
さくらインターネットの将来性は?
株価急落・急騰の理由はなんだろう?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- クラウドビジネスへの集中で中長期的な成長を描く
- ガバメントクラウドに認定されている唯一の日系企業として、外資大手に挑む
- GPUクラウドサービスの分野を強みに来期は過去最高益を目指す
さくらインターネット(3778)は、クラウドサービス事業およびデータセンター事業を行う東証プライム上場企業です。
大阪に拠点を置く同社は、国内最大規模の自社運営データセンターを保持しており、GoogleやAmazonの対抗馬として期待されています。
しかし、同社の株価は2025年7月28日発表の業績予想の下方修正を受け暴落しました。



なぜ下方修正されたんだろう?
そこで今回は、さくらインターネットの株価暴落・急騰の理由と今後の動向を分析し、将来性を考察していきます。
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さくらインターネットの将来性は?


💡このパートの要約
- クラウドビジネスへの集中で10年単位の中長期成長を見据えた経営方針
- デジタル化やスタートアップへの投資がビジョン達成へ向けた重点テーマ
- 日本企業であることによる強みを活かしてGoogleやAmazonに挑む



どうやってさくらインターネットの将来性を考えるのかな?
株価の将来性を考える際、つい短期的な変化に目が行きがちですが、ここでは長期的な視点で考察していきます。
さくらインターネットの成長戦略、そして戦略によって達成したいビジョンを知ることで、同社の今後の動向が少し見えてくるでしょう。



日本を代表するクラウド事業者として、外資系企業とどう競り合っていくのかにも注目だワン!
クラウドビジネスへの集中で10年単位での成長を描く
さくらインターネットの田中邦裕社長は、短期的な利益に依存せず、10年単位の中長期成長を見据えたクラウドインフラへの投資に注力しています。
従来の大手ベンダーは短期的な収益を追求する傾向が強いですが、田中社長は中長期的な視点で成長するセクターに大胆に投資し、将来的な売上増を目指しているのです。
特に、石狩データセンターへの投資を通じて、クラウド分野での大きな成長を計画しています。



同社のクラウドビジネスは日々進化しているワン!
インターネットを通じ社会課題解決を目指す
インターネットの広がりにより社会は急速に進化しており、これからもその速度は増すでしょう。
そんな中、さくらインターネットは多くの人々が夢や目標を達成できる社会を目指しています。



「やりたいこと」を「できる」に変えるが、同社のビジョンだね!
「やりたいこと」を「できる」に変える
高い熱量を持って挑戦するすべての人たちが、自分のやりたいことを叶えられるような社会をインターネットとともにつくる。
それが、さくらインターネットの目指す姿です。
インターネットには人と社会を幸せにする力があると信じて、「やりたいこと」を「できる」に変えるアプローチを広く届けていきます。
お客さまをはじめ、社員、地域のみなさまなど、つながりのあるすべての人のために、未来のあるべき姿を思い描くことを大切にしています。
ビジョン達成のために注力していることは、大きく分けて以下の3つです。
- ESとCSの実現
- クラウドビジネスへの集中
- さらに成長するための重点テーマ
以下の図を見れば、イメージしやすくなると思います。


ES: エンプロイーサクセス。社員の成功やありたい姿を実現するための取り組み、および考え方のこと。
CS: カスタマーサクセス。お客さまを成功にみちびくための取り組み、および考え方のこと。



顧客と社員をつなぐサイクルが出来上がっているね!
同社は人と人とのつながりを非常に重視しています。
これは、良い関係性なしには新たな機会もさらなる挑戦も生まれないという同社の考え方に基づくものです。
また、クラウドビジネスへの集中を図り10年単位での中長期成長を見据える同社にとって、関係性構築は欠かせませんね。
そして、「さらに成長するための重点テーマ」としてはデジタル化やスタートアップなどが挙げられています。
- クラウドビジネスに携わる企業としてデジタル化による社会課題解決を目指す
- スタートアップとして始まった企業として次世代スタートアップへの投資を積極的に行う
GoogleやAmazonに対して勝機はあるのか
機能面では、GoogleやAmazonなどの外資系大手企業が強力ですが、さくらインターネットには独自の強みがあります。
同社は、これらの外資系企業に対して、日本のユーザーに対する柔軟な対応と高い信頼性を武器に競争しています。
具体的なポイントは以下の2つ。
- 外資系企業よりも日本のユーザーに安定してGPUを供給できる。
- 開発に対する要望に柔軟に対応できる。



GPUとは、パソコンの画面表示の処理を行う部品のことだよ!
GoogleやAmazonといったグローバル企業は、GPUをどこに供給するかを地政学的な観点から判断します。
そのため、日本の状況によってはGPUを供給してもらえなくなる可能性があるのです。
一方で、国内企業であるさくらインターネットの場合は、日本市場に対して優先的にGPUを供給しています。
その供給規模が今後大きくなればなるほど、日本のユーザーは他国よりもGPUが手に入れやすくなるということですね。



同社はGPUクラウドにおいて国のサポートを受けているため、信頼性があるよ!
また、同社が国内企業であることのメリットとして、日本国内における高い信頼性とサポート体制があります。
国外企業の場合は開発者に直接連絡をとることが困難ですし、為替の影響によって国内ユーザーに不利な状況となるリスクもあるでしょう。



クラウドビジネスの分野では、「日本企業である」こと自体が価値になり得るんだね!
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さくらインターネットの株価はなぜ乱高下している?


💡このパートの要約
- 大型案件終了による2026年3月期業績予想の大幅な下方修正
- 国内企業初の政府クラウド事業者に選ばれ株価急騰
- 米半導体大手エヌビディアのGPUが安定供給される体制ができ株価上昇
さくらインターネットの直近の株価の推移を見てみましょう。


2024年3月頃に株価は急騰しましたが、その後は下落・横ばい傾向に。
しかし、2025年7月28日発表の業績予想の下方修正を受け株価は暴落しました。
こちらは7月28日からの株価の変動です。





7月29日にストップ安になったよ
株価は一時的な大暴落を見せましたが、7月31日には上昇傾向となりました。
投資家の過度な不安により売り圧力が過剰に強まったものの、見直しがされ再び買い圧力が起こったと考えられます。
ここでは、株価の乱高下の理由について、具体的な出来事を振り返っていきます。



直近の動きから確認していくワン!



まずは株価が暴落した理由のチェックからだね!
大型案件終了による業績予想の下方修正
さくらインターネットの株価暴落の原因は、大型案件終了による業績予想の下方修正です。
同社が2025年7月28日に発表した業績予想の下方修正に関するお知らせでは、2026年3月期の連結純利益の予想が前期比93%減に引き下げられました。
修正前 | 修正後 | |
---|---|---|
売上高 | 404億円 | 365億円 |
営業利益 | 38億円 | 3億5,000万円 |
経常利益 | 34億円 | 4億円 |
連結純利益 | 24億円 | 2億円 |
この下方修正の原因は、継続見込みだった生成AI向けの大型案件終了が影響しています。



大型案件終了の事実が投資家を駆り立てたのかな
この結果、さくらインターネットの株価は7月29日にストップ安となりました。
7月28日の終値3,670円に対し、翌日の29日の終値は2,970円で約20%の下落です。
今回の件について、同社の社長である田中邦裕氏は以下のようにXに投稿しています。
政府クラウド事業者に選ばれ急騰



ここからは今回の暴落の前、株価が急騰した理由を見ていくワン!
さくらインターネットの株価は、2023年11月に政府クラウドの提供事業者に選定されたことで急騰しました。
同社の提供するIaaS型クラウド「さくらのクラウド」が、デジタル庁主導の「ガバメントクラウド整備事業に係る検証作業等」の対象となったのです。
デジタル庁が行っている政策の一つで、政府共通のクラウドサービスの利用環境のこと。
ガバメントクラウドに選定されるためには、クラウドの高い性能や安全性が求められる。
これにより、さくらインターネットは国内初の政府クラウド事業者に認定され、業績向上への期待が膨らむきっかけに。
政府クラウド事業は大規模な案件であり、長期的な収益が見込まれるため、投資家からの注目を集めました。



2024年12月時点においても、国内で唯一の国産ガバメントクラウドとなっているよ!
エヌビディアのGPUを安定供給できる
さくらインターネットは、生成AI向けクラウドサービス「高火力」において、エヌビディアの最新GPUを安定供給できる体制を整えています。



GPUは、ディスプレイ表示や生成AIのサービス等で使われるから需要がとっても高い!
米半導体大手で、主にGPUを開発・販売している。
生成AIの台頭によりGPUの需要が高騰し、2024年度は過去最高の売上高(609億ドル)を記録。
詳しくはこちら↓
2023年12月には、エヌビディアの最高経営責任者フアン氏と岸田元首相が面会しました。
その面会後、同氏が日本企業へのGPUの提供について積極的な姿勢を記者団に示したことが、株価上昇のきっかけとなったのです。
この時、名前が挙がった主な企業は以下のとおり。
- ソフトバンク
- さくらインターネット
- NEC
- NTT



上記の企業と一緒に名前が挙がったことで、さくらインターネットの注目度がさらに高まったね!
これにより、同社は高度な計算能力を提供し、生成AI市場における競争力を強化しています。
この取り組みが評価され、株価はさらに上昇しました。
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さくらインターネットの事業内容・業績


💡このパートの要約
- すべての事業の中でクラウドサービスに最も注力している
- 新たにカテゴリに追加されたGPUクラウドサービスが成長を見せる
- 2025年3月期の決算では、売上高が前期比で43.9%増加、営業利益は368.7%増加で過去最高収益
ここでは、さくらインターネットの事業内容と業績についてまとめます。
このパートを読めば、同社のクラウドサービス事業の勢いを感じられるはずです。
その勢いはまさに高火力(同社のサービスの1つ。以下説明)と言えるでしょう。
事業内容
さくらインターネットは主に以下の事業を展開しています。
それぞれの特徴を確認していきましょう。
クラウドサービス
現在同社が最も経営資源を集中させている事業で、以下2つのサービスを展開しています。
仮想化技術により、物理サーバ上に複数の仮想サーバを構築し、そのひとつひとつが専用サーバのように利用できるサービスです。
自社やパートナー企業と開発したSaaSサービス等を提供しています。
主な例として、同社が所有する物理サーバと豊富な機能をメンテナンス不要で複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)があります。



具体的にはどんなサービスがあるのかな?
クラウドコンピューティングサービスには、具体的に以下の5つのサービスが含まれます。
- さくらのクラウド
- さくらのVPS(仮想プライベートサーバー)
- さくらのレンタルサーバ
- さくらの専用サーバPHY
GPUクラウドサービス
2025年3月期より新たに追加されたカテゴリです。
さくらインターネットは高火力コンピューティングというサービズを提供しています。
その中でも、今回は同社の代表的なサービスの1つである「高火力PHY(ファイ)」をご紹介します。
高火力 PHY(ファイ)は、圧倒的な性能を誇るGPUを搭載しており、AI開発には欠かせません。
例えば、以下の用途で役立ちます。
- 大規模言語モデル(LLM)
- 生成AI
- 機械学習
- 科学シミュレーション
物理基盤サービス
同社が運営するデータセンター内に様々なサービスを有しています。
- 顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペース
- インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するハウジングサービス
- 同社が所有する物理サーバを専用で利用できる専用サーバサービス
その他サービス
具体的に以下のようなサービスが含まれます。
- ゲヒルン(株)のセキュリティサービス
- アイティーエム(株)の大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバやネットワークの監視運用保守を請負う)
- ビットスター(株)の小中規模法人向けMSP
- プラナスソリューションズ(株)のハイパフォーマンスコンピューティング領域のインテグレーション
- IzumoBASE(株)のストレージ仮想化サービス



これからの成長に期待したい事業だね!
業績
さくらインターネットの損益推移(連結)と次期予想を確認していきましょう。


2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | |
---|---|---|---|---|---|---|
売上高 | 21,908 | 22,168 | 20,019 | 20,622 | 21,826 | 31,412 |
売上総利益 | 5,831 | 5,689 | 4,708 | 5,367 | 5,735 | 11,230 |
売上総利益率 | 26.6% | 25.7% | 23.5% | 26.0% | 26.3% | 35.8% |
営業利益 | 939 | 1,372 | 763 | 1,093 | 884 | 4,145 |
経常利益 | 789 | 1,099 | 649 | 965 | 764 | 4,060 |
経常利益率 | 3.6% | 5.0% | 3.2% | 4.7% | 3.5% | 7.0% |
当期純利益 | 205 | 779 | 300 | 671 | 635 | 1,250 |
同社HP、同社決算説明資料より
全体として売上や利益は横ばいの状態が続いていましたが、2025年3月期の決算では大幅な上昇を見せました。



修正後の業績予想を上回ったよ!
2025年3月期の決算では、売上高が前期比で43.9%増加、営業利益は368.7%増加で過去最高収益に。
2024年1月に提供を開始したGPUクラウドサービスが売上の増加に貢献した模様です。



来期の見通しはどうなっているのかな?
修正後の来期の業績予想は、売上高 16.1%増、その他の項目は大幅な減少となっています。
修正後 | 増減率 | |
---|---|---|
売上高 | 365億円 | 16.1% |
営業利益 | 3億5,000万円 | -91.6% |
経常利益 | 4億円 | -90.2% |
連結純利益 | 2億円 | -93.2% |
期待される主な売上増加要因を確認していきましょう。
- 新たなGPUクラウドサービスの提供開始(通期で売上158億円となる見込み)
- クラウドサービスのサービス強化と拡販施策
続いてこちらは、セグメント別売上の内訳です。
2024年3月期 | 2025年3月期 | |
---|---|---|
クラウドサービス | 12,773 | 14,006 |
物理基盤サービス | 3,589 | 3,721 |
GPUクラウドサービス | 201 | 6,344 |
その他サービス | 5,262 | 7,339 |
合計 | 21,826 | 31,412 |
同社決算説明資料より
2025年3月期より「GPUクラウドサービス」が新たなカテゴリとして追加されました。
「クラウドサービス+GPUクラウドサービス」が売上に占める割合は約65%となっています。



クラウドサービス関連分野の勢いが一層増していくとわかるね
こちらのグラフを見れば、クラウドサービスの売上増加を一目で読み取れます。





その分物理基盤サービスの割合が低下しているよ!
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💡このパートの要約
- 株式会社インベストメントブリッジでは「ブリッジレポート」を発行している
- ブリッジレポートを読むことで様々な企業のIR情報がわかる
- ESGブリッジレポートでは、企業のESGの情報がまとめられている



ブリッジレポートってなんだろう?
「ブリッジレポート」とは、株式会社インベストメントブリッジが提供する企業のIRレポートです。
企業のビジョンやビジネスモデル、特徴・強み、成長戦略を投資家の皆様へ分かりやすくお伝えします。


ブリッジレポートの特徴は、以下の通りです。
- 弊社所属のアナリストが作成、アナリスト視点の「今回のポイント」と「今後の注目点」がまとめられている
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ブリッジレポートを読めばひと通りの企業分析ができるということだね!



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ブリッジレポートに興味を持たれた方は、ぜひ一度ご覧ください。
さくらインターネットは日系ベンダーとしての将来性が鍵


最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
かぶリッジまとめ
- クラウドビジネスへの集中で中長期的な成長を描く
- ガバメントクラウドに認定されている唯一の日系企業として、外資大手に挑む
- GPUクラウドサービスの分野を強みに来期は過去最高益を目指す
さくらインターネットは、ガバメントクラウドに認定されている唯一の日系ベンダーとして、将来が期待されている企業です。
近年はクラウドサービスへの集中で事業基盤がより強固なものになってきています。
今後事業が成長していくことで、いずれはGoogleやAmazonといった大手外資企業に対する勝ち筋が見えてくる日が来るかもしれません。