
・フルッタフルッタの株価はなぜ急騰した?
・不安要素が多いけど投資して大丈夫?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- フルッタフルッタは家庭向けアサイーボウルなどの販売拡大で業績が大幅に改善している。
- アサイー市場の再燃と独自の取り組みにより高い評価を得ている企業である。
- 財務基盤の不安定さはリスクだが、投資の観点からも注目できる。
株式会社フルッタフルッタ(2586)はアサイーを主力分野とする、スーパーフード業界のリーディングカンパニーです。
近年、再燃するアサイーブームにより脚光を浴びており、同社の株価は2024年8月以降から急激に上昇した一方で、過去には一時上場廃止の危機に見舞われるなど、投資上のリスクも存在します。
そこで今回は、フルッタフルッタの株価が急騰した理由や今後の将来性を解説していきます。



アサイーを愛用する方もそうでない方も、同社の躍進を深堀りしていきましょう!


執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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株価が急騰した理由3選


💡主な急騰理由
- 家庭向けアサイーボールなどの販売拡大により、業績が大幅に改善した
- 健康・美容意識の高まりとアサイー市場の再燃というトレンドを受け、注目されている
- ライブコマース事業など、独自の取り組みが評価されている
家庭向けアサイーボールなどの販売拡大で業績が大幅改善
まず最初の理由が、主力商品であるアサイー製品の販売が急拡大し、業績が大幅に改善したことです。
2024年2月12日、同社は25年3月期の決算予想を発表し、従来の2,000万円の黒字から1億3,000万円の黒字に上方修正しました。



6.5倍の上方修正はすごいね……
当時発表された業績修正は以下の通り。
2024年3月期実績 | 2025年3月期予想 | 前年同期比 | |
---|---|---|---|
売上高 | 11億3,600万円 | 23億円 | +200.2% |
営業利益 | -2億6,300万円 | 1億3,000万円 | ー |
経常利益 | -3億600万円 | 1億3,000万円 | ー |
当期純利益 | -3億600万円 | 1億3,000万円 | ー |
アサイー関連商品の好調が継続する中で、第3四半期において同社の各施策が成功したことが要因です。
フルッタフルッタの主力商品である「お家でアサイーボウル」の2024年9月の出荷量は前年比1,323%で、同年に急激な販売量増加が起きていました。


また、かっぱ寿司やモスバーガーなど大手外食チェーンに向けて自社商品を売り込むことで、収益増加と社会認知度が上昇。
2025年5月15日に発表された通期決算では、修正予想をさらに上回る2億2,900万円の営業利益を記録し株価上昇の礎となりました。



BtoC事業でもBtoB事業でも大きな成果があったんだね!
健康・美容意識の高まりとアサイー市場の再燃
2つ目の理由は、健康・美容意識の高まりによりアサイー市場が再び活況を呈していることです。
コロナ禍以降、人々が健康を重視する傾向が強まり、特に若者世代は栄養価の高いアサイーに注目。
鉄分や必須脂肪酸に富んだスーパーフードであることから、健康維持や疲労回復の効果が見込まれています。



アサイーはトレンド性だけじゃなくて健康にもいいんだね!
また、抗酸化作用のあるポリフェノールが100g当たり414mg(ブルーベリーの18倍)含まれており、美容効果もクローズアップ。
こうした効能やアサイーの活用方法などがSNSで発信されたことで、アサイー市場は2013年以来の成長を見せました。
アサイー市場の拡大は日本よりも海外の方が顕著で、世界全体の市場規模は2024年で17億ドル、2037年には51億ドルに上る見込みです。



今後さらなる市場拡大が見込める分野なんだね!
ライブコマース事業など独自の取り組みが評価
フルッタフルッタはアサイー市場のリーディングカンパニーとしての立ち位置を活かし、先進的な取り組みを複数行っています。
2025年6月19日、同社は売れるネット広告社グループ(9235)との越境EC協業施策を公表。
TikTok上でのライブコマース推進を通じて中国市場に本格参入する決定をしたことが大きな反響を呼び、株価急上昇につながりました。
ライブコマースはSNSを通じて利用者と直接取引ができるシステムであり、販売に直結しやすくコストも抑えられることが特徴です。



新たな販売形態や市場を開拓しているんだね!
また、2025年7月30日には「アサイーボウルの無人店舗」と題して冷凍アサイー商品を販売する自動販売機を設置。
より多くの人が手軽にアサイー製品にアクセスできるための取り組みも進められています。
こうした独自性の高い施策を次々と打ち出している点が市場から高く評価されているようです。
フルッタフルッタの事業内容・業績


ここからはフルッタフルッタの事業内容や業績を詳しく解説します。
事業内容
まずは事業内容について。
フルッタフルッタはアサイーを中心とするスーパーフードの輸入販売の専業企業です。
ブラジルのトメアス総合農業協同組合(CAMTA)で製造されたフルーツピューレを輸入し、国内工場で加工された商品を販売。
同社は販売チャネルとして3つの部門を抱え分業しています。
- リテール部門
- 業務用事業部門
- 通販事業部門
ここで各部門の役割を見ていきましょう。
リテール営業部門
量販店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど小売店向けの販売を担当する部門。
実店舗を持たないフルッタフルッタは、小売店を通じてフルッタアサイーというドリンクや冷凍ピューレなどを販売しています。



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業務用事業部門
外食チェーンや飲食店、食品メーカーに対する業務用製品や原料の販売を担当する部門。
グロッソアイスと呼ばれるアサイーアイスを飲食店向けに販売しています。
またBIZ WEBという業務用サイトを運営しており、製品を広く販売できる体制を構築していることが特徴です。
通販事業部門
自社ECサイトで家庭用商品販売を担当する部門。
主力商品である「お家でアサイーボウル」を始め、ピューレやスムージーなども扱っており、顧客ニーズに合わせた多様な商品展開を特徴としています。



自分たちで運営する販売チャネルを持っているのは強みだね!
アサイーに加え、あらかじめバナナやストロベリーなどのフルーツがミックスされた冷凍ミックスベースのこと。
フルーツやグラノーラをトッピングするだけで手軽に本格的なアサイーを食べられると話題になり、25年3月期ではシリーズ全体で4億9,200万円の売上高を記録しました。
フルーツがセットになったプレミアムや、アサイー部分をアイスとして商品化したS(エス)なども販売されています。
業績推移
2024年3月期 | 2025年3月期 | 前期比 | 2026年3月期 (予想) | |
---|---|---|---|---|
売上高 | 11億3,600万円 | 25億4,900万円 | +124.4% | 40億円 |
営業利益 | -2億6,300万円 | 2億2,900万円 | ー | 4億円 |
経常利益 | -3億600万円 | 2億3,400万円 | ー | 3億7,000万円 |
当期純利益 | -3億600万円 | 2億7,000万円 | ー | 3億円 |
25年3月期は、売上高25億4,900万円、営業利益2億2,900万円と大幅な増収増益を達成。
この背景要因には、「お家でアサイーボウル」を始めとする各商品のECサイト内の売上が非常に好調なことや、業務用事業が前年比271.2%と大幅に拡大していることが挙げられます。
採算性の高い事業に注力し利益体質への変革を進めたことで、営業利益は前年比+4億9,200万円となりました。



利益面でマイナスが多かった前期と比べて、25年3月期は絶好調だったんだね!
これを受けて同社は、26年3月期決算について強気の業績予想を発表しています。
売上高は前年比+56.8%の40億円、営業利益は同比+42.5%の4億円を計上。
加えて新株予約権行使による15億2,700万円の資金調達を見込んでおり、更なる財務体質強化に努めるとともに、市場トレンド拡大を目指します。
フルッタフルッタの強みと弱みは?


まずは他社と比較しながらフルッタフルッタの特徴を考察します。
健康食品を手掛けるサントリーウェルネス株式会社が売上高1,162億円を誇ることから、競合大手に比べフルッタフルッタは事業規模の面で劣っています。
しかしアサイー市場において、サントリーウェルネスは部分参入程度であり、フルッタフルッタはトップシェアを保持。
一方で、2019年には上場廃止危機に陥るなど、財務面での課題も抱えてきました。



強みだけじゃなくて弱みも知りたいな……
これらの背景を踏まえ、同社の強みと弱みは以下の通り考えられます。
- 他社にない独自の販売チャネルやサプライチェーン
- サステナビリティをキーワードにした外食チェーンとの連携
- 過去に上場廃止危機にもなった財務基盤の不安定性
それぞれ見ていきましょう。
独自の販売チャネルやサプライチェーン
フルッタフルッタはブラジルのCAMTAの日本総代理店として、他社にはないサプライチェーンを構築しています。



CAMTAはブラジルのトメアス総合農業協同組合のことで、世界初のアサイー量産を成功させた日系組織なんだワン!
独占契約に基づく独自の体制により、同社はグロッソと呼ばれる固形分14%以上の濃度の高いアサイーを扱うことが可能。
これによりブラジル農務省が定める8%以上という規格を大きく上回り、品質の高さを実現できています。
また業務用と個人用にそれぞれ通販サイトを所有しており、他社との価格競争や手数料などのコストを回避できるという収益上の利点を持っていることも同社の強みです。
外食チェーンとの連携
フルッタフルッタは単なる原料の供給にとどまらず、サステナビリティを考慮した事業モデルを構築。
その代表例がアグロフォレストリーによる栽培です。
生物多様性を維持し自然と農業を一体化させることで二酸化炭素排出を大幅に削減できており、この取り組みが多くの外食チェーンから高い評価を得ています。
2025年3月期の業務用事業の売上高は11億3,200万円で、前年比271.2%と急拡大。
かっぱ寿司やモスバーガーが同社のアサイーを使用したスイーツを販売する他、ファミリーマートなど小売店の新商品にも採用されています。
これらの商品にはCO₂削減表示があり、各企業のサステナビリティ戦略の一環として取り入れられているようです。



地球を守るアグロフォレストリーが事業拡大につながったんだね!
財務基盤の不安定性



フルッタフルッタに弱みはあるの?
ここまで同社の強みを紹介しましたが、財務基盤が安定していないことが最大の弱みです。
フルッタフルッタはアサイーを始めとしたスーパーフード製品関連事業のみ行っており、業績がトレンド性に大きく左右されやすいという特性を持ちます。
そのため、以前アサイーブームが下火になった際には収支が大きく悪化し、2019年3月期には債務超過により上場廃止猶予期間入り銘柄に指定されました。
DES(デットエクイティスワップ)という借入金を株式に交換する手法で資本力を強化し、黒字転換に成功したものの財務基盤の脆弱性や事業構造は変わっていません。



好調時はいいけど今後どうなるかはわからないんだね……
今後のトレンド変化やサプライチェーン上のトラブルに対応できなければ、再び財政が傾くリスクが考えられます。
フルッタフルッタの株価や配当は今後どうなる?買い時と将来性を分析


ここでは、株価や株主政策の推移を紹介しながら、今後の展望を解説していきます。
株価推移
フルッタフルッタ(2586)の2025年8月29日の終値は287円でした。
同社の直近1年の株価推移を見ていきましょう。



6月の後半から株価が急上昇したんだね!
2024年10月ごろから何度か上昇の波はあるものの継続的な上昇にはつながらず、長い間150円前後に落ち着いていました。
非常にトレンド性の高い銘柄であるからこそ、伸びが一過性になりやすいという側面もあります。
しかし今回の上昇では一時400円を超えるなど、今までにない大きな変化となり注目を集めました。



期待感も不安もあるからよく見極めないといけないね……
配当方針
フルッタフルッタは株主への配当還元を行っていません。
これについて同社は、「財務体質の強化及び将来の事業展開に備えるため、配当可能利益を全額内部留保にしている」と述べています。
一方で株主優待については、2025年6月5日に再開することを公表。
半期ごとに同社ECサイトの割引券が配布される予定で、割引率は株式の保有数と保有期間に基づいて決められます。



アサイー好きの方にはぴったりの内容だね!
アサイー市場の将来性とリスク



結局アサイー市場の今後ってどうなの?
最後に、アサイー市場全体の展望を見てみましょう。
将来性
アサイー市場は世界的な健康志向の高まりを背景に、長期的な成長トレンドが期待される分野です。
フルッタフルッタは「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」の中で以下のように説明。


今回のアサイーブームの担い手は消費者自身であり、健康意識やサステナブル意識の高まりからトレンドの継続性が期待されています。
同社は20年以上の事業経験があり、販売チャネルやサステナビリティにおいて強みを持つことから市場優位性は確固たるものだといえるでしょう。
また中長期的な戦略として、サステナブルマッチングプラットフォーム構築を進めています。


2025年10月ころに開始する自社プラットフォーム上で、サプライチェーン情報とCO₂削減量を公開。
このプラットフォームを他事業者も利用できるようにすることで、消費者の利便性を向上させるとともに企業の社会貢献を後押しします。



アサイー事業への依存が懸念される中で、事業の分散を進めているんだワン!
リスク
フルッタフルッタが継続的に成長していくうえでのリスクは主に3点。
- トレンドが早期に収束し一過性の高いものになってしまう
- 為替相場の変動により、価格に影響していまう
- なんらかのトラブルでサプライチェーンが機能不全になってしまう
アサイー食品は2013年に盛り上がりを見せたものの2015年に一度収束し、同社の経営難につながったという経緯があります。
中長期的な市場の成長が見込まれているものの、スーパーフード事業に依存する同社はトレンド性に左右されるため注意が必要です。
また、同社は仕入れの取引をCAMTAに依存し、ドル建てで行っており、短期間の為替変動や現地でのトラブルが悪影響を及ぼす可能性があります。
自然災害による不作や為替変動による一時的な商品価格上昇が、同社の経営のリスクになり得ることは認識しておくべきでしょう。
まとめ


ここまで、フルッタフルッタの事業内容や特徴を深掘りしました。
要点を振り返りましょう。
かぶリッジの結論
- フルッタフルッタは家庭向けアサイーボウルなどの販売拡大で業績が大幅に改善している。
- アサイー市場の再燃と独自の取り組みにより高い評価を得ている企業である。
- 財務基盤の不安定さはリスクだが、投資の観点からも注目できる。
同社は成長が著しいアサイー市場でトップシェアを誇る企業であり、ESGへの取り組みも非常に評価されています。
こうした企業への投資を好む方は注目してみても良いかもしれません。
しかしボラティリティが高いことも事実であるため、リスクをよく調べたうえで検討すると良いでしょう。