
・CYBERDYNEってどんな会社?
・HAL®って何?
・サイバニクス技術の将来性は?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- 世界初の装着型サイボーグHAL®という、医療・介護・作業支援分野に注力している
 - 営業損失が大幅に改善し、収益構造が着実に改善している
 - 産学連携や海外展開といった独自の強みが評価されている
 
CYBERDYNE(サイバーダイン)株式会社は、「人」+「サイバー・フィジカル空間」を融合するサイバニクス技術を駆使して、人間の機能改善・機能再生・拡張・支援を目指す企業です。
世界初の装着型サイボーグHAL®(Hybrid Assistive Limb®)は、脳・神経・筋系の機能改善を促すサイバニクス治療の医療機器として、世界各国で承認。
2025年3月期には、営業損失が前期比54.1%改善し9億26百万円となるなど、収益構造の確立が進んでいます。
そこで今回は、CYBERDYNEの将来性について、事業内容や業績、強みの観点から詳しく解説します。



ロボット産業・IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出を目指しているワン!


執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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CYBERDYNEの将来性は?3つの理由を解説


💡このパートの要約
- 世界初のサイバニクス技術で医療・介護分野に革新を生み出している
 - グローバル展開が加速し、アジア地域に新たな基盤をもつ
 - 収益構造の強化が進み、営業損失は大きく改善
 
CYBERDYNEの将来性が高いと考えられる理由は、以下の3つです。
世界初のサイバニクス技術による圧倒的な競争優位性
CYBERDYNEの最大の強みは、世界初の装着型サイボーグHAL®を実用化したサイバニクス技術にあります。
サイバニクス技術とは、人・AIロボット・情報系を融合した革新的な技術で、人間の脳から筋肉へ送られる微弱な生体電位信号を読み取り、身体機能をサポートします。


HAL®の特徴
- 脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進
 - 装着者の意思に従った動作支援
 - 医療・介護・作業支援と幅広い用途
 - 世界各国で医療機器として承認
 



人間の生体電位信号を読み取って動作するなんて革新的だね!
医療用HAL®「下肢タイプ」については、日本で緩徐進行性の神経・筋難病疾患を対象として保険適用されています。
2025年1月には、目安身長100cm~150cmの患者に対応する小型モデルが承認を取得し、これまで治療が困難だった小柄な患者や子どもへの治療が可能となりました。
米国では2024年5月にFDAより、世界に先駆けて小型モデルの市販承認と脳性麻痺(12歳以上)への適応拡大を取得しており、今後の市場拡大が期待されます。



FDAとはアメリカ食品医薬品局のことで、医薬品の承認権を持った日本の厚生労働省と似た役割の機関だワン!



対象者と対象地域の拡大で、HALの普及が加速していきそうだね!
グローバル市場での着実な事業拡大
CYBERDYNEは、日本、米国、欧州、アジア太平洋地域でグローバルに事業を展開しています。
2025年3月末時点での製品稼働状況は以下の通りです。
製品稼働状況(2025年3月末)
- 医療用HAL®下肢タイプ:527台(うち国内レンタル103台)
 - HAL®単関節タイプ:697台
 - HAL®福祉用等の下肢タイプ:367台
 - HAL®腰タイプ(介護・自立支援用):1,098台
 - HAL®腰タイプ(作業支援用):422台
 - 清掃・搬送ロボット:178台
 
特に欧州・中東地域(EMEA)では、イタリアの大手社会協同組合Coopselios社に2024年7月までに35台を導入し、今後さらなる増台を計画しています。



2024年11月には、ウクライナ緊急復旧・復興プロジェクト向けにHAL®シリーズ等の納品も完了したよ!
また、アジア太平洋地域では、東南アジア最大の医療施設建設計画に出資。


さらにマレーシアの従業員社会保障機構(PERKESO)との事業連携を強化し、2024年12月には最大5年間、約7億円のHAL®等の大型導入契約を締結しました。



海外事業強化のために積極的な投資を行なっているんだね!
収益構造の改善と強固な財務基盤
CYBERDYNEの財務状況は着実に改善しています。
2025年3月期の業績では、売上高が43億8,400万円(前期比0.7%増)と微増にとどまったものの、営業損失は9億2,600万円と大幅に改善しました。



計画的な投資をしながら、コスト削減を進めた結果なんだワン!
業績は不安定な部分もありますが、財務面では、自己資本比率81.5%という極めて強固な財務基盤を有しています。
これにより、研究開発への継続的な投資や、海外展開の加速、新規事業の立ち上げなど、成長に向けた積極的な投資が可能となっています。
営業活動によるキャッシュ・フローは4億3,000万円の支出でしたが、前期の8億5,000万円の支出から改善しており、複数の面から収益構造の改善が着実に進んでいると言えます。
CYBERDYNEの事業内容・業績


💡このパートの要約
- CYBERDYNEは医療・介護・予防・生活の4分野で事業を展開
 - 2025年3月期は営業損失が大幅に改善
 - 売上収益は43億8,400万円で前期比0.7%増
 
ここでは、CYBERDYNEの事業内容と業績について詳しく見ていきます。
事業内容
CYBERDYNEは、ロボット関連事業の単一セグメントで事業を展開していますが、事業内容は医療、介護・自立支援、予防・早期発見、生活・職場分野の4つに大別されます。
医療:サイバニクス治療
同社の中核事業は、医療用HAL®を利用したサイバニクス治療です。
脳・神経・筋系の機能改善・機能再生を促進するサイバニクス治療を、グローバルな標準治療として普及させる取り組みを進めています。


医療用HAL®「下肢タイプ」は、使用成績調査で高い有効性と安全性を示しています。
2022年10月には脊髄疾患(HTLV-1関連脊髄症、遺伝性痙性対麻痺)への適応拡大が承認され、2023年10月から保険適用。



脊髄損傷についても、適応拡大の承認申請について議論が行われているよ!
また、海外では米国、欧州・中東、アジアの4地域に注力しており、特に東南アジアでの積極投資を行なっています。
介護・自立支援
高齢者の自立度改善や重度化防止、フレイル予防や自立維持に向けて、様々な種類のHAL®自立支援用を展開しています。
HAL®自立支援用のラインナップ
- 下肢タイプ:歩行運動に対応
 - 単関節タイプ:肘・膝・足首の関節運動に対応
 - 腰タイプ:体幹運動に対応
 
HAL®を使用した脳・神経・筋系の機能改善を促すプログラム「Neuro HALFIT®」を提供するロボケア事業は、全国18拠点で展開しており、今後の拡大を計画。
また、個人の顧客がHAL®をレンタルし、自宅で「Neuro HALFIT®」に取り組む在宅型プログラム「自宅でNeuro HALFIT®」も展開しています。
予防・早期発見
同社は個人に最適化された健康管理や疾病の予防・診断・治療プログラムを提供するため、「Cyvis®(サイビス)」シリーズの開発および製品化を進めています。
「小型ホルター心電計 医療用バイタルセンサ Cyvis® M100」は、2024年11月に医療機器認証を取得しました。


Cyvis®は心活動データに加えて体表面温度や加速度等も計測が可能で、医療機関だけでなく、福祉施設入居者、労働者に対する運用検証も進めています。
生活・職場分野
他にも、同社は介護現場や作業現場での身体的負担軽減、清掃・除菌業務の効率化に向けた製品を展開しています。
2021年以降の英国ハンプシャー州における介護施設等での「HAL®腰タイプ介護・自立支援用」の運用をモデルケースとして、欧州各国への展開を進めています。
世界最高水準の高速自律走行を実現した次世代型清掃ロボット「CL02」は、ビルのスマート化と管理コスト削減を実現すべく、オフィスビルを中心に導入。



様々な分野で同社のロボットが利用されているんだね!
業績
CYBERDYNEの業績は、以下の通りです。
| 25年3月期 | 24年3月期 | 前年比 | |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,384 | 4,354 | 0.7% | 
| 営業利益 | -926 | -2,018 | ー | 
| 純利益 | -577 | -1,476 | ー | 
25年3月期決算短信より



売上収益は微増だけど、営業損失は前期比で大幅に改善したワン!
売上高は、国内外の製品レンタル・治療サービスの増加により43億8,400万円(前期比0.7%増)でした。
売上総利益は23億7,300万円(同0.8%減少)でしたが、一般管理費で広告宣伝費などの削減により28億400万円(同13.8%減少)となりました。



営業活動によるキャッシュ・フローも前年から大きく改善しているね!
CYBERDYNEの強みから見た将来性


💡このパートの要約
- 世界初のサイバニクス技術で圧倒的な先行者優位がある
 - グローバルでの医療機器承認で市場拡大の基盤を確立している
 - 産学連携による研究開発力で新領域への展開を推進している
 
CYBERDYNEの持続的な成長を支える強みは、以下の3つです。
世界初のサイバニクス技術による先行者優位
CYBERDYNEの最大の強みは、世界初の装着型サイボーグHAL®を実用化し、サイバニクス技術を確立した先行者優位にあります。
創業者である山海嘉之教授(筑波大学)は、1990年代からサイバニクス研究に取り組み、2004年にCYBERDYNE株式会社を設立。
以来、20年以上にわたり技術開発と臨床研究を重ね、医療・介護・作業支援など様々な分野での実用化を実現してきました。
サイバニクス技術の優位性
- 20年以上の技術開発と臨床研究の蓄積
 - 脳・神経・筋系の機能改善・再生を促進する独自技術
 - 装着者の意思に従った動作支援の実現
 - 医療・介護・作業支援と幅広い応用分野
 



「人・AIロボット・情報系の融合複合」という新しい学術領域を開拓したんだね!
また、同社は「テクノピアサポート社会」の実現と「サイバニクス産業」の創出を目指しており、単なる製品販売にとどまらず、新しい産業と社会システムの創造を推進しています。
この長期的なビジョンと確固たる技術基盤が、同社の持続的な成長を支えています。
グローバルでの医療機器承認と製品ラインナップの拡充
CYBERDYNEは、日本、米国、欧州の主要3拠点で医療機器としての承認を取得し、グローバル展開の基盤を確立しています。
特に2024年から2025年にかけて、小型モデルの承認取得が相次ぎ、対象患者層が大幅に拡大しました。
主要な承認取得実績
- 2024年5月:米国FDAより小型モデルの市販承認と脳性麻痺への適応拡大を取得
 - 2024年12月:欧州新医療機器規則(MDR)に適合した小型モデルの医療機器認証を取得
 - 2025年1月:日本で小型モデルが既承認の対象疾患に対する医療機器として承認を取得
 



これまで治療が困難だった小柄な患者や子どもへもサイバニクス治療が可能になったんだね!
また、製品ラインナップも着実に拡充しており、下肢タイプ、単関節タイプ、腰タイプと、様々な用途に対応した製品を展開しています。
医療用だけでなく、介護・自立支援用、作業支援用と、多様な市場ニーズに対応した製品ポートフォリオを構築している点も、同社の強みと言えます。
産学連携による先進的な研究開発体制
CYBERDYNEは、国内外の主要大学・研究機関との共同研究体制を構築し、新たな治療法や応用分野の開発を推進。
内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期/人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」の認定を受けています。
SIPプロジェクトの重点課題
- 住宅、施設、職場等様々な生活空間への適用
 - 人情報(生理・身体・行動認知・心理等)と統合されたHCPS融合マスター・リモート制御技術の活用
 - HCPS融合人協調ロボティクスを通じた人情報の非侵襲での取得・活用
 - 高齢者や交通弱者の自立度・自由度を向上させる技術の開発
 



川崎市の研究施設には、サイバニクス・メディカル・イノベーションベースA棟が稼働しているんだワン!
このように、サイバニクス技術を核としながらも、関連する先進技術の開発を積極的に推進している点が、同社の持続的な成長を支える重要な要素となっています。
【まとめ】CYBERDYNEの株価は今後どうなる?


最後に、CYBERDYNEの将来性についてまとめます。
かぶリッジの結論
- 世界初の装着型サイボーグHAL®で医療・介護・作業支援に注力している
 - 営業損失が大幅に改善し、収益構造が着実に改善している
 - 産学連携や海外展開といった独自の強みが評価されている
 



まさに独自の領域と戦略を取る企業だとわかったよ!
総合的に見て、同社は世界初の技術を確立し、医療・介護・作業支援の各分野で存在感を示している一方、現時点では赤字が続いている点に注意が必要です。
今後の取り組みで特に注目すべきは、グローバル市場での事業拡大です。
マレーシアのPERKESOとの大型契約(最大5年間、約7億円)や、イタリアのCoopselios社への35台導入など、海外での大型案件が着実に増加。
また、米国では個人向け医療サービス事業と製品レンタル事業の両輪での展開を計画しており、来期以降の売上拡大が期待されます。
💡 投資判断のポイント
- 長期投資家向け:サイバニクス技術の革新性と医療・介護市場の成長性を評価する投資家に適している
 - 短期投資家には不向き:現時点では赤字が続いており、黒字化には時間を要する可能性がある
 - 成長投資型:配当よりも、グローバル展開と技術革新による長期的な株価上昇に期待できる
 



投資を検討する際は、四半期ごとの製品稼働台数の推移や、海外展開の進捗状況を確認することが重要だワン!
同社は、従来にない新しい市場を創造しつつ革新的技術により新規性の高い事業を展開し、業績予想を数値で示すことが困難な状況であると説明しています。
ロボット産業・IT産業につづく新産業「サイバニクス産業」の創出という壮大なビジョンの実現に向けて、今後の取り組みに注目しましょう。

















