
・アクセルスペースってどんな会社?
・将来性はあるのかな?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- 小型衛星市場は2033年までに4倍に成長する見込みで、市場拡大の恩恵を受けやすい
- 16年間で11機の衛星開発の実績が強み
- 新たな7機の衛星打ち上げで観測頻度・データ量が大幅に向上
アクセルスペースは大学発の宇宙ベンチャーとして、小型衛星の製造・運用を一貫して手掛ける企業です。
2025年8月にはIPOを果たし、初値は公開価格375円の2倍となる751円を付け、大きな注目を集めました。
同社は「宇宙を普通の場所に」というビジョンを掲げ、地球上のあらゆる人々が当たり前のように宇宙を利用できる社会の実現を目指しています。
そこで今回は、上場したばかりのアクセルスペースの将来性について詳しく解説していきます。
アクセルスペースの将来性は?





アクセルスペースの将来性について詳しく教えて!
アクセルスペースの将来性を支える3つのポイントを詳しく見ていきましょう。
衛星市場の成長拡大


世界の衛星製造および衛星データサービス市場は、今後10年間で右肩上がりの成長が見込まれています。
特にアクセルスペースが注力する小型衛星製造分野は、市場規模が現在の約2.3倍から最大4倍まで拡大する見込みです。



小型衛星は、低コストかつ開発期間の短縮が利点だね!
衛星データサービス市場も年率4.7%の成長が見込まれており、違法伐採の検知や作物の生育状況の把握など、さまざまな分野で活用が進んでいます。
このような市場規模の拡大は、同社にとって大きな追い風となるでしょう。



市場の成長とともに会社も成長できそうだワン!
11機の小型衛星の開発実績


アクセルスペースは2008年の創業以来、16年間で11機の小型衛星を製造し、着実に実績を積み重ねてきました。
宇宙産業では技術力と信頼性が何より重要であり、これまでの製造・運用実績が同社の技術力を裏付けています。



衛星開発の実績を作るのは時間がかかるし、簡単なことではないよね!
衛星開発には高度な専門性と長い時間が必要ですが、同社はこれまで培った知見を活かして、多様な衛星プロジェクトを推進しています。
また、同社が運用中の商用光学衛星数は国内最多を誇り、衛星画像データの活用においても高い競争力を発揮できる体制を整えています。
新衛星7機体制による衛星画像データの向上
アクセルスペースは、2026年に中分解能光学衛星「GRUS-3」7機を新たに打ち上げる予定です。



現在の「GRUS-1」5機体制から大幅に強化されるね!
観測頻度は現在の2〜3日に1回から、ほぼ同時刻で毎日撮影へと向上し、災害時の緊急撮影など迅速な対応ができるようになります。
さらに、解析に使用できるデータ量も増加し、広域データをより短期間で取得可能。
加えて、政府の宇宙関連予算は拡大傾向にあり、防衛省の安全保障案件などへの活用も期待されます。
政府系案件を中心とした幅広いパイプラインを保有しており、衛星データの向上によって今後も安定した受注を見込めます。
アクセルスペースの事業内容・業績





アクセルスペースってどんな事業をしているの?
ここでは、アクセルスペースの事業内容と業績についてまとめます。
事業内容
アクセルスペースは、衛星を「作る力」と「使う力」の両方を兼ね備えている点が大きな特徴です。



衛星の製造や打ち上げと衛星データの活用などのいずれかに特化しているのが一般的だね!
同社は以下の2つの事業を展開しています。
AxelLiner(アクセルライナー)
顧客向けに小型衛星の製造から打ち上げ、運用までを一貫して手掛ける事業です。
顧客の多くは政府系機関であり、特に50~200kgの小型衛星に力を入れています。



従来、受注から打ち上げまで3年かかっていた期間を最短1年に短縮しているよ!
従来、衛星を打ち上げるには高度な専門知識と複雑な手続きが必要であり、限られた事業者しか実現できませんでした。
そこでアクセルスペースは、これまでに培った衛星開発の知見と実績をもとに、衛星プロジェクトをパッケージ化。
より多くの人が宇宙空間を活用したサービスやミッションを実現できる環境を提供しています。
AxelGlobe(アクセルグローブ)
アクセルスペースが運用する衛星で撮影した画像データを販売し、衛星画像を活用したサービスも提供する事業です。
2.5mの解像度で識別できる性能を持ちながら、撮影幅は55km、撮影長は最大1,000kmと、一度に幅広い画像を取得できます。



アマゾンのような広大な土地でも、一度に全体像を捉えられるんだね!
衛星画像といえば、電波を用いて撮影したモノクロのSAR画像も一般的ですが、同社は一眼レフカメラのように人の目で見たように写る光学画像を撮影しています。
光学衛星 | SAR衛星 | |
---|---|---|
データの扱いやすさ | 〇(カラー写真) | ×(モノクロ写真) |
撮影面積 | 〇(広い) | ×(狭い) |
製造コスト | 〇(低い) | ×(高い) |
天候の影響 | ×(日中や雲がないときのみ) | 〇(時間帯や天候に左右されない) |
運用衛星を5機に増やしたことで、世界中のあらゆる地域を2〜3日に1回のペースで観測できるようになりました。
また、顧客の51%は民間企業で、海外売上は全体の約3分の1を占めています。
業績
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決算期 | 2022年5月 | 2023年5月 | 2024年5月 | 2025年5月 | 2026年5月(予想) |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 411 | 1,313 | 2,110 | 1,586 | 3,646 |
売上高成長率 | ー | +219.5% | +60.7% | -24.8% | +129.9% |
経常利益 | -1,093 | -1,330 | -2,509 | -1,824 | -3,876 |
当期純利益 | -1,677 | -1,342 | -3,174 | -1,950 | -3,879 |
※単位:百万円(売上高、利益)
アクセルスペースは、売上は順調に伸びているものの、利益面では先行投資の段階にあります。



宇宙事業は初期投資が大きいため、利益化には時間がかかるのが一般的だワン!
2026年5月期の業績予想では、売上高は36億4,600万円(前期比129.9%増)を見込んでいます。
特に、安全保障関連の政府案件獲得を目指すAxelGlobe事業では、売上高が前期比355.5%増となる11億7,900万円と大幅な成長を予想しています。
アクセルスペースのIPO後の動向は?





IPO後の動向はどうなっているのかな?
IPO後のアクセルスペースの動向と今後の課題について詳しく見ていきます。
IPOで調達した資金の使い道
アクセルスペースは、IPOで調達した資金を以下の分野に投資する予定です。
資金使途 | 2026年5月期 | 2027年5月期 | 2028年5月期 | 合計 |
---|---|---|---|---|
GRUS-3及び高分解能衛星の設備投資 (材料費・経費・打ち上げ費用等) | 2,276 | 1,482 | 1,896 | 5,654 |
研究開発資金 | 1,362 | 402 | 320 | 2,084 |
株式会社アクセルスペースホールディングスにおける採用費等 | 10 | 10 | – | 20 |
株式会社アクセルスペースにおけるマーケティング費用等 | 78 | 84 | – | 162 |
合計 | 3,726 | 1,978 | 2,216 | 7,920 |
内訳を見ると、2028年5月期までに14機を打ち上げ予定のGRUS-3の設備投資が全体の7割以上を占めています。
さらに、グローバル展開に向けた優秀な人材確保のための採用費や、事業拡大を目的としたマーケティング費用にも資金を投じます。
急速に発展する宇宙業界では、国内外を問わず熾烈な競争が続いており、積極的な投資が欠かせません。
アクセルスペースは、こうした環境下で資金調達の選択肢を広げるため、2025年8月に上場しました。



IPOで得た資金を活かした成長戦略に期待だね!
上場後の株価推移と市場の評価
アクセルスペースの株価チャートを見てみましょう。
上場初日、株価は公開価格の2倍となる751円で初値を付け、その後も上昇基調が続きました。
上場後も2日連続でストップ高を記録しています。



市場からの評価や注目度はかなり高いね!
近年、宇宙関連銘柄は個人投資家の間でもテーマ株として人気を集めており、アクセルスペースもその流れに乗って注目を集めています。
今後の事業展開や成長戦略によっては、引き続き株価の動向が注目が集まるでしょう。
ただし、公募価格の1.5倍以上であればベンチャーキャピタル(VC)のロックアップが解除されるため、一時的に売り圧力が高まる可能性があることに注意が必要です。



短期的な株価変動には注意が必要だワン!
注意すべき事業上のリスク
アクセルスペースの投資を検討する際は、以下のリスクにも注意が必要です。
- 衛星の打ち上げ失敗:SpaceXの「Falcon 9」を用いてリスクを担保
- 軌道上の衛星の故障:2024年に運用中の1機で姿勢制御機能に不具合が発生
- 収益化までの不確実性:黒字化の時期は未定
- 競合他社の参入:海外大手企業との競争激化
同社は主にイーロン・マスク氏率いるSpaceXの「Falcon 9」を利用しており、成功率は99.32%(2025年3月4日現在)と高水準です。
しかし、打ち上げ失敗の可能性はゼロではありません。
さらに、黒字化の時期は現時点で未定であり、急速に発展する宇宙業界においては国内外で熾烈な競争が続いています。



打ち上げ失敗や衛星の故障といった予期せぬ事態に対しては、宇宙保険による一定のカバーが可能だワン!
宇宙関連事業を手掛ける他上場企業との違い


宇宙関連事業を手掛けるispace(9348)とQPS研究所(5595)との比較してみましょう。
企業名 | 主力事業 | 特徴 | 時価総額 |
---|---|---|---|
アクセルスペース (402A) | 小型衛星の製造・打ち上げ・運用 | 東大発の宇宙ベンチャー | 592億円 |
ispace(9348) | 月への物資輸送サービス | 月面着陸を目指す | 567億円 |
QPS研究所(5595) | 小型SAR衛星の開発・製造 | 九州大発の宇宙ベンチャー | 943億円 |
宇宙関連事業を展開する上場企業には、それぞれ異なる事業や強みがあります。
アクセルスペース(402A)は、小型衛星の製造・打ち上げ・運用を一貫して手掛け、自社で運用する光学衛星によって衛星データを販売・活用しています。
一方、ispace(9348)は月への物資輸送サービスを主力とし、月面着陸に挑戦しています。
QPS研究所(5595)は九州大学発のベンチャーで、小型SAR衛星の開発・製造を行い、夜間や悪天候下でも観測可能な衛星画像データの活用に取り組んでいます。



SAR衛星はモノクロだけど夜間や天候に左右されない、光学衛星はカラー画像で広範囲かつコストが安いという違いだったね!
このように、光学衛星・SAR衛星・月面輸送など異なる分野に特化しており、事業内容や技術特性を理解した上で成長性を見極めることが重要です。
【まとめ】「宇宙×〇〇」で市場はさらに拡大する





アクセルスペースの将来性について、よくわかったよ!
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
かぶリッジの結論
- 小型衛星市場は2033年までに4倍に成長する見込みで、市場拡大の恩恵を受けやすい
- 16年間で11機の衛星開発の実績が強み
- 新たな7機の衛星打ち上げで観測頻度・データ量が大幅に向上
アクセルスペースは、小型衛星の製造から運用まで一貫して手掛ける強みを持ち、成長著しい宇宙産業の追い風を受けています。
今後は「宇宙×〇〇」という形で、「宇宙×農業」「宇宙×金融」「宇宙×エンタメ」「宇宙×医療」など、宇宙とさまざまな業界が組み合わさることで、衛星や衛星データの活用範囲はさらに広がっていくと考えられます。
例えば農業分野では作物の生育状況の把握、金融分野ではテーマパークの来場者数や売上予測など、活用の幅は広がっていくでしょう。
「宇宙を普通の場所に」というビジョンのもと、衛星や衛星データが日常生活やビジネスで当たり前のように活用される未来に向け、同社の今後の展開が注目されます。



宇宙がもっと身近になる未来が楽しみだワン!