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デンソーの株価はなぜ安い?大化けの可能性を徹底分析

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・デンソーの株価が安いのはなぜ?
・他の自動車部品会社と比較した強みや弱みは?
・今後の株価や配当はどうなるの?

このようなお悩みを解決します。


かぶリッジの結論

  • デンソーは3つの理由から株価が安くなっている!
  • EVやHV等様々な車種に強みがあるが、業績がトヨタグループに依存するという弱みもある。
  • デンソーの今後の株価を占うのは自動車業界のCASE化とトヨタのEV戦略!

株式会社デンソー(以下デンソー)は、トヨタ自動車を親会社に持つ、言わずと知れた日本を代表する自動車部品会社です。

デンソーは巨大な企業であるにもかかわらず、「株価が安い」と言われることがあります。

実際に株価が安いと言われる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。

そこで今回は、デンソーの株価が安いと言われる理由やデンソーの株価・配当の今後についてわかりやすく解説していきます。

合同会社 Next Meeting 代表取締役 かぶリッジ監修者:たけぞう
専門家のポイント

たけぞう(専門家)

直近のデンソーの株価について、私の所感です。

日本の利上げや米国景気減速懸念から、日経平均が大幅下落をする中で、同社株も弱含みの展開となっています。また、2024年7月31日に通期の下方修正を発表しました。決算発表の席上で、松井靖副社長は政策保有株を2~3年で限りなくゼロにし、捻出した資金から大型の自社株買いを「前向きに考えたい」と語られています。

かぶリッジ公式ロゴ

執筆:かぶリッジ編集部

かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。

たけぞうさん 株式投資専門家 かぶリッジ監修担当

監修者:たけぞう

合同会社 Next Meeting 代表取締役。1988年に証券会社へ入社し約30年間勤務。
東京証券取引所において、4年間の“場立ち”を経て20年間以上証券ディーラーとして活躍。多い時には約10億円の資金運用を託され、重圧と戦いながら約50億円の収益を上げる。
現在は個人投資家である傍ら「誰にでも、わかりやすく」にこだわりラジオ、セミナーなど多くの舞台で投資手法を伝え、一人でも多くの投資家が株で収益を上げられるように専門家として日々活動を行っている。

■毎日更新かぶリッジブログ
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50億稼いだおっさんが教える 月5万稼ぐ株投資

目次

デンソーの株価はなぜ安い?理由3つを解説

Midashi-denso (1)

💡このパートの要約

デンソーの株価が安い理由は…

  • 自動車業界の先行きの不透明さによる懸念
  • トヨタをはじめとした日本の自動車業界のEV戦略の遅れ
  • トヨタグループ全体における品質問題への懸念

デンソーはその収益の大部分を自動車部品、またその半分をトヨタグループに対する売り上げで占めています。

そのため、トヨタ自動車を筆頭とした自動車業界を取り巻く状況により、デンソーの株価は大きく変動するのが事実です。

ここで、デンソーの株価推移を見てみましょう。

2003年から2024年までのチャートですが、株価が大きく下落している箇所が複数あることがわかります。

何が原因だったのかな?

ここからは、デンソーの株価が安くなってしまった理由を3つご紹介します。

自動車業界の変革における先行きの不透明さ

デンソーのみならず、多くの自動車部品メーカーの株安を招いたのが、自動車業界の先行きの不透明さです。

今はガソリン車だけじゃなく、EVやHVのようなエコカーがたくさんあるよね

しかし、いまだにどの車種の普及が進むのか、進むにしてもどの会社がシェアを取っていくのか、先行きが不透明な状態です。

この先行きの不透明さが投資家を慎重にさせ、デンソーの株価低迷の重石になっている可能性があります。

また、輸出産業である自動車業界に大きな影響を与える為替水準も日米の金融政策とは裏腹に円安が進んでおり、より一層市場の慎重な姿勢は続くでしょう。

たけぞう(専門家)

米国の大統領選を控え、仮にトランプ元大統領が当選された時は、バイデン現政権が進めるEVの普及を事実上義務化する政策を終わらせると約束しています。また、ドル安政策を掲げている事など日本の自動車業界への懸念が台頭します。

日本のEV戦略の遅れ

日本のEV戦略の遅れも、デンソーの株価に影響を及ぼしました。

日本ではHVの普及や売り上げは堅調であり成功しています。

しかし、下の2つの要因から海外の自動車メーカーに遅れを取っている状態です。

  • 国内の充電インフラの不足
  • 低燃費技術への依存

下のグラフは2023年上期におけるメーカーごとのEV車販売台数です。

国内最大の自動車メーカーであるトヨタですら、7万台と海外と比べた日本EV車の出遅れ感が分かります

EV車はガソリン車と比べ、ただでさえ内部部品が少ないためこのEV戦略の遅れはデンソーへ少なからず影響を与えるでしょう。

トヨタの今後のEV戦略に期待だワン!

たけぞう(専門家)

日本のEV化は世界から遅れをとっていると言われています。しかし、デンソーは米国の半導体関連会社に5億ドルの出資を決定しました。EVのモーターを動かすインバーターに使うと消費電力を10%抑えられるという、炭化ケイ素米コヒレントの子会社に出資し競争力を強化します。

トヨタグループ全体における品質問題への懸念

トヨタグループ全体に対してのガバナンスが疑問視されていることも、株価が安くなっている要因と考えられます。

トヨタグループ全体では2021年から2023年の2年間の間に企業が公表した不正件数が5件に及びます。

デンソーにおいても、2020年には欠陥燃料ポンプの提供により、340万台を超えるリコールとなりました。

全体的にエンジンやエンジン関連部品での問題が多い印象だね。

企業への逆風を退けるためにも、ガバナンスの整備による信頼の改善は重要になってくることでしょう。

たけぞう(専門家)

国土交通省は型式指定申請で不正行為を行っていたトヨタ自動車に対する立ち入り検査の結果、新たに7車種の不正を認定するとともに、是正命令を発出したとの報道もありました。
文中にもあったように、トヨタグループ全体では2021年から2023年の2年間の間に企業が公表した不正件数が5件に及んでいます。
この辺りも同社の株価を押し下げているようにも感じます。

親会社であるトヨタ自動車について分析した記事もあるので、ぜひあわせてご覧ください。

デンソーの事業内容・業績

Midashi-DENSO

💡このパートの要約

  • デンソーの事業は自動車部品の製造をメインとした車載事業と非車載事業の2つに分かれる
  • 売上高成長率は直近の3年間で平均13.11%を達成
  • 世界有数の技術力研究開発費の高さを強みとする

ここでは、デンソーの事業内容や業績について詳しく見ていきます。

事業内容

denso-jigyou
同社HPより

デンソーでは、以下2つの事業を運営しています。

車載事業

デンソーの中心業務は自動車部品の製造を中心に行う車載事業です。

ガソリン車を始めHEVやBEVなどの自動車部品やシステムを研究・開発・製造を行っております。

車内用エアコンやインバーターを始め、高いシェア率を誇る商品を多く開発してきており、デンソーの技術力が伺えます。

非車載事業

非車載事業では自動化モジュールや小型モバイル冷凍機に代表される産業向け機器の開発・製造・販売・アフターケア等を行っています。

社会・産業界の生産性向上に貢献することを目的としており、インダストリアルソリューションとフードバリューチェーンの二つのセグメントで構成されています。

業績

業績はどうだったのかな?

デンソーの2023年度(2024年3月期)の業績としては売上高は3年間連続での増収、当期純利益はほぼ横ばいながらも減益に推移しました。

denso-saleoperatingincome
同社HPより
スクロールできます
2019年度
(2020年3月期)
2020年度
(2021年3月期)
2021年度
(2022年3月期)
2022年度
(2023年3月期)
2023年度
(2024年3月期)
売上収益5,153,4764,936,7255,515,5126,401,3207,144,733
営業利益61,078155,107341,179426,099380,599
税引前利益89,631193,753384,808456,870436,237
当期純利益68,099125,055263,901314,633312,791
総資産5,651,8016,767,6847,432,2717,408,6629,093,370
純資産3,558,8694,076,7174,489,5264,579,7115,746,505
単位:百万円
同社HPよりかぶリッジ作成。

売上高は7兆円を超える規模まで、順調に成長しています。

また、売上高、当期純利益は共に右肩上がりに推移しており、堅調に推移していると言えます。

総資産・純資産額においても右肩上がりになっているね!

デンソーの収益の強みとして、国内外の顧客基盤と適切なコスト管理による営業利益率の高さがあります。

デンソーはいまだトヨタグループが半分以上の収益の顧客となっています。

しかし、日本国内の他社メーカーそして海外の売上高比率、収益率は年々向上していおり、現時点でも国内外に多くの顧客がいます。

海外でのシェア率も高い自動車部品メーカーは希少だワン!

ガソリン車だけでなく、HVやEV等の多様な自動車部品に強みを持つデンソーは今後も海外シェアを着実に伸ばしていくことでしょう。

また、適切なコスト管理による営業利益率の高さもデンソーの大きな強みです。

自動車部品メーカー2社の営業利益率を見てみましょう。

スクロールできます
企業名デンソーアイシン
売上高7,144,7334,909,557
営業利益380,599143,396
営業利益率5.32%2.92%
単位:100万円
※各社の2024年3月期決算短信よりかぶリッジ作成。

営業利益率が平均3%前後と言われる自動車部品メーカーの中でも、デンソーは高度なコスト管理能力により、5%を超える営業利益率を誇ります。

2022年には「D-tote」と呼ばれる製品やサービス開発におけるPoCに必要な環境を、短期間で簡易に実装可能にするサービスも開発している状態です。

この効率的な製品やサービスの開発、コスト管理を積極的に行う姿勢が高い営業利益率を誇る要因となっているのでしょう。

たけぞう(専門家)

直近の第1四半期は、日本顧客の稼働停止影響や、アジアでの販売不振に伴う車両減産があり年初公表に対し、実績は売上収益・営業利益共に減収・減益を発表しました。

2024年通期決算まとめ

2024年3月期の連結最終売上収益は、前期比11.6%増の7兆1,447億円となりました

2025年3月期の予想では、前期比約2.9%増の7兆3,500億円とほぼ横ばいを見込んでおり、2期連続で過去最高売上を更新する見通しです。

また、25年3月期の年間配当についても、前期比9円増の64円に増配する方針としました

業績好調で、直近3年間の成長率は平均13%を超えているね!

たけぞう(専門家)

第2四半期以降は、日本顧客の稼働停止影響は軽減するも、アジアを中心とした車両販売不振が継続する一方で、為替は円安傾向で推移すると見込んでいます。このような外部環境の先行き不透明感から、年初公表据え置きとしていますが、日銀の利上げにより円高が進行すると業績への影響が懸念されます。

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自動車部品メーカー3社を比較!デンソーの強みと弱みは?

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💡このパートの要約

  • デンソーはその技術力により多数の特許、世界No.1シェア部品を保持
  • 競合他社と比べ圧倒的な研究開発費を誇り、世界各国に研究開発拠点多数
  • 配当利回りが4%未満と高水準とは言えないが、過去には4%を超えていたことも

自動車部品メーカー他2社と比較して、デンソーの強みや弱みを見ていきましょう。

大きく以下の3つの特徴が挙げられます。

技術力に裏付けられた特許の数々

デンソーの強みとして、競合他社と比較した時に際立つ技術力、またそれに裏付けられた特許の数々があります。

自動車部品メーカー2社の引用された特許の数を見てみましょう。

順位企業名引用された特許数
1位デンソー5,035
2位アイシン1,648
3位日立ASTEMO1,248
Patent Resultより

デンソーは自動車部品メーカーの中で圧倒的な特許数引用数を誇り、2位のアイシンと比べても2倍以上の差があります。

また、デンソーは「新しい価値の創造を通じて人々の幸福に貢献する」ことを基本理念としており、今までにコモンレールやミリ波レーダを筆頭に世界初製品を130以上作り出してます。

シェアにおいてもインバーターやコモンレイルを筆頭に、世界1位シェアの部品が多数あり日本最大の自動車メーカーである技術力がうかがえます。

カーエアコンもデンソー製の物がほとんどだよね!

グローバルな研究開発体制

グローバルな研究開発体制もデンソーの大きな強みです。

デンソーは世界の自動車部品メーカーの中でも最大級の研究開発・設備投資費を誇っています。

下記の資料はデンソーの設備投資・償却費・研究開発費の推移です。

研究開発費が右肩上がりに増えていってるね!

資金投入量の多さだけでなく、世界的な研究開発体制もデンソーの強みです。

世界7極に専用のテクニカルセンターを設置、また研究開発拠点としては国内外に13もの拠点を抱えています。

業界最大級の研究体制はデンソーの大きな強みと言えるでしょう。

トヨタグループへの依存

トヨタグループに業績を大きく左右されてしまうのはデンソーの大きな弱みです。

下の資料はデンソーの得意先別の売上収益です

年々海外での売上高等は伸びているものの、いまだ半分以上をトヨタグループが占めている状態です。

トヨタグループの業績が好調な間は恩恵を受けられるものの、現状中国市場で苦戦を強いられているトヨタへの依存は今後のデンソーにマイナスな影響も与える事でしょう。

デンソーの株価や配当は今後どうなる?将来性や見通しを分析

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💡このパートの要約

  • 親会社であるトヨタは中国を中心にEV車で苦戦
  • 自働車業界の更なるCASE化がデンソーの追い風となるか
  • 2024年度は増配予想!配当性向35%を目指す

デンソーの今後はどうなっていくでしょうか。

株価の推移を見ながら、将来性や今後の見通しを分析していきます。

たけぞう(専門家)

私の意見としては、同社はトヨタグループの中でも政策保有縮減を打ち出し、今後の成長戦略や株主還元策を実施する事を明言しています。
トヨタグループ以外での活躍が今後期待されますし、技術力に定評のある企業だけに注目しています。

中国を筆頭にトヨタはEV市場で苦戦

トヨタグループはガソリン車やHVで大きなシェアを誇っているものの、EV車の販売台数に関しては苦戦しています。

特にEV市場が盛り上がっている中国などでは、2024年4月の新車販売台数が前年同期比27.3%減と大きく減少しました。

現地での価格競争に日本車が負けているのも要因の1つだね!

売上高の半分以上をトヨタを筆頭とした日本メーカーで占める中で、日本の自動車メーカーの低迷は少なからず今後デンソーの株価にも影響を与えるでしょう。

トヨタグループの販売台数、決算に注目だね!

自働車業界のCASE化が追い風となるか

自働車業界のCASE化の流れは、デンソーの追い風となるかもしれません。

そもそも、自動車業界のCASE化って何?

CASE化とは

CASE化とは自動車業界における四つの革新的な技術やサービスの頭文字を繋げた言葉です。

  • Connected:インターネットと接続された自動車のデータ活用(loT)
  • Autonomous:自動運転
  • Shared & Services:カーシェアリング
  • Electric:電気自動車

CASEが注目されている理由としては環境問題や高齢者ドライバーによる事故の増加等があり、日本のみならず世界規模での命題となっています。

また、現在の自動車業界ではCASEを制することが企業成長の鍵と言われており、世界各国で技術開発が進められています。

デンソーはガソリン車だけでなく、EV・HV車に強い技術力を持っており、CASE化の推進によりデンソーの需要が伸びていくことが考えられます。

この多様な車種への高い技術力は日本の自動車メーカーにおいてもデンソーだけの強みであり、今後の更なる成長も期待できるでしょう。

今後の自動車業界の流れに注目だね!

2024年度は増配する方針、配当性向35%を目指す

デンソーは配当の方針として、「連結業績・資本効率・配当金額を総合的に勘案しながら、DOE3.0%からの継続的上昇を」目指しています。

この方針に沿って2025年3月期の配当は年間64円、配当性向は35%を目標としています。

ここで、直近6年間の1株あたり年間配当金を見てみましょう。

スクロールできます
中間期末合計年間配当(調整後)
2025年3月期(予想)32円(予想)32円(予想)64円(予想)64円
2024年3月期100円30円130円55円
2023年3月期90円95円185円46.25円
2022年3月期80円85円165円41.25円
2021年3月期70円70円140円30円
同社決算短信よりかぶリッジ作成。
年間は配当(調整後)は株式分割・併合などを考慮。

しっかりと増配してきているね!

また、同行は非減配銘柄ということで、直近5年を見ても1度も減配をしていない、安定した配当を受け取れる企業となっています。

これらが投資家にとって魅力的に映ることで、株価が上昇していくことが期待されます。

今期のデンソーの業績にも注目だワン!

たけぞう(専門家)

政策保有の売却資金から株主還元を実施する方針も掲げています。捻出資金もあるだけに実施は可能だと思います。
また、決算時の発言も大きいように思います。私の所感としては、円高リスクあるにせよ35%は達成できると思います。継続する事が大事になってくるでしょう。

【まとめ】デンソーの株価が安い理由

denso-matome

デンソーの株価が安い理由について、よくわかったよ!

最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。


まとめ

  • デンソーは3つの理由から株価が安くなっている!
  • EVやHV等様々な車種に強みがあるが、業績がトヨタグループに依存するという弱みもある。
  • デンソーの今後の株価を占うのは自動車業界のCASE化とトヨタのEV戦略!

デンソーの株価は自動車業界の不透明さや日本のEV戦略の遅れといった要因で安くなっていました。

また、業績の半分がトヨタグループに依存すること、そしてガバナンスへの懸念も投資家からの買いを集めにくくなっている要因となっています。

ただし、近年の好調な業績や増配計画、自動車業界のCASE化により同社の株は上昇していくことが予想されます。

トヨタグループの業績がデンソーの業績に大きくかかわることから、今後もデンソー、トヨタとそれを取り巻く環境を注視していきましょう。

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