読者のギモン
国策であるのにM&Aの会社の株は何故下がっているのでしょうか?
特にM&A総研は将来性があると言われているのにどうして売られるのか分からないです。
編集部の回答
2024年6月7日に政府が公表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の2024年改訂版案にて、「M&A仲介事業者の利益相反構造」や「高額な最低手数料」が指摘されたことでM&A関連銘柄の株価が軒並み下落しました。
後継者問題等で注目されていたM&A関連銘柄は高値を付けていた企業も多く、その反動もあり大きな下落になったと考えられます。

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M&A関連銘柄の株価
M&A関連銘柄として有名な企業を5社ピックアップし、過去半年間の株価を比較してみましょう。
企業名 | 1/23終値 | 7/23終値 | 変化率 |
---|---|---|---|
M&A総研ホールディングス (9552:東証プライム) | 4,565 | 3,630 | -20.5% |
日本M&Aセンターホールディングス (2127:東証プライム) | 775.3 | 875.6 | +12.9% |
M&Aキャピタルパートナーズ (6080:東証プライム) | 2,408 | 2,343 | -2.7% |
ストライク (6196:東証プライム) | 4,545 | 4,430 | -2.5% |
ジャパンM&Aソリューション (9236:東証プライム) | 3,280 | 1,871 | -43.0% |
質問者さんのおっしゃる通り5社中4社の株価が下落していて、特にM&A総研HDやジャパンM&Aソリューションは大きな下落となっています。
M&A総研HDの株価推移を見てみましょう。
チャートを見ると、3月中旬~6月中旬にかけて株価が下落していることが分かります。



なんでこんなに下落しているんだろう?
前半の下落は、株価の過熱感による揺り戻しと考えられます。
3月13日に株価は最高値の7,500円をつけ、それをピークに調整が継続した印象です。
6月の安値近辺でも株価は23年11月頃と同水準のため、調整売りが膨らんだと考えられます。
その後、決定的なのが6月10日の下落。一時700円(17.9%)安の3205円をつけ、年初来安値となりました。
この背景として、6月7日に政府が公表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の2024年改訂版案が挙げられます。
後継者不足に悩む中小企業が多い中、事業承継の手法としてM&A件数が伸びています。
売り手と買い手の間に入り、価格交渉や手続きなどを支援するのがM&A仲介事業者。ですが、自社の利益を優先することでM&Aをめぐるトラブルが続出。
これを受け同改訂版案では、「M&A仲介事業者の利益相反構造」や「高額な最低手数料」が指摘されました。
「利益相反構造を軽減する報酬体系の検討や、売り手・買い手が納得しやすい手数料水準を実現していく方向で具体的な検討を進める」との記載があったことから、6月10日の株式市場でM&A関連銘柄は売られ、M&A総研もその流れを受けました。



なるほど!そんなニュースがあったのか…
筆者の見解まとめ
事業継承問題をはじめ、M&Aは確かに国策です。
ただ、政府による規制がチラついてきたため、業界全体にとっては向かい風の状況となっています。
また、例えばM&A総研HDであればPERは約45倍、PBRは約24倍とバリュエーションも高めな印象です。
M&A総研HDをはじめ各社業績は好調なようですが、政府の規制強化を考えると投資は少しためらってしまう状況ですね。
株価下落局面は「安値で買える」という見方もできるので、ご自身が納得できる企業があれば投資に踏み切るのも一つの選択肢だとは思います!


執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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