
コニカミノルタの株価はなぜ上がったの?
今後、株価はどうなっていくのかな?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- 大幅な業績V字回復によって株価が上昇
- 中期経営計画の「事業の選択と集中」が行われた
- 現在の健全化した財務状況のまま、成長軌道に乗っていけるかカギとなる
コニカミノルタ(4902)は、イメージング技術を核に、複合機などのオフィス機器、印刷用機器、ヘルスケア機器、計測機器、機能材料などの事務機器をグローバルに提供する企業です。
同社はコロナ禍以降、2022年、2023年、2025年と3回の赤字を経験し、株価は乱高下を繰り返していました。



コロナ禍によりオフィス機器の需要の低下が原因の1つとして挙げられるんだワン!
しかし、2025年11月5日の中間決算日を皮切りに株価が上昇しました。
急な株価上昇に疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、コニカミノルタの株価が上昇している理由や今後の株価がどうなっていくのか徹底分析していきます。


執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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コニカミノルタの株価はなぜ上昇?3つの理由を解説


💡このパートの要約
コニカミノルタの株価が上昇している理由は…
- 赤字が続いていた業績が黒字化し、2026年3月期の業績予想が市場の想像を超えた
- 中期経営計画が計画通りに実行された
- 配当が復活
まず、コニカミノルタの株価推移を見ていきましょう。
2020年から大幅な下落が続き、上昇したものの2024年10月まで横ばいが続いています。
2024年10月22日には、旧村上ファンド出身者が設立したエフィッシモ・キャピタル・マネージメントによる大量保有が明らかになり株価は急上昇。
2025年には、一時的な上昇の反動から株価は下落するも、再び株価は上昇しています。



今回はなぜ上昇しているのだろう?
ここからは、コニカミノルタの株価が上昇した理由を3つご紹介します。
V字回復を伴う大幅な業績回復
コニカミノルタの株価が上昇した理由として、赤字が続いていた業績が黒字化し、2026年3月期の業績予想が市場の予想を超えたことが挙げられます。
同社は、2021年3月期から業績が低迷していました。
| 2021年3月期 | 2022年度3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 営業利益 | -16,266 | -22,297 | -95,125 | 26,091 | -64,014 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | -15,211 | -26,123 | -103,153 | 4,521 | -47,484 |
同社HPより、かぶリッジ作成。



2024年3月期以外すべて赤字だったんだね。
低迷が続く中、2026年3月期の純利益の業績予想は、市場の予想平均(QUICKコンセンサス、226億円)を上回る270億円と発表しました。
実績として2026年3月期中間期でも、営業利益が前年同期の-10億円から今期の229億円と大きなV字回復を達成しています。
また、事業の稼ぐ力を示す事業貢献利益が、2026年3月期中間期で前年同期比45.9%増の238億円を達成するなど、構造改革の成果が収益改善に直結しています。



グローバル構造改革や不採算事業の撤退によるコスト削減が大きく貢献しているんだワン!
「事業の選択と集中」の完遂
中期経営計画の実行力も大きく株価に寄与していると言えるでしょう。
赤字続きであったコニカミノルタは2023年に中期経営計画(2023-2025)を発表。
「等身大の経営」、「高収益企業への回帰」を基本方針とし、以下の施策に取り組みました。
- 事業収益力の強化:事業の選択と集中、強化事業への資源再分配、オフィス事業の収益堅守
- 収益基盤強化のために構造改革を実行:コストの圧縮、財務基盤強化
- 事業管理体制の強化:事業のパフォーマンス明確化、選択と集中の加速



2025年度は、特に事業の選択と集中の施策が目立った年だよ!
具体的には、不採算であったプレシジョンメディシン事業を非継続事業に分類し、譲渡を完了。
その他のマーケティングサービス、光学コンポーネント事業も譲渡、売却を実行。
さらに、方向転換事業としてDW-DXと画像IoTソリューションにおいて展開国・地域の絞り込み(画像IoTはMOBOTIX社の譲渡契約も)を実行したことにより赤字の縮小、2026年3月期には黒字化を予定を予定しています。
DW-DXとは?
デジタルワークプレイスとデジタルトランスフォーメーションの略。
複合機などのオフィス向け情報機器、およびそれらを取り巻くソリューションやサービスを指す事業分野で、同社の主要事業の1つ。
画像IoTソリューションとは?
同社が培ってきた画像・光学技術に、IoTやAI技術を組み合わせた統合プラットフォーム「FORXAI」のことです。
画像やセンサーデータを活用し、リアルタイムでの高度なAI解析やエッジ処理を行い、様々な業界(製造、介護、医療、セキュリティなど)の課題解決を支援するサービスです。



経営改革の完遂により、中期経営計画で目標としていたROE5%以上の達成を2026年3月期に実現する見込みだよ!
財務体質の改善と配当の復活
上記の中期経営計画の実行によるコスト構造が改革され、財務安定性と配当の復活したことが投資家に良い印象を与えました。
危機的状況であった財務体質も、自己資本比率が2025年3月期末の38.0%から2026年3月期中間期末には41.6%まで改善し、財務の健全性が高まっています。
また、2025年3月期に無配であった年間配当金を、2026年3月期には年間10.00円に復活させる予想を公表しました。



配当10円は2023年3月期以来だよ!
コニカミノルタの事業内容と業績・株主還元


💡このパートの要約
- コニカミノルタは複合機などのオフィス機器、印刷用機器などの事務機器とイメージング・IoT技術を活用したデジタルソリューションをグローバルに提供している
- 2025年3月期は、営業利益、当期純利益ともに赤字
- 配当は無配から10円になる見込み
コニカミノルタの現状を見ていきましょう。
事業内容
コニカミノルタは複合機などのオフィス機器、印刷用機器などの事務機器と、イメージング・IoT技術を活用したデジタルソリューションをグローバルに提供している会社です。
主に4つの事業に分かれています。


- デジタルワークプレイス事業
- プロフェッショナルプリント事業
- インダストリー事業
- 画像ソリューション事業
各事業の売上比率は以下の通りです。





デジタルワークプレイス事業が一番売上比率が高いんだね!
デジタルワークプレイス事業
この事業は、様々な業種の業務プロセスの課題をみえる化、DXの推進で課題解決を支援しています。
- ・オフィス
-
カラー複合機、およびドキュメントワークフローの入出力ソリューションの提供。
- ・DW-DX
-
中堅・中小企業などのITサービスやデジタル化支援、オフィス向け動画・画像解析サービスを提供。



主な取引先として民間企業や官公庁、教育機関が挙げられるよ!
プロフェッショナルプリント事業
この事業は、印刷現場のデジタル化で生産性向上を支援、生産・保管・輸送でのCO2排出削減にも貢献しています。
- ・プロダクションプリント
-
電子写真方式によるデジタルカラー印刷機、および印刷現場のワークフローソリューションの提供。
- ・産業印刷
-
B2インクジェット印刷機、ラベル印刷機、加飾印刷機、テキスタイル印刷機の提供。



北米の大手印刷会社にもアプローチを行っているよ!
インダストリー事業
この事業は、モノづくりの自動化、省力化を支援、ロス低減により資源の有効活用に貢献しています。
- ・センシング
-
光源色・物体色計測、外観計測など各種計測機器の提供。
- ・機能材料
-
ディスプレイ用の機能性フィルムの提供
- ・IJ( インクジェット)コンポーネント
-
インクジェットヘッド・インクの提供。
- ・光学コンポーネント
-
各種レンズの提供。



光学コンポーネントでは、ピックアップレンズの技術によってCDプレーヤー普及に貢献したんだワン!
画像ソリューション事業
この事業は、画像 x ハードウェア x AI技術の融合で、“みたい”というニーズに応え、事業の成長を実現しています。
- ・ヘルスケア
-
デジタルX線画像診断システム、超音波画像診断システム、およびPACSなどの医療ITサービスの提供。
- ・画像IoTソリューション
-
ネットワークカメラの開発・製造・販売、関連ソリューション・サービスの提供。
- ・映像ソリューション
-
プラネタリウムの開発・生産・運営。
- ・FORXAI
-
共通基盤技術「FORXAI(フォーサイ)」を活用したソリューションの開発・製造・販売、サービスの提供。
- ・QOLソリューション
-
介護業務に係る製品、情報システム及びサービスの開発、販売、コンサルティング



イメージング技術は、コニカミノルタのコア技術と言えるよ!
業績
次に業績を見ていきましょう。


| 2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | 2025年3月 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 8,633 | 9,114 | 11,303 | 11,599 | 11,278 |
| 営業利益 | -162 | -222 | -951 | 260 | -640 |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | -152 | -261 | -1,031 | 45 | -474 |
IFRS基準
同社HPより、かぶリッジ作成。
2025年3月期の業績は、営業利益-640億円、当期利益-503億円と赤字を計上しました。
この赤字は中期経営計画に沿った経営改革の完遂に伴う一過性の費用及び損失や将来の事業計画を見直した減損損失を計上した結果です。



次に繋げるための赤字ということかな?



実際に事業構造改善費用として216億円、減損損失として511億、選択と集中の費用として232億円の支出を計上しているんだワン!
一方で、2026年3月期中間期の業績は、営業利益は229億円(前年同期-1,025億円)、当期利益234億円(前年同期-107億円)で、赤字から黒字へと好転しています。
また、2026年3月期通期の業績予想では営業利益480億円、当期利益が240億円から270億円に上方修正されました。



増益の要因として事業の選択と集中や、グローバル構造改革を伴う経営改革やTempus AI株式評価益が挙げられているよ!
株主還元
今までの1株当たりの配当金と配当性向をまとめると、以下の表の通りです。
| 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期(予想) | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1株当たり 配当金 | 25円 | 30円 | 10円 | 5円 | 0円 | 10円 |
| 配当性向 | – | – | – | 54.6 | – | 20.6 |
2023年から減配が続き、2025年3月期は無配となっています。
しかし、2026年3月期には配当金が復活し、1株当たりの配当金10円となる見込みです。



自社株取得は過去5年間において行われていないよ。
事業の選択と集中が、財務安定性のための最優先事項であったため、株主還元に対してはあまり積極的ではありませんでした。
今後、業績が成長軌道に乗っていくことができれば、増配も期待できるでしょう。
コニカミノルタの強み・弱み


💡このパートの要約
- 各事業でジャンルトップの製品を保有している
- 150か国以上でグローバルに事業を展開
- 特許数と研究費が減少している
コニカミノルタの具体的な強みと弱みを解説していきます。
強み①:複数の分野でのジャンルトップ
コニカミノルタは、事業ごとにそのジャンルでトップクラスのシェアを誇る製品を開発・製造しています。
| 事業領域 | トップシェアを誇る製品 | |
|---|---|---|
| デジタルワークプレイス事業 | A3カラー複合機 | 世界約40カ国でトップクラスのシェア (No.1 or 2) |
| プロフェッショナルプリント事業 | カラーデジタル印刷機 | 世界約40カ国でトップクラスのシェア (No.1 or 2) |
| インダストリー事業 | 光源色計測装置 | 世界のディスプレイ計測機器でシェア5割以上 |
| 液晶テレビ用VA-TACフィルム | 世界市場でトップクラスのシェア | |
| 画像ソリューション事業 | カセッテ型DR (デジタルX線画像診断システム) | 国内クリニック市場でトップクラスのシェア |
| 超音波診断装置 | 国内整形外科市場でトップクラスのシェア |
「材料分野」、「光学分野」、「微細加工分野」、「画像分野」の4つのコア技術を元に各業界でトップクラスのシェアを持つ製品を開発、製造し続けていることは同社の大きな強みと言えるでしょう。
強み②:150か国以上での事業展開
コニカミノルタは日本だけでなくグローバルに展開しています。
地域別構成比は以下の通りです。
バランスの良い世界各国への進出は、リスク分散、市場拡大、人材確保など多くのメリットをもたらします。
特に地政学リスクが注目されている昨今の企業事情において、バランスのよいグローバルへのリスク分散は効果的と言えます。
また、成長戦略としても日本の高い技術力を活かして、世界進出することで高いシェアを確保しています。
弱み:研究実績の低下と研究費の低下
コニカミノルタの弱みとして、特許数と研究費用の減少が挙げられます。
| 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 研究開発費(億円) | 740 | 650 | 626 | 638 | 651 |
| 特許取得件数 | 2,198 | 1,850 | 1,602 | 1,531 | 1,351 |
同社は、財務、事業の立て直しのために「事業の選択と集中」に注力し、支出を増やしていました。
その反動もあり、2019年から年々研究開発費が減少し、それに伴い特許取得件数も減少しています。
新製品や改良技術が生まれにくくなり、数年後の売上と利益の成長が停滞してしまう可能性があります。



研究開発費の減少はイノベーション能力と将来的な競争力の低下につながってくるよ。
コニカミノルタの株価は今後どうなる?将来性や見通しを解説





株価は今後も上がっていくのかな?
株価は上昇ではなく、停滞期に入ると考えられます。
理由は、以下の3つです。
ROE5%を達成するか注目されている
財務目標として、ROE改善を最も優先順位の高い目標としています。
2025年度はROE5%が目標です。
2025年終わった時点で達成しているか否かで株価が大きく変わってくると考えられます。



現状の中間期でのROEは4.56%と順調に推移しているよ!



業績予想の当期利益が270億円を達成すれば、ROEは5%を超えるワン!
収益性の拡大
2024年度までは事業の選択と集中を掲げ、不採算事業の撤退、譲渡を行ってきたコニカミノルタ。
2025年度は「Turn Around2025」と位置づけ、成長軌道に戻す基盤を整える方針です。
構造改革の効果として140億円の事業貢献利益、65億円の事業成長を見込んでいます。
さらに、中長期の利益成長の要として3つの新技術を公表しています。
- 再生プラスチック材料製造
- ペロブスカイト太陽電池バリアフィルム
- バイオものづくりのプロセスモニタリング
- ①再生プラスチック材料製造
-
環境規制が進む中、使い勝手の良い再生プラスチックの製品搭載を進めたいというニーズに対応。
2025年の市場規模は500億円から1,000億円の見込みです。
- ②ペロブスカイト太陽電池バリアフィルム
-
発電効率と耐久性を両立した安価なバリアフィルムを提供。
2030年の市場規模300億円から500億円の見込みです。
- バイオものづくりのプロセスモニタリング
-
培養タンク内の状態の見える化と制御を容易にし、生産効率を上げたいというニーズに対応。
2030年の市場規模は500億円から1,000億円の見込みです。



伸びしろがありそうな分野ばかりだけど、収益を確立するまで時間がかかりそうだね。
また、2025年1月には富士フィルムと合弁会社「グローバルプロキュアメントパートナーズ株式会社」を設立しました。



複合機の原材料および部材調達のための会社で、事務機の出荷台数が停滞する中、資本効率化、部品の供給の連結に向けて設立されたよ!
資本効率と新たな技術を元にした事業展開で中長期的な成長を見込んでいます。
印刷業界自体の厳しさ
デジタルシフトが進み、チラシ、カタログ、ポスターの商業印刷が、Webやデジタルサイネージに置き換えられています。
印刷物の需要が減少すると、印刷機の需要も減少していくでしょう。



事業の多角化、転換が重要になってくるね。
印刷機で高いシェアを誇る同社は、デジタルワークプレイス事業で高い売上比率を占めているため、大きな影響を受けてしまいます。
ただ事務機を販売するのではなく、DXやAIの需要と掛け合わせたソリューションを提供していくことが、売上維持のために必要となってくるでしょう。
以上の3つの理由から、投資家は2026年3月期通期の決算を待ち、様子見の状態が続くと考えられます。
【まとめ】コニカミノルタの株価はなぜ上昇している?





コニカミノルタの株価が上昇した理由がよく分かったよ!
かぶリッジの結論
- 大幅な業績V字回復によって株価が上昇
- 中期経営計画の「事業の選択と集中」が行われた
- 現在の健全化した財務状況のまま、成長軌道に乗っていけるかカギとなる
コニカミノルタは、業績のV字回復、中期経営計画の遂行、配当の復活によって株価が上昇していることがわかりました。
今後の業績は、「Turn Around2025」と位置づけた計画によって、成長軌道に戻せるかがカギを握るでしょう。
また、収益の拡大として中長期的な事業を見込んでいるため、投資をする際も中長期の目線が大切になっていきます。
株価は、停滞期に入りそうですが、今後の業績やROEなどの目標達成度によって再び上昇するでしょう。



2026年度からの中期経営計画にも注目していきたいね!
かぶリッジでは、この他にも最近株価が上昇している銘柄についてまとめた記事をまとめているので、ぜひあわせてご覧ください。




















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