
インテージってどんな会社?
将来性はあるのかな?
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- コモディティ化によるマーケティング需要
- NTTドコモとの資本提携によるシナジー事業への成長期待
- 日本最大規模の消費者パネルなどのデータとテクノロジーの融合による価値創出
インテージホールディングス(以下インテージ)は、マーケティングリサーチ業界で国内No.1という地位を獲得し、NTTドコモとの資本提携によって注目を集めました。
マーケティングの重要性が増していく中で、インテージはどのような経営戦略をとり、どれくらい実績を上げているのでしょうか。
今回は、インテージの株価の今後の見通しと、将来性について詳しく解説します。


執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
※本記事の注意事項
正しい情報をお伝えするために随時更新を実施しますが、掲載内容には古い情報、誤った情報が含まれることがございます。
また、本記事でご紹介する企業や投資商品はすべて情報提供目的であり、投資を推奨・勧誘する目的はございません。
情報の取捨選択や投資判断は各ユーザー様のご判断・責任にてお願いいたします。
※掲載内容へのご指摘につきましては、お問い合わせフォームより受け付けております。
無料メルマガ登録で豪華特典プレゼント


※登録後、メール画面から登録解除も可能です。
インテージの将来性は?3つの理由を解説


💡このパートの要約
- 商品やサービスのコモディティ化によってマーケティングの重要性が増してきている
- 大規模言語モデル(LLM)やダッシュボード開発によるデータドリブンな経営を支援
- NTTドコモの顧客基盤や行動データの活用
インテージの将来性について、以下の3つの観点から考察します。
企業のマーケティング需要の高まり
商品やサービスのコモディティ化が進んでいる現代においてマーケティングの重要性は増してきています。
コモディティ化とは?
商品やサービスが、競合の増加や技術の普及によって他社製品との違いがほとんどなくなり、一般化・均質化していく現象のこと。
この状態になると、消費者はどの製品を選んでも同じような満足度を得られると感じるため、購入の決め手は「価格」や「利便性」といった要素に絞られやすくなります。
その結果、企業は激しい価格競争に巻き込まれ、利益率が低下するリスクに直面します。
一方で、現在の日本企業の多くはマーケティングをしたいけど専門的な人材がいない、ノウハウがない、データがないという企業が多いという現状があります。
インテージの長年積み上げてきたマーケティングリサーチのノウハウやデータは、現代において非常に価値が高まっています。



このデータ基盤を活かしてマーケティング支援を行っているんだね!
データとテクノロジーの融合
インテージは、「2030年に向けて」といった長期目標に向け、中期経営計画の中で、「Data+Technology企業としてのNew Portfolioへ」という基本方針を掲げています。
具体的には、以下のような開発を行っています。
- ダッシュボード開発:「INTAGE connect」や「POS-is」を提供。煩雑なデータ準備作業をなくし、顧客が保有するデータとパネルデータを統合したグラフや表、地図などを使って一目でわかるように可視化する画面(ダッシュボード)を構築。
- 大規模言語モデル(LLM):市場調査データや顧客の声を分析する際にLLMを使用。大量のテキストデータから効率的に傾向やインサイトを見つけ出すことができる。



最新のテクノロジーをうまく組み合わせることで効率化とデータ分析の高度化が図れるね。
NTTドコモグループとのシナジー
インテージは、2023年9月にNTTドコモと資本業務提携契約を結びました。
これにより、NTTドコモの顧客基盤や行動データを有効利用できます。
提携による事業の方向性として、インテージのデータ活用・戦略策定とNTTドコモの会員データ基盤を活かした広告・販促・CRM支援を組み合わせ、一気通貫のデータドリブンマーケティングを展開を目指しています。



最近では「Tokyofm」と協力してドコモ・インテージデータを活かしたラジオマーケティングを行っているよ!
インテージの事業内容・業績


💡このパートの要約
- インテージはリサーチをコアとした3つの事業を展開
- 成長ドライバーは、テクノロジーによるソリューションの開発やドコモとのシナジー事業
- 2025年6月期の売上高、営業利益ともに増収増益
ここでは、インテージの事業内容や業績について詳しく見ていきます。
事業内容
インテージは以下の3事業を展開しています。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業
売上の半数以上を占める主軸事業です。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業では、事業会社の株式会社インテージを中心に企業のマーケティング活動をサポート。
食品、飲料、日用雑貨のメーカーから自動車、サービス、IT、官公庁など幅広い業種にわたってマーケティングリサーチを行っています。



大規模な市場データがあるからこそ様々な業種でマーケティング支援を行えるんだね!
マーケティング支援(ヘルスケア)事業
マーケティング支援(ヘルスケア)事業では、事業会社の株式会社インテージヘルスケアを中心に製薬企業のマーケティング活動をサポート。



創業当初は一般用医薬品のパネル調査を中心にやっていたよ!
一般用医薬品の市場調査を、新規市場参入・開発・発売後に分けて調査し、医療用医薬品も同様に治験・薬価収載・販売後に分けて調査を実施してます。
その他、プロモーションや処方情報分析などヘルスケア関連のグループ会社も展開しています。
ビジネスインテリジェンス事業
ビジネスインテリジェンス事業では、事業会社の株式会社インテージテクノスフィアを中心に、データ解析関連システムの開発、業界別ソリューションを提供しています。
AI技術を応用させたデータ活用やインテージグループのインフラ構築・運用・保守及びビジネス推進を支えるソフト領域での支援を行っています。



システムおよびデータに関するビジネスに携わったこれまでの経験・ノウハウをうまく活用しているんだワン!
業績



インテージの業績はどうかな?
インテージの業績は、以下の通りです。
決算期 | 2022年6月 | 2023年6月 | 2024年6月 | 2025年6月 | 2026年6月(予想) |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 60,232 | 61,387 | 63,279 | 65,571 | 70,000 |
営業利益 | 4,649 | 3,785 | 3,289 | 4,241 | 5,600 |
経常利益 | 4,952 | 4,073 | 3,543 | 4,131 | 5,500 |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 3,418 | 3,505 | 2,456 | 3,505 | 3,200 |
EPS(円) | 86.31 | 91.21 | 64.47 | 91.83 | 83.80 |
ROE(%) | 11.3 | 11.4 | 7.8 | 10.7 | – |
決算短信を元に、かぶリッジ作成。
2025年6月期の売上高は前年比+3.6%の655億7100万円、当期純利益は前年比+42.7%の35億500万円となりました。
営業利益も前年比+28.9%の42億4100万円と力強い成長を見せました。



2026年6月期の業績は増収減益の予想となっているよ!
続いて2025年6月期のセグメントごとの業績を見ていきましょう。
セグメント別 | マーケティング支援 (消費財・サービス)事業 | マーケティング支援 (ヘルスケア)事業 | ビジネス インテリジェンス事業 |
---|---|---|---|
売上高 | 45,344 | 12,432 | 7,794 |
前年比 | +10.1% | △13.3% | +0.4% |
営業利益 | 1,435 | 2,133 | 672 |
前年比 | +23.7% | +25.7% | +55.8% |
決算短信を元に、かぶリッジ作成。
マーケティング支援(消費財・サービス)事業の営業利益率は3.2%と低めで、投資費用や人件費の増加、ドコモとのシナジー事業立ち上げによる先行費用が要因となっています。
また、マーケティング支援(ヘルスケア)事業では、株式会社インテージヘルスケアにおけるCRO事業の売却の影響で減収となりました。



先行投資が大きな収益をもたらすのか今後に注目だね!
インテージの強みから見た将来性


💡このパートの要約
- 国内最大級の消費者パネルを保有という圧倒的な強み
- NTTドコモの顧客基盤、会員情報の活用による事業幅の拡大
- データとテクノロジーの融合による業務最適化
インテージの持続的な成長を支える強みは、以下の3つです。
マーケティングリサーチにおいて国内No.1
創業以来60年以上にわたるマーケティングリサーチで培った、日本最大級の消費者パネル(SCI)や小売店パネル(SRI+)が最大の強みです。
約7万人の消費者パネル(SCI)と全国約6,000店舗の小売店パネル(SRI+)を保有しており、大規模な市場調査を行えます。
一定数のモニター(消費者や店舗など)を確保し、モニターから定期的に情報を収集する仕組みを構築し、お客様にデータベースとして提供するサービスを指します。(同社HP)
また、国内においてマーケティングリサーチで業界No.1の地位を確立しており、子会社のインテージでは、マーケティングリサーチ/インサイト事業でアジアNo.1を獲得しています。
※「ESOMAR Global Market Research 2024」ESOMAR’s Global Top-50 Insights Companiesに基づく
長年培った各業界でのノウハウと収集データにより、業界ごとに質の高いリサーチ、分析、マーケティング支援を行えます。



大規模な市場データは企業にとってかなり価値が高いよ!
NTTドコモとの資本提携によるシナジー事業
2023年10月にNTTドコモの連結子会社となったことで、両社の強みを組み合わせた新たな事業展開が期待されています。
- NTTドコモの強み:約9,600万人のdポイントクラブ会員を持つ巨大な顧客基盤。
- インテージの強み:長年の実績に裏打ちされた高度なデータ分析力。
両社のデータと知見を融合させることで、消費財メーカー向けのIDベースマーケティングや、より精緻なマーケティング戦略の提案など、革新的なサービスが生まれる可能性が高まっています。
これは、企業のマーケティング活動における競争力強化に大きく貢献すると考えられています。
現在、シナジー事業の実績としてTimeTreeの提供する広告配信プラットフォームにおいて、ドコモ・インサイトマーケティングが提供するデータとインテージのデータを掛け合わせて活用するといったものが挙げられます。
Data+Technology企業への変革
第14次中期経営計画で掲げた「Data+Technology」への変革では、データを単なる分析材料としてではなく、企業の意思決定を自動化・効率化する「仕組み」や「ソリューション」へと昇華させることを目指しています。
例えば、AIを駆使した需要予測や、リアルタイムでのマーケティング施策の最適化など、データとテクノロジーを組み合わせることで、顧客のビジネスに直接的なインパクトを与えるサービスを生み出します。
【まとめ】インテージの株価は今後どうなる?





インテージの将来性について、よくわかったよ!
最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。
かぶリッジの結論
- コモディティ化によるマーケティング需要
- NTTドコモとの資本提携によるシナジー事業への成長期待
- 日本最大規模の消費者パネルなどのデータとテクノロジーの融合による価値創出
インテージの将来性は、消費者パネルという他社にはない強みとNTTドコモとのシナジー事業、データとテクノロジーの融合という3つの軸で見ることができます。
マーケティング業界は、商品やサービスのコモディティ化でさらに成長していく分野です。
インテージが持つ長年のノウハウと膨大なデータは強力な資産であるので、上手く応用し、新たなポートフォリオが完成されることによって大きな成長を遂げることが可能となるでしょう。
最近では決算での上方修正した業績予想には至らず、株価は下降傾向にあります。
先行投資した成長事業分野がしっかりと回収できるのかといったリスク要因が存在しており、来期の業績では増収減益を予想、ROEや営業利益率の改善の余地がありそうです。
中長期的に見ればマーケティング支援事業を収益の柱としながら、NTTドコモとのシナジー事業を成長ドライバーとして企業価値を高めていく可能性が高いと言えるでしょう。