・公募増資(PO株)ってなに?
・PO株投資のメリット・デメリットを知りたいな
このようなお悩みを解決します。
かぶリッジの結論
- 公募増資は新たに株式を発行し、資金を調達すること
- 割引価格で株を買えるので投資家としては狙い目
- 短期目線では株価が下がることもあるので注意も必要
IPO(新規公開株)は個人投資家に人気がありますが、PO(公募増資・売出)については知らない人も多いかと思います。
PO株は割引価格で株を買えるので、もともと狙っていた株が公募増資をしていればチャンスです。
ただもちろん、公募増資をすることによるデメリットもあります。
この記事では、公募増資の概要やメリット・デメリットについて解説します。
執筆:かぶリッジ編集部
かぶリッジは、20年以上にわたり投資家向けサービスを提供する株式会社インベストメントブリッジが運営しています。日本株投資や米国株投資を実践する編集部メンバーや、現役の証券アナリスト、元証券会社勤務の社員等で運営しています。
PO(公募・売り出し)とは
POとは「Public Offering」の略で、公募増資・株式売り出しのことを指します。
公募増資とは現在の株主だけに限らず、一般の投資家を対象に新たに株式を発行し、資金を調達することです。
公募増資をすることで資金調達が出来るだけでなく、株主層を拡大することもできます。
また、株式売り出しとは既存の発行済み株式(大株主の保有株など)を売り出すことで、株式市場での流動性が高まる効果もあります。
POをすることで設備投資やM&A(合併・買収)などの戦略投資に向けた資金調達をすることが出来ます。
また、公募増資をする際の募集価格は市場価格よりも割引された価格で取引されやすいのが特徴です。
市場で買うよりもお得に買える可能性があるのね!
POとIPOとの違いは?
POと似た言葉に、IPO(Initial Public Offering)があります。
日本語では「新規株式公開」と呼ばれ、上場していない企業が株式などの有価証券を証券取引所に上場することを指します。
証券取引所に上場するとどうなるの?
証券取引所に上場することで、一般の人でも企業の株式を保有して株主になれたり、証券取引所で自由に売買できるようになります。
たしか、IPO株は値上がりしやすいんだよね!
確実に値上がりするわけではありませんが、上場前から話題になっている企業の株は値上がりしやすい傾向にあります。
実際、2024年のIPOは86社あり、そのうち50社以上は初値が公募価格を上回っています。
ここでPOとIPOの違いについて簡単にまとめます。
PO | ・すでに上場済みの企業が追加の資金調達や株式売却のために行う ・割引率を提示 |
---|---|
IPO | ・未上場企業が資金調達などを目的として行う ・購入希望価格を提示 |
IPO記事はこちら
PO株投資のメリット
投資家として、PO株投資をするメリットってあるの?
ここからは投資家側の目線に立って、PO株投資を行うメリットについて解説します。
PO株投資のメリットは以下のとおりです。
以下で詳しく解説します。
割引価格で株を買える
一般的に公募増資する際の募集価格は、株式市場の価格よりも割引されています。
そのため、投資家にとっては割引価格で株を買えるので、大きなメリットになります。
狙っている株があるならお得に買えるかも!
将来的に株価が上がる可能性がある
将来的に株価が上がる可能性も考えられます。
というのも公募増資をすることで資金調達し、設備投資や新事業、新製品の開発などにもチャレンジでき、結果として企業が成長することもあるためです。
POで得た資金で成長投資をすれば、中長期での企業成長が見込めるね。
ただ、成長投資に回してもリターンが100%出るわけではないため、増資した分の資金を「何に利用するのか」などをよく確認して判断する必要があります。
また、POによって株式を売り出すと市場での流動性が高くなり、売買が活発になるというメリットもあります。
売買が活発になることで投資家から注目を集め、取引の出来高が大きくなり、株価が上昇するケースもあります。
出来高が少ないと、注文を出しても取引が成立しないことがあるんだワン!
業績や株価を把握してから購入できる
PO株は業績や株価を見てから購入できるのもメリットの一つです。
PO株を購入する場合は、すでに上場している企業の株式を購入することになります。
上場している企業は決算書の提出が定められており、これまでの決算から業績や株価の推移を把握してから購入できるのです。
IPOは未知数なところが多い一方、PO株ではある程度今後の予想がしやすいんだね!
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PO株投資のデメリット
割引価格で株を購入できるなどのメリットがあるPO株投資ですが、デメリットもあります。
具体的なデメリットは以下の通りです。
以下で詳しく解説します。
株式の希薄化が発生する
POの際に公募増資をすると、発行株式数が増えるので流動性が高くなる反面1株あたりの価値が減少します。
株式を発行して増資しただけですぐに利益が出るわけではないため、短期的な目線で考えると1株あたりの利益(EPS)は低下してしまい、株価が下落してしまう要因ともなります。
1株当たりの利益って言われてもうまく想像できないな…
例えば10億円の純利益があり、すでに100万株発行しているA社が、増資のためにさらに20万株発行することを想定しましょう。
1株あたりの利益(EPS)は「1年間の純利益÷発行株式数」で算出されます。
増資前・・・10億円÷100万株=1,000円
増資後・・・10億円÷120万株=833円
増資により1株当たりの利益が減ってしまうので、「株式の希薄化」とも呼ばれています。
1株あたりの利益が下がると現在の株価が割高であると判断されてしまい、すでに株を保有している人は売ってしまうこともあるため、株価が下がりやすくなるのです。
しかし、中長期的に見て増資によって成長スピードが速くなる場合、株価が上がる可能性も十分にあります。
長期での運用が必要
先ほども紹介したように、公募増資で資金調達をすると設備投資や新事業・新製品の開発に使うことが多くあります。
これらの用途は短期間ですぐに業績アップが期待できるものではなく、長期目線での運用が必要になります。
株式の希薄化の要因もあり、株価が短期的には下落してしまうかもしれませんが、利益を出すためには我慢強く投資を続ける必要もあるのです。
とは言っても、必ずしも長期的に利益が上がるとも限らないワン!
公募増資の事例
公募増資を実際に利用したことのある企業を知りたいな。
ここでは、実際に公募増資を実施した企業の事例を見てみましょう。
ゼンショーホールディングス(7550)
2023年12月にゼンショーHDは9年ぶりに公募増資を実施しました。
発行価格は7,511円で調達額は約416億円になります。
増資で調達した資金は国内外のM&A(合併・買収)に充てると発表しました。
また、2026年3月末までにM&Aが決まらなかった場合や残額が生じた場合は借入金の返済に充てる予定です。
ちなみに、同社はすき家やココス、なか卯など国内外食最大手の企業だよ!
同社が公募増資を発表したときには、1.6%ほど株価は下落し、8,700円台まで下落しました。
その後も短期的には株価が下落しましたが、2024年12月20日終値では9,259円と発表日の株価から5.9%上昇してます。
株式の希薄化が懸念されましたが、国内外でのシェア拡大に期待が高まっているようです。
GENDA(9166)
2024年7月にはGENDAが公募増資を実施しました。
発行価格は2,042円で、518万株を新規発行したため、調達額はおよそ100億円となります。
調達資金は同社の成長戦略であるM&Aに使用する予定です。
本公募増資を発表後、海外機関投資家からの支持を得て希薄化率は7%に留まりました。
公募増資は短期的に見ると株式の希薄化が懸念されますが、中長期視点では戦略強化による事業の拡大や新たな株主の参入など多くのメリットがあります。
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公募増資 まとめ
公募増資について理解できたよ!
最後に、この記事の重要なポイントを3つにまとめます。
- 公募増資は新たに株式を発行し、資金を調達すること
- 割引価格で株を買えるので投資家としては狙い目
- 短期目線では株価が下がることもあるので注意も必要
PO株は割引価格で株を買えるので、もともと狙っていた株が公募増資をしていればチャンスです。
企業の成長性も考慮したうえで、PO株投資も検討してみましょう。