高島屋の株価が急落した理由は何?
高島屋の事業内容や業績は?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- 日経平均株価の下落や円高によるインバウンド需要の低下によって、高島屋の株価が下落
- 百貨店業界の先行きへの不安は残るもの高島屋の売上は堅調!
- 百貨店業に加えて、今後のEC強化や金融事業などの新事業展開に期待が高まる
高島屋は、皆さんご存じの百貨店「高島屋」を経営する企業です。
高島屋は馴染みのある企業で、株式優待も魅力的であるため、購入を悩んでいる方もいるでしょう。
しかし、最近の株価は下落しており、やばいとも言われています。
そこで今回は、高島屋の株価が下落している理由や事業内容・業績を分かりやすく解説していきます。
執筆:かぶリッジ編集部
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高島屋の株価が急落した理由は?3つの観点から解説
まずは、高島屋の株価推移を見ていきましょう。
2024年7月31日~8月5日にかけて急落し、その後も低迷していることが分かります。
何が原因だったのかな?
ここからは、高島屋の株価が下落した理由を3つご紹介します。
日経平均株価の過去最大の下落による影響
まず、高島屋の7月31日~8月5日の急落は「日経平均株価の過去最大の下落」の影響です。
これは、7月31日に「日銀の会合で追加利上げ」、「FOMCが9月に利下げの可能性を示した」という出来事の影響を大きく受けて、円高ドル安に傾き、日経225の下げが進みました。
市場全体の影響を受けただけで、個別材料はありませんでした。
でも、日経平均株価は以前の値に戻ってきたけれど、高島屋はそのまま停滞しているのはなぜ?
その理由は主に以下の2つが挙げられます。
円高によるインバウンド需要の鈍化への懸念
高島屋の株価が下落後、低迷している理由の一つにインバウンド需要の鈍化への懸念があります。
上記のように円高に傾いたことで、訪日外国人の減少が予想されるため、売上が下がるのではないかとの懸念がありました。
2025年2月期連結業績予想の営業利益が「5,114億円→4,950億円」に下方修正されたワン!
これは、インバウンド需要が従来の想定を下回ると見込まれたからだワン!
インバウンド需要の影響を大きく受けるんだね!
百貨店業界の先行きへの不安
高島屋の株価が下落後、低迷しているもう一つの理由に百貨店業界の先行きの不安があります。
大型モールやネット通販などが主流になっている中で、主に富裕層をターゲットとした百貨店業界の先行きには不安があります。
上のグラフからも、百貨店の売り上げが年々減少していることが分かります。
※2020年の大幅な減少は、新型コロナウイルスの影響です。
高島屋の基本情報
高島屋と言えば、駅前に大きなビルを構えており、衣料品や化粧品など様々な商品を買いそろえることができるイメージがありますね。
以下では、高島屋の事業内容について詳しく見ていきましょう。
事業内容
- 百貨店業
- 国内・海外商業開発事業
- 金融業
- 建装事業
- 食品・レストラン事業
高島屋では、百貨店事業を中心に、商業開発事業、金融事業、建装事業など国内外で幅広い事業を展開しています。
営業収益の7割以上が百貨店業を占めていて、その他の事業展開も百貨店とのシナジーを発揮しています。
百貨店業
国内の百貨店事業は高島屋のコア事業であり、グループ売上の7割以上のシェアを占めています。
高島屋ならではの特徴ある店づくりやサービスの充実によって多様化するニーズに対応し、顧客の支持獲得を目指しています。
「特徴ある店づくり」について、以下の5つの工夫が挙げられるよ!
- 施術・体験サービスやオーダーメイドなど多くのニーズをとらえた独自の編集売場
- 欧州の食料品からファッションまで海外のトレンド・ライフスタイルを提供する海外ブランド
- 充実した品ぞろえやサービスをもつ日本最大級の時計専門売り場「タカシマヤウオッチメゾン」
- ルーツである、きもの商を展開する美術・呉服部門
- 高島屋史料館やタカシマヤ文化基金を通した文化発信
国内・海外商業開発業
グループの中核事業である商業開発の機能を担う、「東神開発」を傘下に抱えています。
基幹事業であるショッピングセンター事業においては、髙島屋をキーテナントとする百貨店核SCや二子玉川・流山でのエリア開発を展開しています。
また、国内新規事業では、オフィスや住宅など商業以外の事業開発を行い、街の価値を高めています。
海外においては、以下4か国へ事業拡大をしています。
- シンガポール高島屋(シンガポール)
- 上海高島屋(中国)
- ホーチミン高島屋(べトナム)
- サイアム高島屋(タイ)
今後も総合開発事業としてASEAN地域での事業拡大を目指しています。
金融業
金融業では、主に以下の5つの業務を展開しています。
- クレジットカード業務
- 保険
- 投資信託
- 相続・信託
- ソーシャルレンディング
この金融業は高島屋ファイナンシャル・パートナーズという会社が担っており、クレジットカード事業を起点に、資産形成や資産継承など幅広いサービスを展開しています。
建設業
建装部を担う「高島屋スペースクリエイツ株式会社」は「変わらないのに、あたらしい。」をモットーに空間づくりに取り組んでいます。
企画マーケティングから施工・監理まで一貫した業務を行っています。
ホテルや空港のカウンター、商業施設など幅広い分野を扱っているんだね!
食品・レストラン事業
グループ会社である「アール・ティー・コーポレーション」は、「ディンタイフォン(鼎泰豐)」「糖朝」をはじめとした様々なレストラン・カフェ事業や、社員食堂、学生食堂の給食事業などの運営を担っています。
また、別のグループ会社である「グッドリブ」では、「ルロワ」のワインや「ティエノー」のシャンパンなど高級洋酒の直輸入から、日本酒まで、酒の卸しと店舗運営を手掛けています。
「ディンタイフォン(鼎泰豐)」は世界に174店舗あり、日本でも28店舗あるんだよ!
業績
続いて高島屋の業績を見ていきましょう。
2020年2月期 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期(予想) | |
---|---|---|---|---|---|---|
営業収益 | 919,094 | 680,899 | 761,124 | 443,443 | 466,134 | 495,000 |
営業利益 | 25,582 | △13,496 | 4,110 | 32,519 | 45,937 | 55,000 |
経常利益 | 23,200 | △13,637 | 6,903 | 34,520 | 49,199 | 58,000 |
当期純利益 | 16,028 | △33,970 | 5,360 | 27,838 | 31,620 | 38,000 |
同社決算短信よりかぶリッジ作成。
21年2月期に、コロナの影響もあり当期純利益は-33,970百万円の赤字となっていますが、2022年2月期以降は徐々に回復していることが分かります。
円安を背景にインバウンド売上高が増大したことに加え、全体売上高の約8割を占める国内顧客売上高も堅調に推移していることが営業収益の増加につながっています。
コロナショックや円安から訪日外国人観光客(インバウンド)の影響が大きいことが分かるワン!
以下は、2025年2月期2Qの「国内百貨店業」業績です。
- 総額営業収益は国内顧客、インバウンドとも伸長したことで大幅増収
- 商品利益率は商品構成比の変化もありマイナスも営業総利益は増大
- コスト削減強化による販管費比率の改善も寄与し営業利益は計画超過
話題性と品揃え強化を推進したことで、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品や婦人服・化粧品などファッション関連商品も伸びています。
好調な売上とは裏腹に、2025年2月期の連結売上高にあたる営業収益が従来予想を164億円下回る6%増の4,950億円になる見通しだと発表しました。
円高基調でインバウンド需要は鈍化傾向にあることが懸念材料であると言えます。
ただ、各利益は最高益を更新する計画から修正なしだよ!
配当政策・株主還元
過去の配当利回りと配当性向をまとめると以下の表の通りです。
決算期 | 1株当たり配当金 | 配当利回り | 配当性向 |
---|---|---|---|
2021年2月期 | 24.0円 | 2.65% | ー |
2022年2月期 | 24.0円 | 2.07% | 74.7% |
2023年2月期 | 26.0円 | 1.71% | 15.3% |
2024年2月期 | 37.0円 | 1.82% | 18.5% |
2025年2月期(予想) | 46.0円 | 1.92% | 37.9% |
※配当利回りは、平均株価より算出。
※21年2月期は赤字決算のため、配当性向の表記なし。
増配してるものの、配当利回り2%前後と大きな変化は見られません。
高島屋に株主優待はあるのかな?
高島屋に株主優待はあります。
高島屋各店の割引対象商品のお買い物をした際に提示すると10%の割引を受けられる優待カードがもらえます。
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大手百貨店3社で比較!高島屋の強みと弱みは?
高島屋の強みや弱みは何だろう。
ここでは同業他社である「伊勢丹(3099)」、「大丸松坂屋(3086)」と比較した特徴を見ていきましょう。
まずは、以下に各社の主要財務データと参考指標をまとめます。
2023年通期 | 高島屋 | 伊勢丹 | 大丸松坂屋 |
---|---|---|---|
売上高 | 4661.34億円 | 5364.41億円 | 4070.6億円 |
当期純利益 | 316.2億円 | 555.8億円 | 299.13億円 |
自己資本比率 | 35.7% | 48.5% | 34.3% |
ROE(自己資本当期純利益率) | 7.3% | 9.8% | 8.1% |
PER(株価収益率) | 10.2倍 | 14.4倍 | 11.3倍 |
PBR(株価純資産倍率) | 0.81倍 | 1.39倍 | 1.02倍 |
EPS(1株当たり純利益) | 200.47円 | 145.79円 | 114.06円 |
配当利回り | 1.82% | 2.15% | 2.79% |
配当性向 | 18.5% | 23.3% | 31.6% |
高島屋は2月、伊勢丹は3月、大丸松坂屋は2月決算
高島屋の強みと弱みとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
確かなブランド力
高島屋は誰もが聞いたことのある百貨店であり、確かなブランド力があります。
また、この地域といえば高島屋というような場所も多数存在し、玉川、大阪(難波)店舗は海外からの旅行客を含め多くの人に利用されています。
「百貨店と言えば高島屋」と一番に思い浮かべる人は多そうだね!
1815年に創業し、厳選されたブランドや商品を取扱っていることや優れた接客により、高いリピート率を実現しています。
コスト構造改革
高島屋は、コスト構造改革の一環として、店舗や本社の人員削減を進め、業務の効率化を図っています。
以下は計画の詳細内容です。
また、外部委託業務を内製化することで、長期的なトータルコストの削減を目指しています。
24年にはコスト構造改革を推進し、販売管理費を抑制したことにより大幅な増益に。
連結の各利益はいずれも過去最高を更新しました。
この取り組みは、2023年9月から他の大店舗にも拡大される予定で、全体的な運営効率を高めることを目的としています。
この改革を通じて安定的な利益を創出し、持続可能な成長を追求している点は高島屋の強みです。
配当が低い・財政体質が弱い
財務体質が弱い点は、髙島屋の大きな弱みと言えます。
各社の財務状況について見てみましょう。
2023年通期 | 高島屋 | 伊勢丹 | 大丸松坂屋 |
---|---|---|---|
売上 | 4661.3億円 | 5364.4億円 | 4070.6億円 |
配当利回り | 1.82% | 2.15% | 2.79% |
当期純利益 | 316.2億円 | 555.8億円 | 299.13億円 |
自己資本比率 | 35.7% | 48.5% | 34.3% |
伊勢丹や松坂屋と比較すると、配当利回りは1番低いことが分かります。
ただし業績は回復しており、増配傾向であることから、今後は配当利回りの向上に期待できるでしょう。
自己資本比率は35.7%と3社の中では真ん中に位置しますが、一般的に自己資本比率は40%前後が理想的とされているため、やや低めです。
当期純利益も316.2億円であり、同業他社の中で2位となっています。
ただし、高島屋はPBRが1倍割れしており割安感があるという魅力も。
2023年通期 | PBR |
---|---|
高島屋 | 0.81倍 |
伊勢丹 | 1.39倍 |
大丸松坂屋 | 1.02倍 |
同業他社と比較したときにPBR1倍割れは、高島屋のみです。
今後株価が伸びる可能性もあるね!
高島屋株の今後の株価や将来性を解説
高島屋の今後の株価はどうなっていくでしょうか。
以下の3点から、髙島屋株は買いかどうかや、将来性を分析していきます。
- インバウンド需要の動向
- 通販やショッピングセンターなど新たな事業の動向
- 富裕層の需要と収益の堅調さに期待
インバウンド需要の動向
消費環境においては、昨年は物価上昇に賃金の伸びが追い付かない実質賃金のマイナスが続く中でも個人消費が緩やかに回復し、円安を背景にインバウンド需要にも拡大の動きがみられました。
一方、今後コロナ禍の自粛反動消費が一巡する状況において、生活防衛意識の更なる高まりによる個人消費の減速リスクも懸念されます。
また、高水準で推移する株価や円安基調の為替など、消費に影響を与える外部環境の動向は引き続き、注視が必要な状況です。
通販やショッピングセンターなど新たな事業の動向
高島屋では、カタログ通販やオンラインショッピングを活用しており、コロナ禍でリアル店舗の集客が減少した中で、通販事業の強化を進めました。
2020年以降はオンラインショッピングの利用者が大幅に増加しています。
しかし、コロナ禍からの反動もあり、2024年3~8月期におけるカタログ通販、テレビ通販、ECの売り上げの一部で構成された「クロスメディア事業」の売り上げは、7.8%減の63億1000万円となりました。
カタログの部数やページ数が減少していることも影響しているワン!
通販事業は競争が激化しており、Amazonや楽天などの大手EC企業との競争が課題となっています。
高島屋は、高品質な商品や独自の顧客体験を武器に、他のECサイトとの差別化を図りながら、引き続き通販事業の強化を進めていく必要があります。
富裕層の需要と収益の堅調さに期待
高島屋は2024年6月、富裕層向けの資産運用助言などを手がけるヴァスト・キュルチュールを買収しました。
顧客に資産運用の提案などプライベートバンクサービスを提供し、百貨店以外の収益の柱とする金融事業を拡充する方針です。
富裕層をターゲットにした新事業と、百貨店とのシナジーがどう展開されるのかな?
ヴァストの金融に関するノウハウや人材を取り込み、顧客に百貨店の商品を紹介するなどして相乗効果を高める狙いがあります。
また、収益の堅調さにも期待できます。
以下は高島屋の売上推移です。
2020年2月期 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期(予想) | |
---|---|---|---|---|---|---|
売上 | 919,094 | 680,899 | 761,124 | 443,443 | 466,134 | 495,000 |
営業利益 | 25,582 | △13,496 | 4,110 | 32,519 | 45,937 | 55,000 |
当期純利益 | 16,028 | △33,970 | 5,360 | 27,838 | 31,620 | 38,000 |
同社決算短信よりかぶリッジ作成。
22年以降コロナ禍から順調に回復していて、今期は最高益を予想。今後に注目です。
【まとめ】高島屋の株価が下落した理由
高島屋の株価が下落している理由についてよく分かったよ!
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
かぶリッジのまとめ
- 日経平均株価の下落や円高によるインバウンド需要の低下によって、高島屋の株価が下落
- 百貨店業界の先行きへの不安は残るもの高島屋の売上は堅調
- 百貨店業に加えて、今後のEC強化や金融事業などの新事業展開に期待が高まる
高島屋の売上は堅調に推移しています。
今後はインバウンド需要の回復や新たな事業展開にも期待が高まっているため、注視していきましょう。