの強みはこの幅広い販売網にあるんです。
たわらノーロードでは信託報酬における販売会社の手数料が、他の投資信託と比べて高めに設定されています。
そのため、多くの金融機関で商品が採用されやすい傾向にあります。
そのため、ネット証券を活用していない人や個別株にのみ投資している人に対しても販売されやすいのです。
もちろん、楽天証券、SBI証券、三菱UFJ eスマート証券、松井証券、マネックス証券などでも販売されています。
過去のリターン
たわらノーロード 全世界株式の過去の騰落率は以下のようになっています。
期間 | ファンド | インデックス | 指数との乖離率 |
---|---|---|---|
1ヵ月 | +4.70% | +4.77% | -0.07% |
3ヵ月 | +7.49% | +7.45% | +0.04% |
6ヵ月 | -0.71% | -0.56% | -0.16% |
1年 | +3.89% | +4.33% | -0.44% |
2年 | +39.52% | +40.72% | -1.20% |
3年 | +69.02% | +71.15% | -2.13% |
運用期間は短いものの、3年前と比べ71.15%のプラスとなっています。
リスクを取り得られる平均リターンが7%と言われる中、このリターンは驚きです。
しかし、指数との乖離率(トラッキングエラー)で見てみると、ここ3年で-2.13%のマイナスがあるというのは懸念点です。
インデックスファンドの運用状況を評価するための指標の一つ。
ファンドの値動きが指標(ベンチマーク)に対してどの程度乖離しているかを示します。
一般的にインデックス運用を選ぶ目的は、市場全体の成長を享受することであるため、市場以上の変動をあまり好まない場合、トラッキングエラーが大きいことことは好ましくありません。
また、インデックス商品の評価指標においては、手数料とトラッキングエラーの二つが重要な指標とされています。
eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)の過去の騰落率を見てみましょう。
期間 | ファンド | インデックス | 乖離率 |
---|---|---|---|
1ヵ月 | +4.7% | +4.7% | +0.0% |
3ヵ月 | +7.5% | +7.3% | +0.2% |
6ヵ月 | -0.7% | -0.8% | +0.1% |
1年 | +4.0% | +3.9% | +0.1% |
3年 | +69.3% | +68.7% | +0.6% |
設定来 | +175.0% | +174.0% | +1.0% |
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とトラッキングエラーを比較してみると、オルカンではかなり乖離率が抑えられ、尚且つエラーの方向が設定来上向きになっている傾向があります。



オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)が人気になっている理由には、こういった運用パフォーマンスの高さも理由にあるんだね!
基準価額と純資産総額の推移
たわらノーロード 全世界株式の基準価額と純資産総額の推移は以下のようになっています。
べンチマークに連動し右肩上がりの成績になっている共に、純資産総額も右肩上がりになっています。



新NISAの開始とともに人気を集めているんだワン!
ちなみに、アセットマネジメントOneのユーチューブでには、実際にたわらシリーズを購入している投資家の生の声も聞けます。


たわらノーロード 全世界株式の評価・評判



たわらノーロード 全世界株式は5段階評価でいくつ?
たわらノーロード 全世界株式の評価はズバリ3です。
理由としては、以下の5つが挙げられます。
- 低い信託報酬
- パフォーマンスが高い
- サポート資料が手厚い
- オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)と比べ手数料・乖離率が高い
- 優秀な類似ファンドが多くある
まず、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)と比べれば少し高いですが、信託報酬が業界内でも安値であることは高評価です。
また、まだ日の浅いファンドですが騰落率は順調に推移しており、ベンチマークが順調に右肩上がりな成績を残しているのも魅力の一つです。
純資産額もこれからのマーケティングを通じてさらに伸びていくと考えられます。
しかし、乖離率、信託報酬の面ではオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)に劣っており、優秀な類似ファンドが多くあるのは懸念点としてあるでしょう。
類似ファンド



他の同じようなファンドとは何が違うんだろう?
類似ファンドである「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」の3つとそれぞれ比較してみましょう。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と比較
たわらノーロード 全世界株式 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | |
---|---|---|
ベンチマーク | MSCI オールカントリー・ワールド・インデックス | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス |
投資対象 | 全世界株式 | 全世界株式 |
構成銘柄数 | 約2,900銘柄 | 約2,900銘柄 |
購入時手数料 | なし | なし |
純資産額 | 1,443.81億円 | 67,434.88億円 |
信託報酬 | 0.10989% | 0.05775% |
どちらもベンチマークは同じで全世界株式を投資対象としています。
純資産額は圧倒的にオルカンの方が大きく、運用実績の長さが伺えます。
また、手数料に関してもeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の方が低く、より低コストで購入可能です。



手数料の低さや運用実績、純資産額の差から見てもオルカンを選ぶのが無難かな。
SBI・全世界株式インデックス・ファンドと比較
たわらノーロード 全世界株式 | SBI・全世界株式インデックス・ファンド | |
---|---|---|
ベンチマーク | MSCI オールカントリー・ワールド・インデックス | FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス |
投資対象 | 全世界株式 | ETF |
構成銘柄数 | 約2,900銘柄 | 約9,000銘柄 |
購入時手数料 | なし | なし |
純資産額 | 1,443.81億円 | 2821.33億円 |
信託報酬 | 0.10989% | 0.0682% |



SBI・全世界株式インデックス・ファンドの愛称は「雪だるま」だよ!
雪だるまは主としてVTI・SPDW・SPEMといったETFを投資対象として、実質的に全世界株式に投資します。
ベンチマークも異なり、MSCIが小型株を含まないのに対してFTSEは小型株を含むため、銘柄数では雪だるまが上回っています。
ゆえに、分散性の高さという面で雪だるまはたわらノーロード 全世界株式よりも優れています。
しかし、ETFのコストがかかるため、雪だるまの信託報酬は0.0682%となり、たわらノーロード 全世界株式とほぼ同じ手数料となっています。
楽天・全世界株式インデックス・ファンドと比較
たわらノーロード 全世界株式 | 楽天・全世界株式インデックス・ファンド | |
---|---|---|
ベンチマーク | MSCI オールカントリー・ワールド・インデックス | FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス |
投資対象 | 全世界株式 | ETF |
構成銘柄数 | 約2,900銘柄 | 約9,000銘柄 |
購入時手数料 | なし | なし |
純資産額 | 1,443.81億円 | 6334.85億円 |
信託報酬 | 0.10989% | 0.132% |



楽天・全世界株式インデックス・ファンドの愛称は「楽天VT」だよ!
楽天VTは主としてVT・VTI・VXUSといったETFを投資対象として、実質的に全世界株式に投資します。
楽天VTも雪だるまと同様にETFのコストが重なり、信託報酬は0.132%と高くなっています。



ちなみに”VXUS”は、米国株式を除く全世界株式へ投資するETFだよ。
【まとめ】かぶリッジ編集部は投資したい?



かぶリッジ編集部はこのファンドに投資したいと思いますか?
100万円の元本があったとして、どれくらいこのファンドに投資しますか?



あえて、たわらノーロード 全世界株式を選ぶことはないですね。
最近、たわらシリーズが話題になっているという噂はよく聞きますが、オルカンと比べると手数用や乖離率、実績に大きく差があるのでオルカンでいいかなと思います。
ただ、たわらシリーズを運営しているアセットマネジメントOneはインデックス運用に力を入れてきているので、手数料の引き下げや運用力の向上は期待できます。