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【トランプ関税】自動車関税が上がるとどうなる?日本への影響をわかりやすく解説

トランプ関税アイキャッチ

・自動車関税が上がるとどうなるの?
・日本が受ける影響は?

このようなお悩みを解決します。

かぶリッジの結論

  • 日本の基幹産業がダメージを受ければ日本経済全体に影響が
  • 関税の期間によっては、サプライチェーン自体の見直し
  • 大手自動車メーカーはすでに対応に動き出す

アメリカのトランプ大統領は、2025年4月2日(現地時間)に輸入自動車に対する25%の追加関税を発動しました。

近頃は、トランプ大統領の一言が出るたびに、ニュースのトップを飾り、市場が荒れる“引き金”となっています。

5月3日からは自動車部品に対しても追加関税を適用したよ…

日本の基幹産業である自動車への関税が上がると、自動車産業はもちろん、経済全体への打撃は避けられません。

本記事では、実際に自動車関税が上がると、日本経済や自動車メーカーにどんな影響をもたらすのか、わかりやすく解説します。

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執筆:かぶリッジ編集部

かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。

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目次

自動車関税とは?概要を解説

トランプ関税1

ここでは2025年4月3日に発動された、自動車関税の引き上げ内容を解説します。

発動された自動車の関税は追加で25%を課すものであり、これは現行の2.5%(乗用車)と比べて大幅な引き上げ。

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車種追加関税発動前追加関税発動後
乗用車2.5%27.5%
トラック最大25.0%最大50.0%
数値は2025年4月末時点
日本からアメリカへ輸出する場合を想定

現在90日間停止中である、日本に対しての24%相互関税は賦課対象ではありません。

また、5月3日からは自動車だけでなく自動車部品に対しても25%の追加関税が課されました。

これにより、アメリカに多くの車や部品を輸出する日本の自動車産業はさらにダメージを受けることになります。

アメリカ国内で自動車を生産するメーカーを対象に、輸入する自動車部品に課される関税について負担を軽減する措置が発表されましたが、2年後に措置は終了する予定です。

自動車関税を上げる意図

いったいなぜトランプ大統領は自動車関税の引き上げに踏み切ったのでしょうか。

主な考えられる理由を2つ紹介します。

トランプ大統領の意図はなんだろう?

  • 国内の産業保護
    • 輸入車に高い関税をかけ、国内生産車の価格競争力を高める
    • 自動車製造工場の海外移転を引き留め、雇用を守る
  • 貿易赤字の解消
    • 関税引き上げにより、アメリカへの輸入車流入を減らす
    • 他国の輸入拡大の狙いに対しての外交カードとして使う

他にも国内支持獲得や支持層へのアピールといった理由が考えられますが、関税は後述するように自国民もダメージを受けるため、狙い通りとなるかは不確かな状態です。

日本政府の対応は

自動車関税の引き上げに対し、日本政府は簡単には譲らない姿勢を取っています。

石破総理大臣も、5月5日のテレビ番組内で「自動車に代表される関税は、絶対のめない」と発言しています。

4月中旬には赤沢経済再生担当大臣がアメリカを訪問し、関税交渉がスタート。

交渉は数カ月間続きそうだワン!

日本は1978年に自動車・自動車部品の関税を撤廃し、現在も関税をかけていない状況です。

報復関税という対応になってしまうのかな…

しかし、国内で物価上昇が続いている点、エネルギーや食糧をアメリカから輸入している点を考慮すると、日本側は報復関税ではなく、自動車の輸入拡大という選択肢をとると見られます。

自動車関税が上がるとどうなる?

トランプ関税2

結論、自動車関税が上がることで世界経済に大きな影響を与えることが想定され、中でも日本は深刻な影響が懸念されます。

自動車関税や先日発表された相互関税を受け、中国やEUを筆頭に報復関税へ動き出している国も。

報復関税の発表によって各国市場で株価が下落したよ…

このまま貿易摩擦がさらに激しくなり報復合戦を続ければ、多くの国で景気後退につながるリスクがあります。

【日本への影響】関税が与えるダメージ

具体的に日本がどのようなダメージを受けるか確認していきましょう。

財務省貿易統計によると、2024年の対アメリカ自動車輸出額は約6兆円を記録しており、自動車輸出額全体の約33.6%を占めています。

つまり日本から輸出する自動車は1/3以上がアメリカ向けのもので、対アメリカの売上高が減少した場合には非常に大きなダメージを受けることが分かります。

価格上昇によって販売台数が大きく落ち込む可能性があるよ…

今回の追加関税25%がアメリカへの輸出分6兆円(2024年実績)にかかると想定した場合、追加関税によってアメリカが得る収入は1.5兆円。

​2024年度の日本の関税収入約9,170億円を追加関税のみで上回るほどの規模と分かります。
財務省 一般会計予算を参照

販売台数が落ち込んで減産となれば、日本のGDPに大きく影響を与えるかも…

さらに自動車は万単位の部品を組み合わせて製造するため、部品を製造する日本の中小企業などにも影響が波及するでしょう。

中小規模の部品メーカーは、完成車メーカーから部品の値下げ要求がされることも想定しなければならず、対応策の検討が急がれます。

アメリカ側にもダメージが

関税によってダメージを受けるのはアメリカも同じです。

理由は、実質的に関税を負担するのは関税をかけられた国ではなく、関税をかけるアメリカの消費者であるからです。

自動車の価格が上がれば販売は減少し、米国経済にもブレーキがかかる可能性があります。

日本メーカーへの影響は

トランプ関税3

国全体に影響を与えるほどのインパクトがある自動車関税の引き上げですが、一番ダメージを受けるのは、自動車を生産する各国自動車メーカーです。

追加関税の発表を受け、すでに大幅減益の予想を発表している企業もあります。

建設・鉱山機械を手がけるコマツ(6301)は、一連の関税政策で -943億円の影響が出る見通しだワン!

ここでは日本の自動車メーカーが受ける影響を具体的に説明していきます。

自動車関税の短期的な影響

自動車メーカーは25%の追加関税が課されたことで、商品にそのまま転嫁をしない場合に大幅なコストアップとなります。

また、多くのアメリカの消費者は関税の発動前に自動車を購入したいと考えるでしょう。

これによって、自動車の価格上昇による販売の減少や利益の押し下げに加え、駆け込み需要の反動をしばらく受ける形となる場合も。

マイナスの影響は避けられないよ…

関税がかかる分を販売価格にそのまま転嫁する場合、現地での販売減少は確実なため、メーカーとしてはまずコストの削減を図ると考えられます。

部品メーカーの協力も求める形で部品の調達コストを削減したり、生産ラインのテコ入れを進めたりすることで経営への影響を抑える形となりそうです。

自動車関税の長期的な影響

コストを削減して短期的な影響を留めることができても、自動車関税の引き上げが長期にわたる場合は、限界を迎えるメーカーもあるでしょう。

長期的に関税が続くことを見越すならば、サプライチェーン自体の見直しが必要になります。

関税の影響を最小限に抑えるためには、アメリカへの生産移転といった生産拠点の再編が必須。

関税優遇やコスト削減のために生産拠点をコストの低い国に移した意味が無くなるワン!

自動車工場の移転、アメリカのメーカーによる生産回帰が起きれば、トランプ大統領の狙い通りになるとも言えます。

すでに動き出すメーカーも

自動車関税の引き上げを受けて、早くも対応に動き出しているメーカーの姿も見られます。

日本国内の主要自動車メーカーの対応を以下にまとめました。

自動車メーカーの対応(2025年4月末時点)

  • ホンダ
    • 主力車種の生産をカナダとメキシコから米国に移管
    • 2〜3年かけ、米国の販売台数の9割を現地生産でまかなう
  • トヨタ自動車
    • アメリカ国内の工場に約125億円の追加投資を発表
  • 日産自動車
    • SUV国内生産の一部を米国に移管する方向で検討

上記のとおり、各メーカー、動き出しや意思決定がかなり早い印象です。

アメリカでの生産コストは高いものの、追加関税はそれ以上の負担であると判断したことが分かりますね。

海外メーカーでは、アメリカに対して輸出の一時停止や工場の人員削減といった日本とは違った対応をとる企業が見受けられます。

日本よりアメリカへの依存度が低い分、違いがあるんだね!

自動車関税に対するマーケットの反応は

トランプ関税4

投資家たちはどのような反応だったのかな?

トランプ大統領が自動車の追加関税を表明したのは、2025年3月26日です。

自動車関税が上がる報道を受けて、投資家はどのような判断をしたのでしょうか。

結論、各国市場で株価が下落しました。

日本市場の反応

追加関税の発表翌日(2025年3月27日)の株価・指数は以下のとおりです。

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指数・銘柄騰落率(前日比)
日経平均株価-0.60%(-227円)
トヨタ自動車-2.04%(-59円)
マツダ-5.99%(-65円)
ホンダ-2.48%(-37円)

自動車株は大きく下げた一方で、日経平均は小幅安だったワン!

自動車関連銘柄は軒並み下落しましたが、関税額のインパクトより影響は少ない印象。

しかし同日に、後述する米国自動車株が大幅下落したことで、翌日以降もジワジワと株価を下げる展開となりました。

日経平均については、3月27日が3月期決算企業の期末配当の権利付き最終売買日だったため、個人投資家による配当狙いの買いも集まり、株価を下支えする形となりました。

アメリカ市場の反応

続いて、アメリカ市場の2025年3月27日の株価・指数はこちら。

スクロールできます
指数・銘柄騰落率(前日比)
NYダウ-0.37%(-155.09ドル)
ゼネラル・モーターズ(GM)-7.36%(-3.75ドル)
フォード・モーター-3.88%(-0.40ドル)
テスラ+0.39%(+1.07ドル)

GM社は1日で7%以上下落してるよ!

今回の追加関税はアメリカにとっては輸入品が対象にも関わらず、なぜアメリカの国内自動車株が下落したのでしょうか。

理由は、アメリカのメーカーも効率化のため外国と分業して車をつくるからです。

グローバルサプライチェーンによって逆にダメージを受けたのね。

メキシコやカナダで車を組み立てたり、他国の部品を輸入したりしているため、アメリカも関税の影響をもろに受けることとなります。

特にGM社は前日と合わせ、およそ10%安という深刻な下げ幅を記録。

一方テスラ社は、大半の自動車を国内で生産しているため業績への影響が限定的という見方から、小幅ながら上昇という逆の結果に終わりました。

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今後の注目ポイント

トランプ関税5

今後はどこに注目すればいいのかな?

トランプ大統領の自動車関税政策はこの先どのような道をたどるのでしょうか。

今後の注目ポイントを確認して、続報を待ちましょう。

トランプ大統領の動向

トランプ大統領の判断ひとつで、状況は大きく変化します

先日には、アメリカ国内で自動車を生産するメーカーを対象に、輸入する自動車部品に課される関税について負担を軽減する措置をとりました。

アメリカ国内への影響を懸念して調整をしたよ。

政権の状況や各国との交渉の行方によって、関税の対象や税率は大きく変わる可能性があります。

自動車業界にとっては先行きに不透明感が残る状況ですが、関税の緩和措置に期待をしたいところです。

メーカーの対応策

日本国内の主要自動車メーカーでは対応に向けて、早くも動きが見られますが、中小企業ではそう簡単に動きが取れないところもあるでしょう。

しかし、それぞれのメーカーが何かしらの対応策を打ち出さなければ、大きな損失を受ける可能性が高い現状です。

生産拠点を移転して、今度は関税が下がる可能性もあるため、難しい判断になります。

今回の関税引き上げが、“恒久的なのか一時的なのか”が焦点の1つになりそうです。

関税交渉の早期合意を願っているよ!

各国の対策は

日本は、自動車関税を含むアメリカの一連の関税措置をめぐって交渉を続けています。

一方で、カナダや中国をはじめ、追加関税発表からすぐに報復関税を検討・発表するなど強気な姿勢を崩さない国も。

EUも報復関税を検討しているよ。

5月8日にはイギリスがトランプ関税交渉で初の合意。

この合意によって、イギリスからの輸入車は年間10万台まで関税10%への引き下げが決まりました。

日本と同様に自動車の輸出が盛んな韓国はどのような対策を打ち出すのかなど、世界各国の対応に目が離せません。

【まとめ】自動車関税で日本経済全体にダメージも

トランプ関税26

最後にこの記事の重要なポイントをまとめます。

かぶリッジの結論

  • 日本の基幹産業がダメージを受ければ日本経済全体に影響が
  • 関税の期間によっては、サプライチェーン自体の見直し
  • 大手自動車メーカーはすでに対応に動き出す

自動車関税が長期にわたって引き上げられれば、日本経済全体に大きなダメージを与えるリスクがあります。

一方で利益を最大化しようと、他国の自動車と同様にアメリカ車も値上げに走り、影響が限定的になる可能性も否めません。

先行きが不透明な中で、各国・各メーカーがどのような判断を下すのか注目していきたいところです。

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