
当選IPO株をいつ・どんな方法で売ったらいいんだろう…?
IPO株の売り方で迷ったら、まず「初値売り」をおすすめします。
この方法なら、迷うことなく利益を狙え、その後の株価変動に悩まされる心配もありません。
今回は、IPO株の売り方から、そのタイミング・証券会社別の注文手順まで徹底解説します。
IPOの売り方は「初値売り」が最強!
初値売りとは、保有しているIPO株を初値で売却することです。
- IPO:企業が株式を証券取引所に上場して、株を一般の投資家に初めて売り出すこと
- 初値:株が証券取引所に上場した日の最初に売買が成立した価格
初値売りの仕組みは?
投資家は、まず証券会社の抽選に当選し、企業が上場する前に決められた公募価格でIPO株を購入する権利を得ます。
その後、企業が初めて証券取引所で株式を公開する上場日を迎え、この日、市場で初めてその企業の株式に価格が付きます。これが「初値」です。
初値は、上場日の取引開始時に、買い注文と売り注文のバランス(板寄せ方式)によって決定されます。
初値が決まると、事前に「初値で売りたい」と注文(指値注文)を出していた投資家の株は、その初値で売却される、というのが一連の仕組みです。
かぶリッジ編集部がIPO株の初値売りをおすすめする理由としては、主に以下3つの理由があります。
短い期間で利益を狙いやすい
IPO株は、世間の注目度が高いので、上場した日の株価が上がりやすい傾向にあります。
そのため、株を買ってから数週間から1ヶ月ほどという短い期間で、利益を出せる可能性が高いです。
例えば、2025年6月のIPOの結果を見てみましょう。
企業名 | 公募価格 | 初値 | 上昇率 |
---|---|---|---|
ヒット | 1,500円 | 2,166円 | 1.44倍 |
レント | 4,330円 | 5,730円 | 1.32倍 |
エータイ | 1,510円 | 2,547円 | 1.69倍 |
2025年6月は、IPO企業7社中6社で初値が公募価格を上回りました。



絶対に値上がりするとは限らないから注意するワン!
値下がりのリスクを小さくできる
上場してすぐに株を売る「初値売り」なら、もしその後に株価が下がってしまっても、影響を受けずに利益を確定できます。
これにより、利益が減るリスクを最小限に抑えられます。



まだ投資を始めたばかりの人でも安心してできるね!
株初心者でも安心!メンタルが楽
「初値売り」は、いつ売るか、いくらで売るか、事前に決めておけるのが大きなポイント。
そのため、株の動きをじっと見たり、「いつ売ればいいんだろう…」なんて悩んだりする必要がありません。
「株価が下がったらどうしよう」といった不安やストレスを感じにくいので、安心して取引できますよ。
IPOの初値は予想できる?



初値って予想できるの?
新規上場銘柄の初値は予想が非常に難しいですが、事業内容、事業の将来性、市場に出回る株の量などの要因から、ある程度の傾向は掴めます。


かぶリッジでは、IPO初値予想・騰落率結果スケジュール【2024~2025年】を掲載しています。



各IPO企業の初値予想や概要も確認できるね!
指値注文をしよう
2023年6月26日から、新規上場日に成行買いも成行売りも注文が禁止となりました。



上場日に初値が大きく動くのを抑えるためだよ!
IPO株を上場日に売りたい場合は、売りの指値注文をしましょう。
- 成行注文:値段を指定せずに、市場の価格で即座に売買をする方法
- 指値注文:希望する売買価格を指定して注文をすること
IPO株の売りの指値注文とは、「この値段以上なら売る」と、あらかじめ売却したい価格を決めて注文すること。
つまり、指定した株価以上になった時だけ約定し、それに満たさなかった時は約定されない仕組みですつまり、指定した株価以上になった時だけ約定し、それに満たさなかった時は約定されない仕組みです。



自分の納得できる価格で売却できるね!


初値決定後、翌営業日から成行注文は可能
初値が決定するまでは成行注文はできませんが、初値が決定した翌営業日からは成行注文ができます。



初値は指値注文で売ることがわかれば、問題ないワン!
IPO株の売り注文価格の決め方
結論から言うと、確実に初値で売りたい場合なら、公募価格の 25%〜 50% という、かなり低い数値で売り注文を出すのが一般的です。
先程も説明した指値注文は、「仮に初値が公募価格より低くても、この値段までだったら売りますよ」という自分が売りに出せるギリギリの価格で注文すること。
公募価格1,500円の場合の4つの売り注文パターンについて紹介します。


たとえ374円(公募価格の25%以下)で指値注文しても、上場日の初値が1,600円に決定すれば、自動的にその初値(1,600円)で確実に売却できるので、最小リスクで利益を狙えます。



どうして指値が小さくても初値と同じ値段で売却できるのかな?
それは、上場初日に成行注文が禁止され、売り指値は公募価格の1/4以上の価格で設定すれば初値売りと同等の効果が得られるという制度があるからです。
つまり、極端に安い指値に設定しても、初値が高く決まれば利益を得ながら安全に売却できます。



初心者には①「確実に売る」パターンがおすすめだワン!
今後成長が期待されるIPO株の売り方
IPOの評価が「S」や「A」で予想されている企業や将来性のあるIPO株の場合は、初値で売るだけでなく「ある程度保有し、さらに大きな利益を狙う」という戦略が有効です。
ただし、「絶対売らない」というのはリスクがあるため、以下のパターンを組み合わせて行いましょう。
例:公募価格1,500円
- 【利益重視】公募価格より少し上
- 【目標価格】特定価格で売る
【利益重視】 | |
---|---|
公募価格 | 1,500円 |
指値注文 | 1,550円、1,600円 (公募価格よりも少し上の価格) |
明確な希望価格が設定しにくい場合は、公募価格の少し上の価格で設定しましょう。
また、一度に売らずに「公募価格の2倍になったら1/3売る」など上昇に合わせて段階的に指値注文するやり方もおすすめですよ。
【目標価格】 | |
---|---|
公募価格 | 1,500円 |
指値注文 | 2,000円、3,000円(公募価格よりも高い価格) |
「このIPO株は上場後も成長しそうだな」と予想した場合は、自分で価格を設定してみましょう。
そして、中長期的な視点で保有し、自分が考える「適正な株価」や「十分な成長を遂げた」と判断できた場合に売却します。



初値で売れない可能性があるから注意だワン!
値下がりリスクの高いIPO株の売り方
IPOの評価が「C」や「D」で予想されている値下がりの可能性があるIPO株は、初値で確実に売却することをおすすめします。
2つのパターンを紹介します。
- 【確実に売却】公募価格の 25%〜 50%
- 【許容範囲損切り】多少の損失は許容して、早く手仕舞いしたい場合
【確実に売却】 | |
---|---|
公募価格 | 1,500円 |
指値注文 | 375〜750円(公募価格の25~50%) |
375〜750円(公募価格の25~50%)で指値注文することによって、確実に売却することを目指します。
損失が出てしまう可能性は大きいですが、今後の大きなリスクを避けることができるでしょう。
【許容範囲損切り】 | |
---|---|
公募価格 | 1,500円 |
指値注文 | 1,350〜1,400円(公募価格から数%〜10%下) |
自分の納得できる損失額を決め、リスクを抑えながらできるだけ売却を狙っていくやり方です。
「確実」ではないですが、「比較的」初値で売却することができるでしょう。



IPOの予想サイトが参考になりそう!



値下がりリスクの高いIPO株では、利益を追求する以上に、いかに損失を抑えるかがポイントだワン!
【証券会社別】初値売り注文の方法と売却開始時間
SBI証券で当選したIPO株を初値売りする方法について説明します。
上場日前営業日の翌日 早朝4:00ごろから(※重複上場銘柄は上場当日 8:00~)売却注文が可能。
注文の流れは以下の通りです。
SBI証券のサイトからログインします。
ログイン後、トップページ上部にある「口座管理」をクリック。
保有証券一覧の中から、売却したいIPO銘柄を探します。
その銘柄の右側にある「取引」または「現物売」のボタンをクリック。
注文画面が表示されるので、「売りたい株数」・指値を選択し、売りたい価格を入力する
(例:公募価格1,500円 → 375〜750円)有効期限当日中を選択。
「注文確認画面へ」ボタンを押し、内容を確認して「注文発注」をクリック。



簡単に取引できるね!
IPO株売却可能時間
証券会社によって、いつから売却注文できるのかのルールが決まっています。
一般的な証券会社の場合、上場日の前営業日の夕方から夜間、または上場日当日の早朝から売り注文の受付が開始されます。
以下の表を参考にしてください。
証券会社 | 売却可能時間 |
---|---|
SBI証券 | 【単独上場】上場日前営業日翌日 午前4時から 【重複上場】上場日当日 午前8時から |
楽天証券 | 上場日前営業日 午後17時から |
マネックス証券 | 上場日前営業日 午後17時半から |
SMBC日興証券 | 上場日 当日 午前5時から |
松井証券 | 上場日前営業日 午後17時から |
みずほ証券 | 上場日 当日 午前6時から |
野村證券 | 上場日 当日 午前6時から |
大和証券 | 【主口座】上場日前営業日翌日 午前1時半から 【NISA口座】上場日前営業日 午後17時半から |
三菱UFJeスマート証券 | 上場日前営業日 午前6時から |
岡三証券 | 上場日 当日 午前8時から |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 上場日 当日 午前6時から |
SBIネオトレード証券 | 上場日前営業日 午後16時から |



上場日当日の朝には、ほとんどの証券会社で売却注文ができるね!



口座によって売却のタイミングが変わることもあるから注意するワン!
初値売りの注意点
IPO株の初値売りで注意したいことは2つあります。
「その後の大きな利益」を逃すケース
IPO株を初値売りするときの注意点は「その後の大きな利益を取り逃してしまう可能性がある」点です。
3つのステップに分けて説明します。
IPO株を公募価格900円で購入します。
上場日の初値が1,000円になり、ここで初値売りをします。
この時点で、1株あたり100円の利益をゲット!
しかし、もしその後に株価がぐんぐん上がって、1,500円になったとします。
初値で売らずに持っていたら、1株あたり600円(=1,500円-900円)もの利益が出ていた結果に。
もちろん、初値で売っても利益は出ているので「損をしたわけではない」のですが、後から株価の上昇を知ると、「もう少し待っていれば、もっと儲かったのに…」と感じてしまうものです。
せっかく利益が出たのに、なんだか喜びが小さくなってしまう、そんな経験は少なくありません。



やっぱり気にしすぎは良くないね!
利益確定ラインをあらかじめ決めておく
投資全般に言えることですが、あらかじめ「いくらで売るか(利益確定のゴール)」を設定しておくことは非常に重要です。
IPO株を「とにかく初値で売りたい」という戦略なら、公募価格の25〜50%の価格で指値を設定して確実に利益を確保していきましょう。
逆に「この企業は上場後も成長しそうだ」と考えた場合は、公募価格と同じか少し上の価格で指値を注文しておきます。
IPOの売り方は上記で記載した4つのパターンを参考に決めていきましょう。
IPOの初値売りでよくある質問
IPOの初値売りでよく聞かれる質問について答えます。
- 初値売りの注文はいつから出せますか?
-
証券会社によって異なるためこちらで確認しましょう。
一般的な証券会社の場合、上場日の前営業日の夕方から夜間、または上場日当日の早朝から売り注文の受付が開始されます。
- 指値価格はいくらに設定すればいいですか?
-
IPOの指値価格は目的によって変わるため、ご自身の投資戦略に合わせて決めることが重要です。
こちらを参考にしてみてください。
- 成行注文ができないのはなぜですか?
-
IPOの上場日に成行注文ができないのは、投資家を大きな損失から守り、公正な価格形成を促すためです。
- 初値売りは、注文を出す速さや値段で有利になったり不利になる?
-
注文の速さや希望価格の高さは関係ありません。
みんなが同じ「初値」の価格で取引できます。
【まとめ】IPO株の売り方で失敗しないために
今回は、IPO株の売り方、特に初心者におすすめな「初値売り」について徹底解説しました。
要点をまとめます。
IPO株の売り方で失敗しないために重要なことは、あらかじめ売却のルールを決めておくことです。
これらをチェックできたら、ぜひ「初値売り」に挑戦してみましょう。