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【高ROE企業比較】ROEが高い企業(銘柄)は魅力的?直近の事例も交えて解説

かぶリッジの結論

  • ROEが高く、利益成長が続く企業は投資先として魅力的
  • 高ROE企業の中から、中長期経営方針を発表したヒューマンクリエイションHD(7361)を深堀り
  • 成長と資本効率・株主還元を意識した中長期経営方針が評価されれば、同社の比較的割安な株価は解消される可能性あり

銘柄選びをする際、あなたはどのような指標を重視していますか?

PER・PBR・ROEなど様々な指標がありますが、「株主資本から効率的に利益を創出しているか」を計る指標として「ROE」を重視する投資家は増えています。

今回はROEの高い代表的な企業を比較しつつ、その中でも新たに中長期経営方針を打ち出した“ヒューマンクリエイションHD(7361)”を深堀りしていきます。

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執筆:かぶリッジ編集部

かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。

本記事の注意事項

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目次

【前提】高ROEは魅力的なのか

【前提】高ROEは魅力的なのか

ROEとは「自己資本利益率」のことで、自己資本(株主資本)を活用してどれだけの利益を創出したか分かる指標です。

ROE(自己資本利益率:%)=純利益÷自己資本(もしくは株主資本)×100

ROEが高いと、何がいいの?

ROEが高い企業は、株主が出資したお金を元手に、効率よく利益を稼いでいるということになります。

そのため、ROEが高ければ投資家からの人気は高くなり、低ければ経営効率が悪いと見なされ、投資家からの人気は落ちてしまいます。

ROEは操作できる

ただし、ROEは企業によって一定コントロール可能な点には注意が必要です。

ROEは「自己資本(株主資本)に対してどれだけの利益を稼いだか」で計算するため、分子である利益が増えなくても、分母である自己資本が減少すれば、ROEは高めることができます。

でも、自己資本を減らすってどういうこと?

例えば自社株買いをした後に消却すれば、自己資本は減らすことができます。

また、同じ純利益・総資産額でも、負債の割合が多ければ多いほどROEは高くなるため、企業間を比較する際には注意が必要です。

A社:総資産100億円(負債80億円+自己資本20億円)、純利益10億円
→ROE:10億円÷20億円×100=50%

B社:総資産100億円(負債20億円+自己資本80億円)、純利益10億円
→ROE:10億円÷80億円×100=12.5%

ROEを見る時には自己資本比率も含め、その背景も知ることが重要です。

自己資本が多すぎるとキャッシュを有効活用していないとみなされるから、自己資本比率は「高すぎず低すぎず」がちょうどいいんだワン!

利益成長×高ROEが理想的

ROEの構成要素のうち、最重要視すべきは「純利益」です。

ROEが高い場合、「純利益も伸びているのか?」といった視点で企業を見るようにしましょう。

たとえば、EPS(一株当たり純利益)の伸び率を見ておくと良いでしょう。

EPS(一株当たり純利益)=当期純利益÷株式数

EPS(一株当たり純利益)成長と高ROEの両方を実現する事が重要だね!

高ROE企業(銘柄)を比較

高ROE企業を比較

高ROE企業の実例として、ここでは以下の5社を比較してみましょう。

スクロールできます
会社名ラクス(3923)ヒューマンクリエイションHD
(7361)
サンリオ(8136)メンタルヘルステクノロジーズ
(9218)
HENNGE(4475)
ROE36.6%33.9%29.2%49.9%31.1%
自己資本比率62.9%44.8%41.4%64.3%35.4%
直近3年間の純利益成長率+288.2%+17.8%+413.7%+172.2%+157.6%
株価上昇率
(直近終値の1年前から)
-22.2%
-23.2%+130.2%-16.0%+9.2%
PER(予)50.6倍7.5倍37.2倍ー(赤字予想)42.4倍
PBR27.7倍2.3倍17.9倍6.5倍16.0倍
各社最新の通期決算より。
株価上昇率は2024年11月22日の終値と2023年11月24日の終値を比較。

どの企業も純利益が成長していますが、特にサンリオ(8136)やラクス(3923)はそれぞれ400%超、200%超と大きく成長。サンリオは長期にわたり業績が低迷していましたが、2022年3月期より大きく回復・成長を遂げました。

ただ、サンリオは1,500億円規模の株式の売出しを発表したね。

メンタルヘルステクノロジーズは2023年通期までは純利益が成長していましたが、今期は通期決算が赤字見通しとなっています。

この中だと、ヒューマンクリエイションHD(7361)だけ利益成長率が低いように思えるね…

ヒューマンクリエイションHDは純利益成長率が3年間で17.8%と、他社と比較すると低水準ですが、株価指標を見るとROEは30%超なのに対し、PER・PBRは7.5倍・2.3倍と一番割安です。

また、足元では新たな中長期経営方針を打ち出し、ROE30%超の確保や自己資本の有効活用、EPS成長といった複数の項目を発表しています。

こういった材料がまだ株価に織り込まれていない可能性もあるため、今回はヒューマンクリエイションHDを深堀していきます。

ヒューマンクリエイションHDとは

ヒューマンクリエイションHDとは

ヒューマンクリエイションHDは、ITに関わるコンサルティングから開発・保守まで一貫して手掛けています。

ROEが高い企業のケーススタディとして、これまでの事業戦略や中長期経営方針を読み解いていきましょう。

M&Aを駆使した領域拡大

ヒューマンクリエイションHDは、果敢なM&Aで事業領域を拡大してきました。

M&Aで取得した企業の例

  • 株式会社シー・エル・エス*(2016年):エンジニア派遣の領域拡大
    *2024年にブレーンナレッジシステムズと合併
  • 株式会社セイリング(2019年):受託開発への領域拡大
  • 株式会社ヒューマンベース(2021年):コンサルティングへの領域拡大
  • 株式会社コスモピア(2022年):コンサルティングへの領域拡大
  • 株式会社TARA(2024年):AIを活用したデータ分析に基づくコンサルティング領域

同社は祖業の「エンジニア派遣」を起点に、M&Aも駆使しながら「受託開発」「コンサルティング」に領域を拡大してきました。

その結果、ITコンサルティングから開発・保守まで一貫対応できる点が強みとなっています。

顧客のニーズを的確に把握し、経営課題を根本的に解決するソリューションを提案。そのソリューションを開発を通じて具現化し、システムの運用・保守まで対応します。

エンジニア派遣で顧客の『現場』が分かるからこそ、深みのあるソリューションを提案できるんだよ!

ボトムアップ型
同社提供資料より

事業構造の転換のため、戦略領域に注力

果敢なM&Aで事業領域を拡大してきた同社は、コンサルティング・受託開発を戦略領域と位置付けています。

祖業でもある「エンジニア派遣」で安定収益を稼ぎつつ、利益率の高い戦略領域を拡大することで、事業構造の転換と規模の拡大を目指しています。

同社の事業内容・戦略をさらに深堀りしたい方は、著名個人投資家“たけぞう”さんによるインタビュー記事も公開しているので、是非ご覧ください。

業績

事業拡大してきたのはすごいけど、肝心の業績はどうなんだろう?

過去3年間の主要業績指標は以下の通り。

決算期2022年9月期2023年9月期2024年9月期
売上高5,8036,4867,165
営業利益545697631
(YoY成長率)+14.0%+28.0%-9.6%
売上高営業利益率9.4%10.8%8.8%
当期純利益343438404
(YoY成長率)+24.3%+27.8%-7.8%
売上高純利益率5.9% 6.8%5.6%
ROE34.8%44.7%33.9%
同社決算短信より。単位:百万円。

売上は順調に拡大していますが、直近の2024年9月期は営業利益ベースで9.6%の減益、さらに業績予想未達という結果でした。

同社決算説明資料より。

予想に対し、売上で-8.0%、営業利益では-12.0%の未達となりました。

目標未達の要因は何だろう?

決算説明では2つの要因が挙げられています。

一つ目は、同社が「戦略領域」としている「コンサルティング」「受託開発・運用」において、新規M&A貢献が想定を下回ったことです。

戦略領域の売上高は当初25.2億円を計画していましたが、実績は21.9億円(計画比-13.0%)で着地しました。

二つ目は、「SES領域」と呼ばれるエンジニアの人材派遣において、人員の採用は進んだものの、本格稼働までにタイムラグがあり、一時的に稼働率が低下しました。

うーん、
ROEが高いとは言え、ちょっと不安だな…

同社は業績未達の要因を分析し、今後の対策も決算説明にて発表しています。

26/9 期をターゲットとした中期経営計画を6ヵ年の中長期経営方針へとリバイスし、27/9期には売上高120億円、30/9期にはEPS1,000円・ROE30%超を目指します。

また、従来から掲げる株主還元方針に加え、特徴的な財務資本戦略も発表しました。

新中長期経営方針でEPS4倍・ROE30%超を目指す

新中長期経営方針でEPS4倍・ROE30%超を目指す

2024年9月期決算と同時に発表された新中長期経営方針では、以下の目標を掲げています。

計画

27/9期に向けては、M&Aを含む積極投資で規模の拡大と事業構造転換を図り、売上高120億円を目指します。

30/9期に向けては、投資回収とシナジー創出を通じて1株あたりの利益水準と資本効率にこだわり、EPS1,000円、ROE30%超を目指します。(24/9期のEPSは246.23円)

人財/組織/領域の3つを変革し、事業拡大を実現

同社は人財・組織・領域のそれぞれについて、以下のような課題を捉えています。

  • 人財:中途採用の動きが限定的で、人財の獲得が進んでいない
  • 組織:組織の縦割り、協働不足によりアップセル・クロスセルが少ない
  • 領域:M&Aが限定的で業域の拡大ペースが緩やか

課題を特定しているなら、あとは対策するのみだね。

同社は対策として、「人財」ではキャリア採用やBP(ビジネスパートナー)採用を積極的に進め、体制の拡充を加速させていきます。

人財を増やすことにより、新規案件やプロジェクトの要員増加に対応できる体制を構築する考えです。

また、評価制度の変更により、顧客とのリレーションを深耕し、収益拡大機会を逃さない仕組みづくりを進めます。

最後に、さまざまな領域でのM&Aを積極化させ、業容と収益の拡大を進めていく考えです。

以上、3つのゾーンそれぞれの対策を組み合わせて事業成長することで、27/9期での売上高120億円達成を目指します。

キャッシュは再投資または株主還元を通じてROE向上にコミット

事業を拡大し、利益創出により増加するキャッシュは、成長加速のための再投資と株主還元にバランス良くアロケーションし、成長と株主還元を両立する方針です。

キャッシュアロケーション
スクロールできます
キャッシュの使い道 実施内容効果
再投資事業拡大のための投資
M&Aや少額出資
中長期的な事業拡大・売上拡大に寄与
利益増加によりROE向上に寄与
株主還元連続増配を維持
総還元性向30%以上を目標とした分配
自己資本比率40%を超える部分は機動的な自己株式取得等により、資本構成を適正化
配当金の増加
自己資本比率低下によりROE向上に寄与
出所:ヒューマンクリエイションHD

基本方針としては再投資+総還元性向30%以上を目標とした株主還元を実施。

ただし、仮に充分な投資機会(M&A等)に恵まれず、4 四半期連続で自己資本比率が 40%を超過することが見込まれる場合には、40%を超過する自己資本を原資に追加的な株主還元(自己株式取得等を含む)を実施します。

再投資により業績を拡大しつつ、機動的な財務戦略も取ることで、2030年9月期のEPS1,000円達成を目指します。(2024年9月期のEPSは246.23円)

EPSが4倍以上になる計算だね!

このように、ROE・EPS・自己資本比率といった指標を用いて、成長と資本効率・株主還元を意識した中長期経営方針が評価されれば、同社の比較的割安な株価は解消される可能性があります。

注目の2025年9月期は…?

注目の2025年9月期は…?

2025年9月期の業績見通しは次の通りです。

2025年9月期は売上高が前期比+20.1%、特に戦略領域は+33.4%と大きく拡大する予想となっています。

ただし、営業利益は前期比+0.7%と、小幅な伸びに留まります。これはSESの積極採用による一時的なコスト増加によるものです。

戦略領域では評価体系の見直しにより、エンジニア管理職の営業意識を高め、アップセルやクロスセルの推進が期待されます。

また、SES人員増強策も2025年9月期は効果が表れ始め、稼働人員の増加が売上拡大につながる見込みです。

中長期経営方針実現のための大事な1年になるね!

増配見通しで、追加配当の可能性も

2025年9月期の配当見通しは54円/株と、2円の増配予想。

しかし、配当性向は21.7%の見通しで、同社が基準とする総還元性向30%には届きません。

30%に足りない部分は、追加配当か自己株式の取得にて充足する方針です。

さらに、自己資本比率が40%を上回る場合には追加の株主還元が実施される可能性もあります。

ちなみに、2024年11月29日をもって自己株式14万株(発行済み株式の7.27%)を消却。12月31日を基準日に1:2の株式分割も行うんだワン!

高ROE企業の中でも、ヒューマンクリエイションHDの今後の動向に注目

高ROE企業の中でも、ヒューマンクリエイションHDの今後の動向に注目

最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。

かぶリッジの結論

  • ROEが高く、利益成長が続く企業は投資先として魅力的
  • 高ROE企業の中から、中長期経営方針を発表したヒューマンクリエイションHD(7361)を深堀り
  • 成長と資本効率・株主還元を意識した中長期経営方針が評価されれば、同社の比較的割安な株価は解消される可能性あり

高ROE企業からスクリーニングをかけると、どうしてもPERやPBRが高い企業が多くなってしまいます。

ですが、一社一社深堀りすると割安感があり、今後の見直し余地がある企業も。

今回ご紹介したヒューマンクリエイションHDの新中長期経営方針では、事業課題への対策に加えて、株主還元と成長を両立するための積極的な財務戦略を打ち出したのが特徴といえます。

今期以降の進捗と共に計画が評価されれば、同社のPER・PBRが高くなり、株価も上昇する可能性はありそうです。

同社のIRサイトはこちら:https://hch-ja.co.jp/ir/

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