
なぜエーザイの株価は下落したの?
今後株価はどうなっていくの?
このようなお悩みを解決します。
💡かぶリッジの結論
- アルツハイマー型認知症薬「レカネマブ」普及鈍化により株価が下落
- 高い専門性と海外企業との事業提携によって多様なアプローチと迅速なパイプライン拡充を実現
- 今後の「レカネマブ」普及に向けたSC-AIの取り組みに注目
エーザイは医薬品の研究開発・製造・販売を行う製薬会社です。
株価は2024年7月26日の6,628円から下落が続き、2025年6月18日現在の株価は4,027円となっています。
そのため、長期を見据えて購入を悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、エーザイの株価が下落している理由や、株価は今後どうなっていくのかを分かりやすく解説していきます。


執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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エーザイの株価が下落した理由は?主な3つの理由を解説


💡このパートの要約
- 「レカネマブ」普及の鈍化によって投資家が嫌気した
- 同業他社がアルツハイマー型認知症の薬を開発
- 主力製品の特許切れと研究開発費の低下
まずはエーザイの株価推移を見ていきましょう。
2024年7月以降下落が続いていることが分かります。



どうして急落したんだろう?
ここからは、エーザイの株価が下落した理由を3つご紹介します。
アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」普及の鈍化
エーザイの株価が下落している主な原因は、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」(商品名:レケンビ)の普及へのハードルが高い状況が続いているためです。
具体的には、使用にあたって必要な診断体制や投与可能な医療機関の限定、高額な薬剤費に対する保険償還の厳格化などが挙げられます。
また、株価が急落した2024年7月26日に日経新聞にて欧州医薬品庁(EMA)の評価委員会が「効果が副作用のリスクに見合わない」と否定的な見解を示し、承認に至っていないといったニュースが報じられました。
このニュースに対して市場にネガティブな反応を引き起こし、株価が急落しました。


実際にその後発表された2024年度第一四半期決算説明資料では、承認国が米国、日本、中国、韓国、香港、イスラエルの6カ国となっており、「レカネマブ」を成長ドライバーとしたいエーザイのビジョンを欧州が阻む形となりました。
2025年現在でも、使用の際に患者や医師に求められる要件が多いことが課題となり、「思ったよりも売上が伸びない」という現実が、投資家の失望を招き、株価を押し下げています。
競争環境の激化
2024年後半から2025年にかけて、イーライリリーのアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」が米国FDA(アメリカ食品医薬品局)で承認され、エーザイの「レカネマブ」との間で激しい競争が勃発しています。
ドナネマブは「レカネマブ」と同様にアルツハイマー病の原因となるアミロイドβを標的とする薬剤であり、比較対象とされています。
市場シェアの希薄化や価格競争の激化につながる懸念が株価の伸びを妨げている原因となっています。



ドナネマブは、2024年9月に日本の厚生労働省に承認されたよ!
既存事業の伸び悩みと新薬開発
「レカネマブ」への大きな期待の裏側で、エーザイはいくつかの課題に直面しています。
主力製品の特許切れが進むにつれ、これらの売上が減少しています。
さらに、「レカネマブ」に続く新たな収益の柱となる新薬が、現時点では明確に見えていません。
この状況に加え、2025年の連結業績見通しでは、「レカネマブ」の普及に多額の費用を投入するため、研究開発費を圧迫すると予測されています。
これは、将来の成長を支える新薬開発への投資が手薄になる可能性を示唆しており、投資家の懸念材料となっています。



「レカネマブ」に左右された業績となりそうだね!
エーザイの基本情報


💡このパートの要約
- エーザイは医薬品の研究開発・製造・販売を行う製薬会社
- 売上、営業利益、当期利益の全てが増加し、増収増益を達成
ここでは、エーザイの基本情報をまとめます。
2つの項目について詳しく見ていきましょう。
事業内容
エーザイは以下の事業を展開しています。
- 医療用医薬品の研究開発・製造・販売
- 一般用医薬品等の製造・販売
- 新薬開発
医療用医薬品の研究開発・製造・販売


医師の指示のもと処方される医薬品を中心に、各拠点に工場を持ち、グローバルに事業を展開しています。特に、長年の経験とノウハウを持つ「神経領域」(認知症関連・神経変性疾患など)と「がん領域」を重点領域とし、いまだ治療法が確立されていない疾病に対する革新的な新薬の創出に注力しています。
ホームページに記載されてているグローバル主力商品として、
- レケンビⓇ/LEQEMBIⓇ アルツハイマー病に対する薬
- レンビマⓇ/LenvimaⓇ 抗ガン剤
- デエビゴⓇ/DayvigoⓇ 不眠症治療薬
- フィコンパⓇ/FycompaⓇ 抗てんかん剤
- ハラヴェンⓇ/HalavenⓇ 抗ガン剤
が挙げられます。



同社はアメリカ大陸の売上比率が高いよ!
一般用医薬品等の製造・販売
医療機関を受診しなくても、薬局やドラッグストアなどで消費者が直接購入できる製品を扱っている事業です。
この事業は、エーザイの掲げる「hhc(ヒューマン・ヘルスケア)理念」を、より身近な形で生活者に提供する役割を担っています。
代表的な製品ブランドとしては、以下のようなものが挙げられます。
- チョコラBBシリーズ:ビタミンB群を主成分とし、肌荒れやニキビ、疲労回復などをサポートする。ドリンク剤、錠剤、美容ドリンクなど様々な剤形がある。
- トラベルミンシリーズ:乗り物酔いによる吐き気やめまいを抑える。
- セルベールシリーズ:胃粘液を増やして胃を守る胃薬。
社員が就業時間の1%を生活者と共に過ごす「hhc活動」を通じて、消費者の言葉にならない健康上の悩みや生活習慣、価値観などを深く理解しようと努めています。



CMでもみたことあるね!
新薬開発


パイプラインとは、研究の初期段階から臨床試験、そして最終的な承認・上市へとつながる一連のプロセスを指しています。
新たな収入を生み出す新薬の開発は製薬会社の持続的成長の要です。
業績
続いてエーザイの最新の業績を見て行きましょう。
エーザイの2024年度(2025年3月期)の当期利益(親会社所有者帰属)は、前期比+9.4%上昇しました。
2020年度 (2021年3月期) | 2021年度 (2022年3月期) | 2022年度 (2023年3月期) | 2023年度 (2024年3月期) | 2024年度 (2025年3月期) | |
---|---|---|---|---|---|
売上収益 | 6,459 | 7,562 | 7,444 | 7,418 | 7,894 |
営業利益 | 515 | 537 | 400 | 534 | 544 |
研究開発費 | 1,503 | 1,717 | 1,730 | 1,690 | 1,716 |
当期利益(親会社所有者帰属) | 419 | 480 | 554 | 424 | 464 |
同社HPよりかぶリッジ作成。
横ばいであった売上収益は2024年度に大きく成長しています。
これは「レカネマブ」の売上が43億円から443億円まで成長したことが要因といえるでしょう。
研究開発費は2023年に減少傾向が見られましたが、2024年には再び1700億円を超える水準に回復しました。



「レカネマブ」の売上の影響が大きいよ!
エーザイの業績は、主力製品の状況や新薬開発の進捗に大きく左右されます。
近年は、特定の製品への依存度が高いことから、それらの製品の状況が業績に与える影響が大きくなっています。
直近では、「レカネマブ」の承認や普及の状況が、今後の業績に大きな影響を与える見込みです。
また、同社はグローバル展開に注力しており、特に北米市場での売上が年々増加し、日本国内の売上との差が拡大しています。
これは、同社がグローバル戦略を推進し、海外市場での成長を重視していることを示しています。
エーザイの強み・弱みは?同業他社と徹底比較


💡このパートの要約
- 神経領域において高い専門性がある
- 海外企業との提携による素早いグローバル展開
- 「レカネマブ」への収益依存によって業績が左右される
- パイプラインが少なく、新たな収益の柱が見つかりにくい
以下4つの特徴を見ていきましょう。
神経領域におけるプレゼンスと技術力


エーザイは、長年にわたるアルツハイマー病治療薬の研究開発で先駆的役割を担い、「レカネマブ」の成功はその象徴です。
この分野での深い知見と高い技術力は同業他社に比して突出しており、未だ治療法が少ない神経変性疾患領域におけるプレゼンスは、今後の成長ドライバーとなります。
基礎研究から上市後の普及戦略まで一貫したノウハウを持ち、これは幅広い疾患を扱うメガファーマにはない、特定の領域における専門性の高さが強みです。
がん領域におけるグローバル展開と提携戦略


がん領域においてもグローバルでの事業展開を強化しており、特に海外企業との戦略的提携を通じてパイプラインの拡充を図っています。
例えば、ハラヴェンやレンビマといった製品は、グローバルでの売上貢献が期待されており、多様な提携戦略は、研究開発のリスク分散と効率的な開発に繋がっています。
アステラス製薬(4503)や中外製薬(4519)など、がん領域に強い日本の製薬企業は他にもありますが、エーザイは特に海外企業との共同開発やライセンス契約を積極的に活用し、グローバルでの競争力を高めています。



提携によって多様なアプローチと迅速なパイプライン拡充を実現しているんだね!
「レカネマブ」への収益依存度と普及の課題
「レカネマブ」は、エーザイの将来を大きく左右する重要な製品である一方で、収益が「レカネマブ」に大きく依存する可能性もあります。
承認後の普及には、医療従事者の理解促進、診断体制の整備、そして各国での保険償還の確保など、多くの課題が存在します。
これらの課題が想定通りに進まない場合、業績に大きな影響を与えるリスクを抱えています。
武田薬品工業は消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤など幅広い領域で複数の主力製品を持ち、リスク分散を図っています。
エーザイの「レカネマブ」への依存度は、それに比べると高いと言えます。(武田薬品工業ホームページより)
パイプラインの偏りと次なる柱の不在
神経領域とがん領域に注力する一方で、パイプライン(開発中の新薬候補)がこれらの領域に偏っている点が弱みとして挙げられます。
「レカネマブ」に次ぐ新たな収益の柱となる製品が早期に確立されない場合、中長期的な成長に課題が生じる可能性があります。
第一三共は、がん領域に加えて感染症や疼痛、循環器領域など多岐にわたるパイプラインを保有しており、特定の領域への依存を避けています。(第一三共ホームページより)
また、塩野義製薬は感染症領域に強みを持つ一方で、中枢神経系やがん領域でも開発を進めています。(塩野義製薬ホームページより)
エーザイのパイプラインは、これらの企業と比較して領域の集中度が高い傾向にあります。
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エーザイの株価は今後どうなる?将来性や見通しを検証


💡このパートの要約
- 足踏みしていた「レカネマブ」が世界44カ国で承認(欧州でも承認)
- 英国での保険適用の否認
- SC-AIによる「レカネマブ」の普及
エーザイの株価は今後どうなっていくのでしょうか。
以下では、株価下落理由である「レカネマブ」の普及や配当などに注目してエーザイの株価を分析していきます。
「レカネマブ」が世界44カ国で承認


最新の2024年度決算説明会資料によると、「レカネマブ」は現在世界44か国で承認されており、株価下落の要因であった欧州でも承認されました。
普及に向けて着実に成果を出しており、「レカネマブ」が大きな収入源となることが期待できそうです。



2024年第一四半期と比べて38か国も増えたんだワン!
英国での「レカネマブ」保険適用が否認
先月英国で「レカネマブ」などに関して公的な医療保険制度での使用を奨励しないというニュースが報道されました。(日経新聞より)
「レカネマブ」の普及に向けて着実に進めている中でのこのニュースであったので、株価に影響する可能性は大いにあると考えられます。



保険適用に関してはまだ課題がありそうだね。
「SC-AI」の可能性
「SC-AI」はアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の「皮下注射オートインジェクター(Subcutaneous Auto-Injector)」を指しています。
これは、患者さんやその介護者が自宅で簡単にレケンビを自己注射できるようにするためのデバイスのことです。
「レカネマブ」の初期治療は、通常、静脈内投与(点滴)で行われます。
しかし、静脈内投与は医療機関への定期的な通院が必要で、患者さんや介護者にとって大きな負担となります。
そこで、維持投与のフェーズにおいて、以下のようなメリットを持つSC-AIの導入が期待されています。
- 患者の負担軽減:医療機関への通院回数を減らし、自宅で投与できることで、患者さんの日常生活への影響を最小限に抑えます。
- 介護者の負担軽減:患者の通院に付き添う介護者の時間的・精神的負担を軽減します。
- 治療継続性の向上:通院の手間が減ることで、治療の継続率が向上し、長期的な効果発揮に繋がると期待されます。
- 医療システムへの貢献:医療機関の負担(点滴室の確保、看護師の対応など)を軽減し、より多くの患者を受け入れられるようになる可能性があります。
- 普及の加速:投与の利便性が向上することで、「レカネマブ」の普及が加速し、より多くの患者が治療を受けられるようになることが期待されます。



大きな収入の軸となっていきそうだね!
【まとめ】エーザイの株価が下落した理由





エーザイの株価が下落した理由がよく分かったよ!
💡かぶリッジの結論
- アルツハイマー型認知症薬「レカネマブ」普及の鈍化により株価が下落
- 高い専門性と海外企業との事業提携によって多様なアプローチと迅速なパイプライン拡充を実現
- 今後の「レカネマブ」普及に向けたSC-AIの取り組みに注目
エーザイは、「レカネマブ」(商品名:レケンビ)を使用するにあたって必要な診断体制や投与可能な医療機関の限定、高額な薬剤費に対する保険償還の厳格化など、普及へのハードルが高い状況が続いてるため株価が下落していることが分かりました。
しかし、着実に普及していることや使用のハードルを下げるためにSC-AIの研究に取り組んでいることがわかります。



今後の株価に注目だね!
かぶリッジでは、この他にも日本の優良銘柄についてまとめた記事をまとめているので、ぜひあわせてご覧ください。



