米国でトランプ大統領が就任し、株式市場はさっそく関税政策の影響により大きく乱高下を続けています。
日本の株式市場も先行きが読みにくい状況が続いていますが、そんな時こそ応援したいと思える“キラリと光る企業”を発掘したいところ。
今回は、割安成長株への投資を得意とし、ピークで資産10億円を達成したDAIBOUCHOUさんが、個人投資家を代表して株式会社ピックルスホールディングス<2935>影山社長にインタビューを行いました。
この記事のまとめ
- 「野菜・発酵・健康」をテーマに成長を続けてきた、漬物業界で唯一の上場企業
- 適切な価格転嫁や新工場の稼働によって収益性を向上し、新商品へのチャレンジにも取り組む
- 原料調達のコントロールや物流コストの見直しで業績予想達成を目指す
- 成長投資と株主還元(優待・配当)を両立し、資本効率を意識した経営も推進
- DAIBOUCHOUさんの感想:優待銘柄として有名なピックルスホールディングスですが、茨城の新工場をきっかけに新商品の開発や生産性の向上などが期待できると感じました
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※アンケート締切:3月19日(水)
企業名 | 株式会社ピックルスホールディングス |
---|---|
市場・証券コード | 東証プライム・2935 |
株価 | 1,058円 |
時価総額 | 13,158百万円 |
PER/PBR | 11.0倍/0.7倍 |
配当/配当利回り | 26円/2.5% |
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お話を伺ったのは…影山 直司 氏
株式会社ピックルスホールディングス 代表取締役社長
1959年生まれ。愛知県出身。
1983年:東海漬物製造株式会社(現・東海漬物株式会社)入社
1984年:株式会社東海デイリー(現・株式会社ピックルスコーポレーション)出向
2022年:当社代表取締役社長就任
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インタビュアー…DAIBOUCHOU
1973年生まれ。2004年から専業投資家。
割安成長株への超分散投資を得意とする。
会社員時代の2000年に200万円の元手から株式投資を始め、ピークで資産10億円を達成。
2024年8月には著書『バリュー投資の億り人が教える 新NISA「成長投資枠」で1億円: 10日で学ぶ10年10倍株の探し方』を発売。
X(旧Twitter):@DAIBOUCHO
※本記事は企業情報をご提供するもので、個別企業の株式売買を推奨するものではありません。
漬物業界で唯一の上場企業。「野菜・発酵・健康」をテーマに事業を展開
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本日はよろしくお願いします。
まず、なぜ今回このようなインタビューを受けようと思ったのでしょうか?
今までは証券会社やIR支援会社が主催するIR説明会に登壇させていただくことが多かったのですが、新NISAをきっかけに投資を始められた方など、より幅広い層に当社のことを認知していただければと思い、今回のインタビューをお受けしました。
今回はインフルエンサーのDAIBOUCHOUさんに個人投資家の目線に立って、当社の新規事業や成長性について深堀りしていただけたらありがたいです。
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私もこのような機会をいただけて嬉しいです。
ではさっそく、御社の強みや取り組みについて教えてください。
当社は「野菜の元気をお届けします。」というキャッチフレーズのもと、「野菜・発酵・健康」をテーマに成長を続けてきた企業です。
1977年に日配品を扱う漬物会社として設立し、同時期に設立されたセブン-イレブンへ商品を納めるようになりました。その後セブン-イレブンが店舗を全国展開する中で、当社も北海道から九州まで製造拠点を設けて事業を展開してきました。
※編集部注:1977年に㈱東海デイリー(現・㈱ピックルスコーポレーション)設立、2022年に持株会社化。
そして2002年に惣菜事業を始め、その後、2009年に「ご飯がススムキムチ 」を発売、商品がヒットし、全国のスーパーマーケットへ展開するなど事業を拡大してきました。
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現在の売上構成は浅漬とキムチで40%、惣菜カテゴリが26%、あとは梅干やたくあんなど自社工場で製造していない仕入商品が32%を占めている状況です。
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御社では、独自の植物性乳酸菌「Pne-12(ピーネ12)」を開発しています。
Pne-12には体脂肪を減らすなど有益な機能がありますが、どのような商品に活用されているのでしょうか。
Pne-12は糠床(ぬか床)由来の植物性乳酸菌で、植物性乳酸菌の中でも胃酸への耐性が強く腸まで届きやすいことが特徴です。
この成分は「ご飯がススム」シリーズで活用されているほか、当社が運営している埼玉県飯能市の発酵体験施設「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」のブランドである「OH!!!かんたん糠床」という商品にも含まれています。
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チューブタイプのかんたん糠床は野菜をラップに包むだけで手軽に糠漬けができるということでご好評いただき、今年も株主優待の選べるセットのひとつとして採用しております。
>>「OH!!!かんたん糠床」を使ったレシピはこちら
また、実際にぬか漬にした漬物も、セブン-イレブンの商品として販売されています。
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Pne-12が含まれた「ご飯がススムキムチ」は御社の主力製品です。
ヒットしたのにはどのような理由があるのでしょうか?
「ご飯がススムキムチ」が開発された約10年前の市販キムチは、赤くて辛いものが多く嗜好性の高い印象がありました。そこで入社まもない女性の開発社員が「辛いものが苦手な私でも食べられるキムチを開発したい」と言って作ったのが「ご飯がススムキムチ」です。
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果物の果汁を使って開発したところ、甘口かつ旨味・コクがあるキムチになり、辛いものが苦手な方やお子様でもおいしく食べられると好評を得ました。今までキムチを食べなかった方にも楽しんでいただけたことが、ヒットした要因だと考えています。
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他のキムチと競うというより、新たなキムチのマーケットを作ったような形ですね。
御社は漬物企業の中で唯一の上場企業です。現在の業界シェア、また今後の海外展開の見込みについて教えてください。
漬物の業界団体はかつて2,000社以上が加入していましたが、現在は700社を切っており、淘汰が進んできました。その中で上場しているのは当社のみです。現在シェアは全体の約13%ですが、唯一の上場企業という強みも活かし、さらに拡大していきたいと思っています。
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海外展開については、米国や東南アジア等で現地生産を見据えた事業展開にチャレンジしようと考えています。何と言っても、「和食」はユネスコ無形文化遺産に登録されています。今後、日本で人気のキムチや漬物が海外に広がるチャンスは多いでしょう。
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海外展開が本格化するとなれば、投資家としても注目ですね。
ちなみに、先ほどから良い匂いがするのですが…
本日はDAIBOUCHOUさんにも当社の商品を楽しんでいただきたいので、キムチやナムルなど、さまざまな商品をご用意いたしました。
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本当ですか?
私はよく漬物を食べているので嬉しいです。いただきます!
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※試食の様子や、商品紹介は動画版インタビューもご覧ください。
PBR1倍超えへ~収益性の向上・新商品/新領域への挑戦~
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ここからは「PBR1倍超え」に向けた御社の成長戦略についてお伺いします。
御社は中長期経営戦略の中で「収益性の向上」「資本効率を意識した経営」「新商品・新領域への挑戦」を掲げています。
まずは「収益性の向上」について、具体的な内容を教えていただけますか。
収益性の向上については「営業利益率の改善」と「原価低減」の両面からのアプローチを考えています。
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営業利益率の改善については、現在、販売する商品のアイテム数が多くなっているので、絞り込みながら販売価格の見直しも行いたいと考えています。
もう1つの原価低減については、生産体制の効率化・自動化が重要になってきます。また、原材料の調達についても見直し・効率化を行うことが必要だと感じています。
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それぞれ要素分解されたんですね。
各取り組みの詳細を教えてください。
まず、商品の絞り込みについては自社の「ナショナルブランドの規格」に統一する形で進めていく予定です。
これまではお客様のニーズに応えるため、同じような商品でも細かな仕様変更に対応してきました。たとえば惣菜の主力商品の「ナムルセット」では、10種類以上の規格があります。今後は、生産性や資材調達の効率を改善するために、販売先との関係性も考慮しながら削減や集約化を図っていく必要があるでしょう。
販売価格の見直しについては、「ご飯がススムキムチ」は発売以降値上げを行っていませんでしたが、その間に人件費や物流費が高騰しています。コストに見合った価値のある商品を目指すためには、値上げを行っていく必要があると考えます。
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最近だと、新工場の発表もありましたね。
これは“生産体制の効率化・自動化”の部分でしょうか?
はい、その通りです。日本一の白菜の産地である茨城県八千代町に、キムチを集中生産できる茨城工場を新設しました。ここに「ご飯がススムキムチ」の生産能力を移管し、ロボットや機械の積極的な導入により、従来比で約2倍の時間あたり生産効率を見込んでいます。
原材料調達についてですが、主原料の野菜は工業製品と違ってまとめて買えば安くなるというわけではありません。そのため、全国にある工場のそばで契約栽培を進めながら野菜を作っていくことを進めていきたいです。これにより、原材料の移動コスト低減や天候・災害リスクの分散も実現できると考えています。
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茨城の新工場は、収益性や業績にはどのような影響があるとお考えですか?
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茨城の新工場では、機械化によって生産性が向上し、時間あたり生産数が従来の約2倍になることを見込んでいます。そうすると、今まで「ご飯がススムキムチ」を作っていた既存の工場では生産のキャパシティに余裕が生まれるので、人件費の上昇要因である夜勤体制を見直し、日勤のシフトに移行することで労務費の改善を目指しています。
また、既存工場で空いた人手や機械、スペースを活用して冷凍食品などの新規領域にも取り組んでおり、「ご飯がススムキムチ」ブランドを活用した量販店向け商品・業務用商品の開発も行っていく予定です。
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投資家としては、新工場の稼働が業績に与える影響を注視していくのが重要ですね。
次に、「新商品・新領域への挑戦」について教えていただけますか?
今までは日持ちのしない商品が多かったのですが、現在はガス置換などの包装技術を使ったロングライフ商品の開発に取り組んでいます。また、冷凍食品の需要の高まりから「ご飯がススムキムチ」の冷凍食品やトップシール惣菜などの冷凍食品の開発・販売も進めていく予定です。
また、現在「㈱ピックルスファーム」で農作物の生産などを行っており、サツマイモを栽培しています。採れたサツマイモは「㈱ベジパル」で加工商品にするなど、サツマイモを使用した新しい売上を作っていきたいと考えています。
加えて、国内の人口減少を踏まえて海外に事業展開し、日本以外の販路も開拓する必要があるでしょう。
それから、埼玉県飯能市の「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」という施設で、発酵をキーワードにしたレストランやセレクトショップ、ベーカリーを運営しています。グループシナジーを発揮する場として、こちらの運営にも注力していきたいと考えています。
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価格転嫁や物流コスト減で業績予想達成を目指す
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次に、業績についてお伺いします。
今期(2025年2月期)の予想と、第3四半期までの進捗について教えていただけますか?
第3四半期は、春先から夏にかけての白菜原料や原料野菜の高騰から販売の抑制をしなければならず、売上・利益ともに厳しい状況が続きました。
24/2期 3Q | 25/2期 3Q | 25/2期 予想(進捗率) | |
---|---|---|---|
売上高 | 33,255 | 31,778 | 43,500(73.1%) |
営業利益 | 1,458 | 1,312 | 1,700(77.2%) |
営業利益率 | 4.4% | 4.1% | 3.9% |
経常利益 | 1,544 | 1,374 | 1,780(77.2%) |
当期純利益 | 1,033 | 921 | 1,200(76.8%) |
通期については、野菜相場に左右されない冷凍の原料を使って売上を増やす取り組みを行っています。仕入商品の販売にも注力しながら、業績予想達成に向けて取り組んでいます。
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野菜の高騰は個人投資家としても気になるところです。
消費者の節約志向も根強いかと思いますが、価格転嫁についてはどのようにお考えですか?
昨年9月に「ご飯がススムキムチ」の一部量販店での値上げをさせていただきましたが、直近も野菜の高騰が続いており、十分な価格転嫁ができているとはいえません。
「ご飯がススムキムチ」やぬか漬のセットは自信を持って販売していきたいと考えており、原料野菜や原材料、人件費の高騰を踏まえると、商品価値に見合った価格への見直しは必要だと考えています。
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昨年は野菜の高騰に加えて、物流の「2024年問題」も大きく注目されました。
御社ではどのような対策を行っていますか?
当社は従来ご注文いただいた商品をお店ごとに仕分けするスタイルをメインでやってきましたが、物流の負担が大きい側面がありました。そこで納品方法を総数納品へと変更し、積載効率の向上へと取り組んでいます。
今後は、会社の垣根を越えて競合メーカーと共同配送したり、新規配送業者を検討したりするなど、物流費については常に注意していきます。
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詳しく教えていただき、ありがとうございます。
個人投資家には、2025年4月に発表される決算内容にも注目していただきたいですね。
株主優待×配当で株主還元も積極化
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最後に、株主還元についてお伺いします。
「中長期重点戦略」に記載されている「資本効率を意識した経営」について教えてください。
現在のPBR1倍を割っている状況は経営課題として認識しており、改善していきたいと考えています。
PBRについてはROEとPERに分解できますが、ROEを改善するためには、利益率や財務レバレッジを向上させることが重要です。PERについては当社のことをもっと認知していただいたり、理解していただけるようにIR活動に注力していきたいと考えております。
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財務レバレッジを向上させるにあたって、茨城工場をはじめとした成長投資にかかる有利子負債の適切な活用や、配当金・株主優待の充実による株主還元策の強化を継続して行いながら、最適な資本構成を追求していきたいと思っております。
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成長投資もしっかりしながら、株主還元も強化されていくのですね。
実際、今期は2024年12月に増配が発表されました。
今期の配当予想や優待内容について教えていただけますか?
当社は安定した配当を継続することを基本方針として、前身であるピックルスコーポレーション時代から10期連続で増配を行っております。今期は12円の中間配当を実施、期末配当については2円増配の14円を予定しています。
株主優待は当社グループの商品から選んでいただき、ご賞味いただけるものや「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」で使える2,000円の商品券、社会貢献団体への寄付などからお選びいただけます。
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株主優待銘柄は個人投資家の方からすると身近な存在になると思いますので、今後ももっと投資家の方に喜んでいただける内容に充実させていきたいと考えています。
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権利付き最終日が2/26(水)なので、この記事を見て御社を魅力的に感じた投資家の方でも間に合いますね。
※25年2月期の優待内容の詳細はこちら
DAIBOUCHOUの感想~インタビューを終えて~
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ピックルスホールディングスは優待株としても有名ですが、茨城工場をきっかけに新たな成長が期待できると感じました。
冷凍食品など新しい商品開発や、主力商品「ご飯がススムキムチ」の生産効率向上などが営業利益率の上昇につながるのか、今後も注目していきたいと思います。
同時に、新工場の減価償却の影響も注視したいです。