今回はIPO企業の中から、11月29日に東証グロースに上場したTerra Drone(278A)をご紹介します。(同日は「グロービング」が上場予定です)
Terra Droneは、ドローン関連事業を展開する企業です。
想定時価総額は219.0億円で、精密機器業のIPOとなっています。
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この記事の監修者
監修者:曽根原 大介
上智大学 外国語学部卒業。在学中に米 San Diego State University ファイナンス学部に留学。FP3級保持。
2019年より株式会社インベストメントブリッジにて投資家向けWebサイトの運営や上場企業のIRコンサルティングを手掛け、現在は社長室 室長。
学生・新卒向けの金融教育活動も実施。日本株やアメリカ株、NISAの投信積立、仮想通貨などに7年以上投資している。
Terra DroneのIPO基本情報
ここでは上場日や、かぶリッジ独自の初値予想を見てみましょう。
上場日 | 11月29日(金) |
---|---|
かぶリッジ独自の初値予想 | C(1.0倍以上1.3倍未満) ※想定価格2,350円から、2,350円~3,054円 |
企業Webサイト | https://terra-drone.net/ |
取り扱い証券 | SMBC日興証券(主幹事)、SBI証券、野村證券、大和証券 など |
主幹事はSMBC日興証券だよ!
Terra DroneのIPO日程と価格
IPOの日程と価格は次のようになっています。
※発表次第更新しています。
想定価格 | 2,350円 |
---|---|
仮条件 | 2,250〜2,450円 |
ブックビルディング期間 | 11月14日(木)~11月20日(水) |
当選発表日 | 11月21日(木) |
公開価格 | 2,350円 |
申込期間 | 11月22日(金)~11月27日(水) |
上場日 | 11月29日(金) |
初値 | 2,162円 |
初値は公開価格を下回ったね!
Terra DroneのIPO初値予想
時価総額219.0億円、吸収金額37.7億円と中型のIPO案件です。
時価総額・吸収金額の大きさは初値にマイナスの影響を与えるでしょう。
一方で、ドローン関連企業の直近IPOでは初値から数十%の上昇が見られるなど、この分野への投資家の関心の高さがうかがえます。
これらの点から、IPO評価: C(予想レンジ1.0倍以上1.3倍未満=2,350円~3,054円)と判断しました。
※IPO評価、初値予想は過去のデータを元に編集部が予想したものであり、結果を確約、投資を推奨するものではございません。
詳しい評価項目を知りたい方はこちら
- 発行済み株式数:想定時価総額を計算。
- オファリングレシオ:小さい方が投資家からの人気が高い。市場に出回る株式数が少なくなることを意味するため。
- 公募割合:大きい方が投資家からの人気が高い。企業に資金が多く入ることを意味するため。
- 上場市場:グロースに上場する企業は人気が高くなりやすい。
- 事業のトレンド性:成長市場に位置し、トレンド性が高い企業は人気になりやすい。
- VC保有比率:VCが多くいる企業は事業のトレンド性が高く・成長企業であることが多いが、ロックアップがない場合はIPO後の需給が悪化しやすい
- 売上高成長率・経常利益率:大きい方が人気。過去の業績が良い。
- 前後2週間のIPO数:少ない方が投資家からの人気が高くなりやすい。
- 過去1ヶ月の日経平均リターン:高い方が人気。投資家心理に影響。
ちなみに
初値予想方法については、「【IPO初値予想】IPOの評価方法を初心者向けにやさしく解説!過去の事例も」の記事で解説しています。
また、IPO初値・騰落率結果一覧では直近のIPOデータを掲載しています。
Terra Droneの主幹事・幹事証券
同社のIPO株を取り扱う証券会社は、次のようになっています。
証券会社名 | 割当率 | 割当株数 |
---|---|---|
SMBC日興証券(主幹事) | 82.67% | 1,327,000株 |
SBI証券 | 4.34% | 69,700株 |
野村證券 | 2.60% | 41,800株 |
大和証券 | 1.74% | 27,900株 |
東海東京証券 | 1.74% | 27,900株 |
みずほ証券 | 0.87% | 13,900株 |
楽天証券 | 0.87% | 13,900株 |
松井証券 | 0.87% | 13,900株 |
岡三証券 | 0.87% | 13,900株 |
岩井コスモ証券 | 0.87% | 13,900株 |
水戸証券 | 0.78% | 12,500株 |
マネックス証券 | 0.43% | 6,900株 |
丸三証券 | 0.43% | 6,900株 |
東洋証券 | 0.43% | 6,900株 |
極東証券 | 0.26% | 4,100株 |
香川証券 | 0.26% | 4,100株 |
当選しやすい証券会社ランキング
なかなかIPOが当選しないな…
この記事をご覧頂いている方の中には、1つの証券口座だけでIPO抽選に参加している方も多いのではないでしょうか。
IPO投資で成功するには、複数口座を使い分けて抽選に参加するのがおすすめです。
以下の表では、IPO投資で開いておくべき”おすすめの証券口座”を紹介しています。
証券会社名 | 取扱数 | 主幹事数 | 抽選方法 | 事前入金 |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | 91 | 18 | 完全平等抽選: 60% IPOチャレンジポイントに基づいた配分: 30% 取引状況等を踏まえて定めた配分: 10% | 必要 |
楽天証券 | 59 | 0 | 完全平等抽選 | 必要 |
SMBC日興証券 | 52 | 18 | 完全平等抽選: 10% ステージ別抽選: 最大5% ※ほか対面割り当て | 必要 |
松井証券 | 67 | 0 | 配分予定数量の70%以上を抽選 | 不要 |
岡三証券 | 49 | 3 | 取引実績に応じて優遇抽選 | 不要 |
マネックス証券 | 51 | 6 | 完全平等抽選 | 必要 |
松井証券や岡三証券は、事前入金不要で抽選に参加できるワン!
大株主情報
大株主の状況は以下の通りで、筆頭株主のテラ株式会社は代表取締役社長の德重徹の資産管理会社です。
第2位の個人保有分も含めると、德重 徹氏の保有割合は約58%となります。
株主名 | 比率 |
---|---|
テラ株式会社 | 39.40% |
德重 徹 | 19.13% |
Saudi Aramco Entrepreneurship Ventures Company Limited | 4.96% |
三井物産株式会社 | 3.60% |
SBI4&5投資事業有限責任組合 | 2.30% |
株式会社INPEX | 2.24% |
株式会社海外交通・都市開発事業支援機構 | 1.99% |
株式会社ヒルストン | 1.82% |
関 鉄平 | 1.61% |
VLI-SAベンチャーファンド2号投資事業有限責任組合 | 1.57% |
第9位の関 鉄平氏はTerra Droneの取締役を務めているよ!
Terra Droneの業績情報
決算期 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 | 2024年1月 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 1,101 | 1,337 | 1,415 | 1,949 | 2,963 |
成長率 | ー | +21.4% | +5.8% | +37.7% | +52.0% |
経常利益 | 15 | 3 | -492 | -855 | -111 |
成長率 | ー | -80.0% | ー | ー | ー |
経常利益率 | 1.4% | 0.2% | ー | ー | ー |
当期純利益 | 11 | -74 | -591 | -1,111 | -353 |
成長率 | ー | ー | ー | ー | ー |
EPS | 2.1 | -13.0 | -96.8 | -148.4 | -46.6 |
BPS | 84.2 | 71.2 | -21.9 | -167.8 | -233.7 |
2024年7月25日付で普通株式1株につき100株の株式分割を実施。EPS、BPSは2020年1月期期首に当該
株式分割が行われたと仮定して算定。
2024年1月期の売上高は2,963百万円(前年同期比+52.0%)であり、堅調に成長を続けています。
しかし、経常利益・当期純利益ともに赤字が続いており、当期純損失は-353百万円となりました。
赤字が続く背景には、事業拡大に伴う積極的な先行投資が影響していると考えられます。
今後は、ドローン技術の進展やインフラ点検分野などの成長市場における需要を取り込みながら、黒字転換を目指す動きに注目が集まります。
Terra Droneの事業内容
Terra Droneにはソリューションセグメントと運航管理セグメントがあり、以下のような事業を展開しています。
測量事業
同社ではTerra Lidarシリーズ等の自社開発製品の販売からドローンを使用した測量、画像処理までを一気通貫で提供しています。
特にTerra Lidarシリーズはすでに41都道府県に販売実績があり、国内外で年間延べ200件以上の測量を行っています。
また、自社開発のTerra Cloudを活用することで、ドローンの飛行計画作成から、解析、3次元点群データの納品、閲覧、共有まで、ワンストップでの完結を可能にしています。
さらに、連結子会社であるPT. Terra Drone IndonesiaやTerra Drone Arabia for Dronesでは、現地のドローンパイロットの育成や、インフラ整備を目的とした測量を行うなど、海外での事業展開にも力を入れています。
点検事業
同社では電力・石油化学業界を中心に、煙突・タンク・ボイラーなどのインフラ設備の点検を実施しています。
具体的には、自社開発ドローン(Terra UTドローン)による板厚検査等の点検サービスや取得データの管理です。
同サービス提供の背景には、石油化学プラント等の施設における高所点検の危険性や作業員不足といったニーズがあります。
また、連結子会社であるTerra Inspectioneering B.V.では、石油メジャーであるシェルの欧州最大規模の製油所での点検や、世界最大手総合化学メーカーBASFでの点検など、すでに累計1,500件以上の実績を挙げています。
連結子会社による現地での事業展開に力を入れているよ!
農業事業
同社はインドネシア及びマレーシアにおける農業用ドローン市場に参入するため、Avirtech Solutions Pte.Ltd.の農業関連事業を買収、子会社であるTerra Drone Agri SDN. BHD.を新規設立し、農薬散布サービスを提供しています。
Avirtech Solutions Pte.Ltd.は、2017年からインドネシアとマレーシアでドローンを用いた高度な農薬散布事業を展開するドローン農薬散布事業のリーディングカンパニーです。
また、2024年3月には子会社であるPT. Terra Drone Indonesiaが現地のパーム油生産大手のグループ会社と提携し、肥料散布事業に参入することを発表しました。
今後の成長が大きく期待される事業だね!
UTM事業
UTMは日本語で「無人航空機運航管理システム」と呼ばれ、ここではドローンの運航を管理するプラットフォームを指します。
同社ではドローンの運航管理システム「Terra UTM」の開発を中心に、ドローンを安全に飛ばすためのデジタルインフラづくりを行っています。
また、自社でのシステム開発にとどまらず、欧州でトップシェアを誇るUnifly NVの子会社化や、米国トップシェアのAloft Technologies, Inc.に出資を行うなど、グローバルなUTM業界の発展に貢献しています。
直近IPOの初期予想と騰落結果
直近にIPOした企業の初値予想と結果は以下の通りです。
企業名 | 上場日 | 初値予想 | 初値騰落結果 |
---|---|---|---|
Sapeet | 10/29 | B(1.3倍~1.5倍未満) | 1.52倍 |
Hmcomm | 10/28 | A(1.5倍~1.7倍未満) | 1.33倍 |
リガク・ホールディングス | 10/25 | D(1倍未満) | 0.96倍 |
東京地下鉄 | 10/23 | C(1倍~1.3倍未満) | 1.36倍 |
Schoo | 10/22 | B(1.3倍~1.5倍未満) | 1.1倍 |
伸和ホールディングス | 10/21 | D(1倍未満) | 0.93倍 |
上場時期が重なり資金が分散され、初値が公開価格を下回ったIPO銘柄も複数ありました。
ですが、条件の良い銘柄はしっかりと強い上昇を見せています。
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