・ANAの株価が上がったのはどうしてだろう?
・今後もANAの株価は上がっていくのかな?
このような疑問にお答えします。
かぶリッジの結論
ANAの株は今後も上昇する見通しなので長期保有におすすめ(かも)
- ANA株が上昇したのは、コロナ明けのインバウンド需要の増加などが主要因
- インバウンドの増加はこれからも見込めるため、今後も業績や株価は上昇傾向となる可能性大
- 特に大阪万博の前後では期待感による株価上昇が考えられるため今が買い時とも考えられる
- ANAは競合のJALに、売上高や優待といった点で優位!
ANAホールディングス株式会社(以下ANA)は、航空運送事業を中心に行う航空会社です。
観光需要の回復やインバウンド需要の再拡大など、コロナ後の回復基調に伴い同社の業績は改善してきており、今後の成長も期待されています。
2025年に開催される大阪万博では、ANAが参加する「空飛ぶクルマ」プロジェクトにも注目がされているようです。
こうした要因が、コロナ後のANAの株価にプラスの影響を与えています。
今回は、ANAの株価が上昇した詳しい理由や、今後の展望について詳しく解説するので最後までご覧ください。
執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
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ANAの株価はなぜ上がった?理由4つを解説
まずはANAの株価推移を見てみましょう。
2019年から2024年までのチャートですが、コロナ禍に株価が急落したことは周知の事実でしょう。
しかし、2023年半ばから徐々に回復傾向が見られ、現在は上昇しています。
株価が回復傾向にある要因として、以下の4つが挙げられます。
ここからは4つの要因について詳しく解説していきます。
コロナ収束
新型コロナウイルスの影響で、航空業界全体が大打撃を受けましたが、収束と共に旅行需要が回復しています。
ANAも国内外の旅行者数が増加し、業績が改善し始めました。
特にコロナ前と比較して、国内旅行需要の堅調な推移が株価上昇に貢献しています。
出張などビジネス需要も徐々に回復し、航空業界全体にプラスの影響を与えているんだワン!
インバウンドの増加
日本への外国人観光客(インバウンド)も増加しています。
コロナ禍で落ち込んでいた訪日外国人数が回復しつつあり、これがANAの国際線需要を押し上げています。
下のグラフをご覧ください。
旅行収支が大幅に回復していることが良く分かるね!
日本人旅行者の海外での消費を「支出」、訪日外国人の日本での消費を「収入」とし、収入から支出を引いたもの。
「旅行者一人当たり消費額」に「旅行者数」を乗じることで推計している。
特にアジア諸国からの観光客が増えており、これに伴い航空便の運行回数も増加しました。
観光業や小売業の回復と共に、航空業界も恩恵を受けています。
インバウンド需要の増加は、今後もANAの業績を支える重要な要素となってくるでしょう。
GW旅行客の増加や海外需要の回復
ゴールデンウィークの旅行需要が大幅に回復したことも、ANAの業績アップに寄与しています。
国内外の旅行者数が増加し、特に国内旅行の予約が好調でした。
さらに海外需要も回復基調にあり、特にアジア方面へのフライトが増えたことで、ANAの収益基盤が強化されました。
業績改善と将来性の高まりから投資家の信頼感も高まり、株価上昇を後押ししているようだね!
大阪万博への期待
2025年に開催される大阪・関西万博では、「空飛ぶクルマ」の運航が予定されており、これが大きな注目を集めています。
ANAもこのプロジェクトに参画しており、米Joby Aviationと連携し、万博会場と関西空港を結ぶ輸送サービスを提供する予定です。
「空飛ぶクルマ」は、電動かつ垂直離着陸が可能で、騒音が少なく、将来的には自動操縦による運航が期待されています。
そのため、環境負荷を抑えた次世代モビリティとして、都市部や観光地での活用が期待されます。
大阪万博での運用は、空飛ぶクルマの実用化に向けた重要なステップとなり、ANAの新たな成長戦略の一端を担うことが予想されます。
一見ヘリコプターみたいに見えるけど、ヘリコプターとはどんな違いがあるのかな?
空飛ぶクルマとヘリコプターには次の3つの違いがあります。
空飛ぶクルマ | ヘリコプター | |
---|---|---|
原動力 | 電力 | ジェット燃料 |
パイロットの有無 | (将来的には)不要 | 必要 |
滑走路の有無 | 不要 | 必要 |
これにより、投資家からの期待が高まり、ANAの株価上昇の一因となっているんだね!
ANAの事業内容・業績
ここでは、ANAの事業内容と業績についてまとめます。
事業内容
まずはANAの事業内容について、解説していきます。
ANAの事業内容は大きく分けて次の4つです。
- 航空事業
- 航空関連事業
- 旅行事業
- 商社事業
各事業の売上と利益は以下の通り。
事業 | 売上高 | セグメント利益 |
---|---|---|
航空事業 | 1,869,552 | 207,975 |
航空関連事業 | 298,820 | 6,769 |
旅行事業 | 78,541 | 1,371 |
商社事業 | 117,919 | 4,574 |
計 | 2,364,832 | 220,689 |
2024年3月期決算短信より
イメージ通り、ANAの主力事業は航空事業だね!
国内線・国際線の運航を中心に多くの旅客を輸送し、安定した収益を上げています。
特にアジア地域での強固なネットワークを持ち、成田・羽田の両ハブ空港を活用したグローバル展開が強みです。
業績
上のグラフからも分かるように、コロナ渦で赤字となった後、2023年3月期からは利益を確保しています。
株価が上がった理由でも説明した通り、コロナの収束によりインバウンド需要等が回復しているためです。
こうして見ると、コロナ禍で大打撃を受けたことがよくわかるね…
また、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも2024年3月期決算では、過去最高益を達成しました。
連結経営成績については下の表をご覧ください。
2023年3月期 | 2024年3月期 | 差異 | 増減率(%) | |
---|---|---|---|---|
売上高 | 17,074 | 20,559 | 3,484 | 20.4 |
営業費用 | 15,874 | 18,480 | 2,605 | 16.4 |
営業利益 | 1,200 | 2,079 | 878 | 73.2 |
営業外損益 | △82 | △2 | 79 | – |
経常利益 | 1,118 | 2,076 | 958 | 85.7 |
特別損益 | 25 | △28 | △53 | – |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 894 | 1,570 | 676 | 75.6 |
EBITDA(営業利益+減価償却費) | 2,643 | 3,502 | 808 | – |
△はマイナスを表す
ANAグループの業績より
大幅増収・増益を達成しており、それに伴い株価も上昇しました。
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JALとの比較!ANAの強みは?
ANAとの競合企業といえば、JALを思い浮かべる方がほとんどでしょう。
そこでここからは、JALとANAを比較して、ANAの強みと言える点を3つご紹介します。
株主優待
ANAとJAL両社とも株主優待は国内線運賃が50%割引になる割引券が基本ですが、いくつかの違いがあります。
ANAは、同じ投資額でより多くの割引券がもらえる点が魅力で、100株保有しているだけでも充実した優待を受けられますZ
具体的には、100株保有の場合ANAは年2回受け取ることができるのに対して、JALは年1回のみです。
また、ANAは株主優待として、国内線の割引券や自社グループ関連のサービスなど様々なものを提供しています。
運賃50%割引、ホテル室料20%割引、ツアー商品5%割引、旅行代金総額に応じて1,000円〜3万円分のクーポン、空港内売店や免税店での買い物10%割引×5枚、ゴルフプレー料金優待券×4枚、機体工場見学など
JALと比較しても、ANAの優待は幅広い層に利用されており、投資家にとって魅力的です。
株主優待制度を重視する方にとって、ANAは長期保有を検討する価値があります。
割引率も高いし、優待の選択肢が多いのも魅力だよね!
売上
ANAとJALの売上高を比較してみましょう。(上がANA、下がJAL)
上の表からもわかる通り、例年ANAがJALの1.2~1.5倍ほどの売上をあげています。
ANAの売上高の方が高いんだね。
ANAとJALは同じくらいの売上なのかと思っていたよ!
多様な事業展開による安定した売上は、JALと比べても競争力があります。
また、ANAは2025年度の売上高目標を23,200億円、営業利益は2022年度の1.9倍となる1,810億円に設定するなど、これからも大きな成長を掲げています。
将来性
ANAはただ売上が大きいのではなく、サービスの質にも定評があり、高いリピート率を誇ります。
イギリスのSKYTRAX社が定める評価では、世界最高評価「5スター」認定を2013年から8年連続で獲得。
空港や機内設備が最高基準を満たしていること、スタッフサービスが一貫してハイスタンダードであることが評価されます。
総合的な品質パフォーマンスで最高値を達成しなければ認定を受けられないんだワン!
また、環境課題への積極的な取り組みも特徴で、2008年には環境省より航空業界、運輸業界初の「エコ・ファースト企業」に認定されました。
代替燃料の使用や省資源・リサイクル活動の推進、生物多様性保全活動などを行っています。
こうしたサービスや環境課題への取り組みを踏まえると将来性があると考えられるでしょう。
ANAの株価は今後どうなる?買い時なのか見通しを分析
ここからは、ANAの今後の株価について分析していきます。
今は株価が上昇中だけど、これから買っても間に合うのかな…
買い時はいつなのかな?
ANAの株価は今後も上昇することが予想されるため、長期保有をするなら今買っておいても良いでしょう。
このように判断した理由は次の3つです。
インバウンドの更なる拡大
ここまでも紹介してきたように、ANAの将来性はインバウンド需要の回復に大きく支えられています。
今後の観光客数の増加に期待できるかがポイントです。
インバウンドはこれからも増加するのかな?
まだまだ訪日外国人は増えると考えられます。下のグラフをご覧ください。
このグラフから分かるように、2023年度の訪日外国人数は、まだコロナ前の数値まで回復し終えていません。
最低限、2019年と同じ約3200万人くらいまで回復するでしょうし、それ以上の増加も十分に考えられます。
また、下のグラフから分かる通り、2023年時点では中国人観光客の回復が一歩遅れた状況となっています。
日本のポテンシャルが落ちているわけではないので、これは伸びしろと取るのが妥当でしょう。
国・地域 | 1人当たり旅行支出(円/人) |
---|---|
韓国 | 124,913 |
中国 | 746,591 |
台湾 | 195,152 |
香港 | 253,311 |
アメリカ | 264,289 |
観光庁「【訪日外国人消費動向調査】2023年1-3月期の全国調査結果」より
中国人観光客数はこれから回復するだろうし、1人当たりの旅行支出も段違いの多さだからインバウンド需要拡大に期待を持てるね!
こうした点を踏まえると、業績も増加傾向にあり、株価も付随して上昇するのではないかと考えられます。
コストカットを実現
ANAはコスト削減へ積極的に取り組んでいます。
コロナ禍による経営環境の悪化を受け、2021年3月期には計2550億円のコスト削減を実施しました。
具体的な施策として、社員の一時帰休や役員報酬の減額、外注していた業務の内製化などが挙げられます。
効率的な運航体制や、不要な経費の見直しが功を奏し、収益性が向上したんだワン!
筋肉質になった体制は、今後の株価上昇を支える要因になるでしょう。
コスト削減が進展する中で、収益体質の改善が進んでいることから、ANA株の魅力は高まっているのです。
増配を実施
ANAは株主還元にも力を入れており、増配を実施しました。
コロナ禍の影響で数年間は無配を余儀なくされましたが、2024年3月期から配当を復活させたのです。
業績回復に伴う増配により、株主への還元姿勢が鮮明だと投資家の関心が高まり、株価の上昇につながっています。
配当方針が安定していることは、ANA株の価格上昇をサポートする要因の一つです。
高配当株や日本株の選び方については、かぶリッジの無料セミナー(アーカイブ動画あり)でも学ぶことができるので、是非ご覧ください。
【まとめ】今後も株価は上昇傾向に向かうだろう
ANAの株価が上がった理由や今後の株価の動きについて解説してきました。
最後にこの記事の結論をまとめます。
かぶリッジの結論
ANAの株は今後も上昇する見通しなので長期保有におすすめ(かも)
- ANA株が上昇したのは、コロナ明けのインバウンド需要の増加などが主要因
- インバウンドの増加はこれからも見込めるため、今後も業績や株価は上昇傾向となる可能性大
- 特に大阪万博の前後では期待感による株価上昇が考えられるため今が買い時とも考えられる
- ANAは競合のJALに、売上高や優待といった点で優位!
コロナ明けの需要回復やインバウンド増加、ゴールデンウィークの旅行需要、さらには大阪万博への期待などポジティブな要素が続くでしょう。
こうした点に魅力を感じる方はぜひANA株の保有を検討してみてください。
かぶリッジでは、この他にも日本の優良銘柄について記事をまとめているので是非合わせてご覧ください。