かぶリッジの結論
- 整理銘柄には、上場廃止になる企業が指定される
- 監理銘柄には、上場廃止になるかもしれない企業が指定されるが、上場廃止は企業次第
- 整理銘柄の株価は下落し、監理銘柄の株価は監理銘柄になった理由による
みなさんは「整理銘柄」や「監理銘柄」といった言葉を聞いたことがあるでしょうか?
どちらの言葉も上場している企業に問題が生じて、上場が危うくなった時に使用される用語です。
今回は、この2つの用語の意味を誰でも分かるように解説します!
執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
整理銘柄、監理銘柄とは?
整理銘柄と監理銘柄って、それぞれどういう銘柄なの?
まず整理銘柄には、上場廃止が決定した企業が指定されます。
整理銘柄に指定された場合、指定から1ヶ月間だけ市場での売買ができます。
もちろん上場廃止が決まっているため、高い株価での取引は期待できません。 そして、1ヶ月後に上場廃止となります。
対して監理銘柄には、上場廃止基準に抵触しそうな企業が取引所によって指定されます。
その目的は、投資家にこの企業の存在を知ってもらうことです。
企業が上場廃止する前に情報が出回ったほうが、混乱や被害の規模を抑えられそうだね!
ここで言う上場廃止基準とは、大きく分けて2つ存在します。
- 財務諸表における虚偽申告
- 取引所の定める基準を満たせない場合
貸借対照表(バランスシート)や損益計算書などの報告資料の内容が実態と異なる場合、上場廃止に追い込まれます。
例えば、50億円しかない売上を100億円と偽ったり、500億円の有利子負債を300億円だと報告した場合などが該当するワン!
もう1つのケースとして、取引所の示す上場基準を満たしていない場合が挙げられます。
企業は上場する上で、時価総額や流通株式などいくつかの基準を満たさないといけません。
上場廃止基準に抵触した場合、その企業は上場廃止となります。
実際に指定された銘柄って?
実際の整理銘柄や監理銘柄はどんなものがあるの?
整理銘柄、監理銘柄の一覧は日本取引所グループのHPで確認することができます。
2025年1月23日現在では、整理銘柄が10銘柄、監理銘柄が27銘柄、存在しています。
整理銘柄では、大人気YouTuberのHIKAKIN氏が所属するUUUM(3990)が2025年1月15日に指定されました。
大手Youtuber事務所として名高い同社ですが、Youtube広告収入の落ち込み等からフリークアウト・ホールディングスがTOBを行う形で上場廃止となります。
また、2020年にはレナウン(3606)の上場廃止が話題に。
レナウンってどんな会社だったの?
レナウンはアパレルの老舗で、100年以上営業してきた会社です。
知名度が高くブランド力もありましたが、ECへの事業転換の遅れと親会社とのトラブルによって経営が悪化。
これによって民事再生を宣言し、上場廃止が決まりました。
監理銘柄として注目|ジャムコ(7408)
監理銘柄として注目したい企業はジャムコ(7408)です。
ジャムコは公開買付者であるBCJ-92による公開買付けに賛同したため、2025年1月14日に監理銘柄(確認中)に指定されました。
具体的には、BCJ-92 が公開買付け成立後、上場廃止に向けた手続きとして特定の者以外の株主が所有する株式をすべて1株未満の端数となる割合で株式併合を行う議案を株主総会に付議することを要請。
この議案が承認された場合、同社株式は上場廃止となる可能性が高いと考えられます。
2023年11月に上場廃止になった東芝のように不正会計から監理銘柄に指定される事例はほとんどなく、大半はジャムコのようにTOBなどで上場廃止を目指しているんだワン!
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整理銘柄、監理銘柄に指定されるとどうなるの?
整理銘柄や監理銘柄は、それぞれ上場廃止が決まった企業と上場廃止になり得る企業が指定される銘柄だと分かりました。
それでは、これらの銘柄に指定されると何が起きるのでしょうか。
上場廃止処分は企業次第?
まず、整理銘柄に指定された企業は上場廃止になります。
先述の通り、上場廃止が決まってから1ヶ月間は市場に残りますが、その後は上場廃止となります。
一方で監理銘柄とは上場廃止になる”可能性のある”企業が指定されます。
従って日本取引所グループが上場廃止する必要がないと判断した場合は、その企業は上場したままになります。
上場を維持することも可能なんだね。
一方、上場廃止になってしまった場合、2018年まではグリーンシート銘柄制度というものがありました。
これは非上場会社の銘柄を取り扱う市場だったのですが、2018年3月末に廃止されています。
グリーンシート銘柄制度が廃止になった現在、上場廃止になってしまったら銘柄を取引してもらえる市場はありません。
監理銘柄になった後も市場に残って、取引してもらえるかどうかは企業次第だということになります。
整理銘柄に指定されるとどうなる?
まず株価は需要と供給の関係で決まりますが、1ヶ月以内に価値がなくなる銘柄に需要は生まれません。
従って、整理銘柄の場合、株価は下落の一途をたどります。
少しでもお金を手に入れたいと思う人は株を売ろうとしますが、二束三文での売買になってしまうことが多いです。
しかし、一部整理銘柄を買い始める投資家もいます。
株価は下落し続けるのに、整理銘柄を買い始めるってどういうこと!?
低価格になった銘柄を大量に購入、わずかに株価が上昇したときに株式を売却してキャピタルゲインを狙う投資家もいます。
この手法は非常に短い時間で莫大な利益をあげられる可能性がある反面、タイミングを間違えると資金を多く失ってしまう可能性も秘めています。
こういったマネーゲームは、投資というよりはギャンブルの要素を色濃く含んでいるため、おすすめしません。
監理銘柄に指定されるとどうなる?
「経営難で上場廃止するに違いない」とみんなが判断すれば、整理銘柄同様、株価は下落していきます。
しかし、「監理銘柄に指定される」=「株価下落」とは限りません。
他企業が「株式を買い取ります」と宣言して買い入れるTOB(株式公開買い付け)が原因で整理銘柄に指定された場合は、今よりも高い株価でTOBすることが期待できるため、株価は上がります。
また、監理銘柄に指定されても状況が改善し、管理銘柄としての指定が解除(復活)する可能性もありますが、あまり期待はできません。
株式投資をする際はぜひ「整理銘柄」と「監理銘柄」の知識を忘れないようにしてくださいね!