
貸株ってどんなサービスなの?
やめておいたほうがいいのかな?
このようなお悩みを解決します。
💡かぶリッジの結論
- 貸株はデメリットがある分、貸株金利が高い
- 機関投資家が空売りするために株を借りている
- 貸株を有効活用できる①金利優先②株主優待優先③株主優待・配当優先のコースがある
証券会社のサービスの一つとしてある貸株。
その内容について、気になっている人も多いのではないでしょうか。
今回は、貸株とは何か、どんな人におすすめなのかを解説していきます。


執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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貸株はやめたほうがいいのか?3つのデメリットを解説





貸株はやめたほうがいいの?
貸株には、やめたほうがいいと言われる原因となっている、以下の3つのデメリットがあります。
順に詳しく解説します。
株を貸している間は優待・配当を受け取れない
貸株を行った場合、株の所有者は証券会社となります。
株主名簿にも証券会社の名前が記載されるため、貸株を行っている間は配当金や株主優待を受けられません。



長期保有によってお得になる株主優待がある株は、貸株を利用しないほうがいいよ!
配当金が「貸株配当金相当額」となり、雑所得になる
株式を貸出している間に配当金が発生した場合、配当金の代わりに「貸株配当金相当額」を受け取れます。
しかし、この「貸株配当金相当額」は配当所得ではなく、雑所得(または事業所得扱い)となります。
また、税区分が異なるため、株式等との譲渡損との相殺(株式の「利益」と「損失」を合わせた節税)や配当控除の対象とはなりません。



個人での確定申告が必要になることもあるよ!



給与所得者(年収が2,000万円以下)であり、貸株金利、その他の雑所得を合計すると20万円以下の場合は確定申告が必要ないんだワン!
証券会社が倒産した場合、貸株は返却されない
もし貸株を行っている証券会社が破綻した場合、貸し出している株式は投資家に戻ってこない可能性があります。
貸株では、投資家から証券会社に株式の所有権が移転している場合がほとんどです。
この場合、投資者保護法の対象外となってしまい、貸し出している株式は返却されないことが懸念点として挙げられます。
投資者保護基金は、証券会社が破綻した場合に、投資家が預けている金銭や有価証券を保護するための制度です。この基金により、投資家は1顧客あたり1,000万円を上限として保護されます。(投資者保護基金HPより)
そもそも貸株とは?



貸株ってどういう仕組み、サービスなの?
貸株を始めて聞いたという方やデメリットは分かったけど、どういった仕組みなのか分からないといった方に向け、貸株を分かりやすく解説していきます。
貸株の基本的な仕組み


貸株とは、保有している株式を証券会社に貸し出すことで、貸し出した株式に応じた貸株金利を受け取ることができるサービスです。



貸株金利は毎月支払われる証券会社がほとんどだよ!
貸株市場では主に機関投資家が参加し、株の貸し借りをしていましたが、近年は、個人向けに貸株サービスを展開する証券会社が増えました。
なぜ証券会社は株を借りるのか?
証券会社は、個人投資家から借り入れた株式を、主に機関投資家が空売りを行う際に貸し出します。
株価が下落すると予想される銘柄を借りてきて先に売り、後で買い戻すことで利益を得る取引。
機関投資家は、この空売りのために株を調達する必要があります。
証券会社は、この貸し出しに対して「貸株料(金利)」を受け取り、これが収益源となります。
貸株サービスを提供している証券会社
貸株サービスを展開している証券会社は以下の6社です。
ネット証券が中心となって展開しているサービスです。
- SBI証券
- 楽天証券
- GMOクリック証券
- 松井証券
- 三菱UFJeスマート証券
- マネックス証券
長期保有している人におすすめ!貸株のメリットを解説


貸株には、誤解されている部分があり、デメリットだらけであると思う人も多いのではないでしょうか。



デメリットしかないのかな?
以下では、貸株の大きな3つのメリットについて解説していきます。
高い貸株金利が得られる
貸株金利は各証券会社とも高水準で設定されています。
貸株金利が1%以上の銘柄が多く、中には3%以上の金利が付く銘柄も。
2025年7月18日現在の預金金利は、メガバンク3社で0.2%(普通預金)。
貸株サービスでは、上記の預金金利を大幅に上回る金利収入が得ることが可能です。
元金 | 貸株金利(3%) | 貸株金利(1%) | 預金金利(0.25%) |
---|---|---|---|
10,000(円) | 10,300 | 10,100 | 10,025 |
100,000(円) | 103,000 | 101,000 | 100,250 |
1,000,000(円) | 1,030,000 | 1,010,000 | 1,002,500 |
(1年間貸株をした場合)
元金100万円の場合、毎年27,500円も貰える額が変わってきます。



預金金利に比べて貸株金利はかなり高いね。
いつでも売却できる
貸株を利用していると株式を売ることはできないと誤解されがちですが、株式の売却は可能です。
いつでも売却注文を出すことができ、有利なタイミングを逃す心配はありません。



売却の際、貸株を解約する手続きは不要だよ。
長期保有株式を有効活用できる
長期で株式を保有している方にとって、貸株は魅力的なサービスです。
ただ保有しておくだけでなく、貸株を利用することで、毎月金利を受け取れます。



ただ保有するよりもお得になる可能性があるワン!
また証券会社によっては、信用取引の担保と貸株のサービスを同時に活用できます。
信用取引の担保(保証金)として利用している現物株式を、同時に貸株サービスにも利用することで、より効率的に資産を活用することができます。


貸株金利が高い理由とは?裏にあるリスクも解説


ここまで貸株の仕組みやメリット・デメリットを解説していきました。その中で、貸株金利の高さに驚かれた人もいるのではないでしょうか。



何で貸株金利は高いの?
以下では、貸株金利が高い理由について解説していきます。
空売り需要への対応
特定の銘柄に対して「株価が下がる」と予想し、空売りをしたい投資家が非常に多い場合、その銘柄の株式を借りる需要が供給を上回ります。
すると、証券会社はその株を確保するために、投資家から借りる際の金利(貸株金利)を高く設定します。
つまり、「貸株金利が高い=その株の空売り需要が高い」というシグナルであることが多いです。
金利が高い銘柄は下落リスクが高い
貸株金利が高い銘柄は、空売り需要が高い、つまり「株価が下落する」と多くの投資家が予想している銘柄であることが多いです。
高金利に惹かれて安易に長期保有をするのではなく、株価下落リスクを考慮したうえで投資判断をしましょう。
金利収入は得られても、株価下落による損失の方が大きくなる可能性もあるため、注意が必要です。



貸株を行う前に株価下落となるような情報が無いか調べてみるんだワン!
デメリットへの対価としての金利設定
上記で紹介した3つのデメリットや株価下落のリスクの対価として、金利が高めに設定されています。
- 株を貸している間は優待・配当が受けられない
- 配当金が「貸株配当金相当額」となり、雑所得になる
- 証券会社が倒産した場合、貸株は返却されない



リスクを把握した上で利用してね!
貸株を上手に活用する3つの制度


貸株には3つのデメリット、そして株価下落のリスクがあり、対価として貸株金利が高いということを確認しました。



貸株を上手に活用するにはどうしたいいのかな?
貸株サービスを行っている多くの証券会社では、3つのコースを選択できます。
以下で詳しく説明します。
金利優先
このコースでは、貸株金利の受け取りが優先されます。
出来るだけ多くの貸株金利を受け取りたい方におすすめです。



権利確定日も証券会社に株式を貸したままの状態だワン!
権利確定日に貸株金利が通常の2倍や5倍になる証券会社もあります。
配当金に関しては、同額の「貸株配当金相当額」が受け取れます。
株主優待優先
このコースでは、株主優待の受け取りが優先されます。
権利確定日前に貸株が返却され、株主優待を受け取ることが可能です。



各証券会社によって、微妙にシステムが異なる場合があるよ!
配当金に関しては、代わりに同額の「貸株配当金相当額」として受け取れます。
株主優待・配当優先
このコースでは、株主優待と配当金の両方の受け取りが優先されます。
権利確定日前は貸株が解除され、株主優待と配当金両方を受け取れます。



デメリットが解消されるね!
【まとめ】貸株はやめたほうがいい?





貸株について理解できた!
長期保有している株式で貸株を利用してみようかな!
貸株とはどんなサービスなのか、株式を長期保有している人におすすめであること、上手に活用する方法を解説していきました。
💡かぶリッジの結論
- 貸株はデメリットがある分、貸株金利が高い
- 機関投資家が空売りするために株を借りている
- 貸株を有効活用できる①金利優先②株主優待優先③株主優待・配当優先のコースがある
長期で大量保有している株式があるなら、一部を使って貸株で金利収入を得るのも一つの手です。
自身の保有状況に合わせて、貸株制度を使いこなしてみませんか。

